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凍蝶 * チェンマイ俳句毎日

【チェンマイ俳句毎日】2024年12月1日

朝、2階の寝室の窓を開けた。車庫の屋根に生い茂るスノーバインの白い花がまるで雪が覆っているように咲いている。時間によって変化する陽の光に合わせて花の表情も刻々と変わるので、ずっと見ていても飽きない。

通りから見える花はすでに萎れてしまったが、日当たりの違いなのか、2階からしか見えない部分は開花がずれて、今日が真っ盛りだ。

花は早朝に咲き、たった1日で萎れてしまう。明け方は透き通るようだった白い花びらは、正午を過ぎるとクリーム色に濁り、清涼感のある花の香りもひどく甘ったるくなる。

この窓は、私ひとりだけの窓。花に群がる蜂や蝶以外は誰も見ることがない、年に1度だけの夢のような景色をひとり占めにしている。こんなに贅沢なことってあるだろうか…と、今日の午前中は、ぐだぐだと窓際で過ごしてしまった。


雪めく白花囚はるる凍蝶

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古川節子
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