AIがすぐに影響を与える業界とは?リーガルテックを例に解説
AIがすぐに影響を与える業界
AIの発展によって、どんなビジネス分野がすぐ影響を受けるか?
すべての業界が最終的にAIの影響を受けるだろうけど、リアルな物体が絡まないビジネスは、特にすぐに影響を受けやすいと思っている。
例えばソフトウェア開発や画像・音楽制作、法律分野の業務、特に契約書作成なんかはAI化の影響が早く現れそう。というかもう現れつつある。
一方で、影響を受けにくいのは安全性が求められたり、物理的な要素が絡む業界だろう。
製造業や医療、エネルギー、プラント関連なんかがその代表だと思う。(まあ医療はものによるが)
業界で今どういう変化が起きているかを知ることができれば、ピンチに備えてチャンスに変えることができる。
法務を例にAIの業務効率化を解説
今回は法律系、つまりリーガルテックに絞って見てみる。リーガルテックと聞くとよくあるサービスとしては契約書の管理や署名だ。日本でも「クラウドサイン」みたいに既に多くのSaaSがあるけど、今後は契約のライフサイクル全体を効率化して、書面の原案作成、レビュー、分析までAIが担うでしょう。
例えばHarvey[1]は、バーチャルアシスタントから書類管理、検索と幅広く手掛けている印象。
一方でLinkSquares[2]は契約業務全体のライフサイクルを効率化するソフトウェアを提供している。契約書のレビューや署名など、契約にまつわる業務に特化しているのが強みと思われる。
個人的には、1つの課題に絞って特化したサービスの方が成功するスタートアップが多い印象がある。例えばAmazonが本の販売から始めたり、Facebookがハーバードの大学生のSNSだったように、小さく始めて徐々に広げていくスタイルが上手くいくことが多いと思う。
もう一つの面白いスタートアップは、法律違反を発見するサービスを開発している会社DARROW[3]。特に潜在的な違反を検出できれば、被害者が救われるし、法律事務所も新たな仕事を見つけられるといった仕組みらしい。
今後のAIの影響
今後AIが進化すれば、もっと複雑で俯瞰的な法律業務にも対応できるようになるでしょう。例えば、AIが法的なトラブルの予防や、訴訟の勝敗を予測するだけでなく、法律の新しい解釈をして、従来の枠組みを超えた提案できる可能性もある。
上記のようなビジネスが成功するかどうかの鍵は、やっぱりAIの性能だろう。毎年AIの精度は上がるだろうし、これまでの流れからして数年のうちに非連続的な技術革新が起こると思う。例えば「学習」よりもo1のような「推論」ができたり、「問題解決」能力が非連続的に高いAIが出てくるなどだ。そういう意味では追い風だろうけどもそれに伴うビジネスの変化もかなり非連続的だろう。
また、リーガルテックの難しいところは、業務の種類が多岐にわたる点。実際に知り合いの法律家から聞いた話では、契約書作成やレビューにかかる時間は、法律業務全体の中では必ずしも長くないらしい。本当に役立つサービスを作るには、現場で時間やコストのかかっていてお金を払ってでも解決したいポイントを真剣に正確に把握する必要があると思う。
[1]https://www.harvey.ai/products/assistant
[2]https://linksquares.com/products/
[3]https://www.darrow.ai/