お化け * チェンマイ俳句毎日
【チェンマイ俳句毎日】2024年10月31日
チェンマイは寒季に入ったばかり。昼間の気温は33度くらいだが、朝は23度程度と清々しい。こんな季節の変わり目には自律神経が不安定になりがちな私は、早朝、ウォーキングに出かけて戻ったら、地面に吸い込まれそうなほど体が重くなり、ひどい眠気に襲われた。
昼に友人と会う約束があり、気だるい頭のまま待ち合わせのクウェティオ屋へ。その店の麺は、クウェティオ・ルアという血の入ったコクのある黒っぽいスープに米粉の麺、豚の内臓各種がのっている。美味しいが、かなり辛い。眠くて食欲はなかったが、日本の椀子そばのように小さな椀でお代わりをする形式だったので、1杯でちょうど良かった。久しぶりに会った友人は元気そうで、最近の洪水のことなど近況を聞かせてくれた。
帰り道、夕食のおかずを買おうといつもの市場へ寄った。
バイクを停めた目の前のパン屋の従業員の女の子の顔が傷だらけで、頭には大きな包丁がぶっ刺さっている。
パンの周りに飾られたオレンジ色のかぼちゃやコウモリ柄の風船を見て、今日はハロウィンだったと思い出した。眠い目でぼんやりと女の子の頭の包丁を見ている私に、市場の中はもっとありますよ、と女の子はいう。
何があるのかと思いつつ、今晩のおかずを求めて市場に入ったとたん、カラオケの熱唱が聞こえてきた。10人くらいのお化けたちが、市場の真ん中で歌いながら踊っている。この陽気なお化けたちは、全員、仮装をした市場の人たちだ。
カラオケが終わったら、みんなさっさと持ち場へ戻っていったのだが、卵屋も惣菜屋も焼き豚屋も肉屋も、口裂けメイクやゾンビメイクのまま売り場に座っている光景はシュールだ。しかも、まあまあ年配の方々が張り切ってお化けメイクをしているのがかわいらしい。
この世をめいいっぱい楽しむお化けたちの市場で買い物をしている間は、私の眠気もどこかへいってしまっていた。
ゾンビから焼鳥を買ふハロウィーン
卵屋も八百屋もお化けハロウィーン
ハロウィンの南瓜のお化けが売る南瓜