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図書館司書が考える「友人との読書会」のススメ&読書会にオススメの本

こんばんは、古河なつみです。
読書の秋になり、そういえば司書をしていた頃は「読書会」を企画したりしたなぁ……と思い出しました。

ただ、図書館が主催する「読書会」というと何だか厳粛な雰囲気がして、どんな人が一緒に参加するかもわからないし、自分の意見も言わなくちゃいけないし……ちょっとハードルが高く感じるかもしれません。

そんな時にオススメなのが、友達を誘って集まる読書会、略して「読友集会(よみともしゅうかい)」です(※私が勝手につけた友人と集まる時の企画名です)。

おいしいお茶やお菓子を持ち寄るもよし、ホテルに集まって一泊しながらパジャマパーティー風にやるもよし、SNSのお友達と通話や配信でやるもよしなお手軽レクとして気の合うお友達と読書会を体験してみると、意外と楽しいのでオススメします。

とはいえ、皆で同じ本を一冊読む時に「どの本を選べばいいのか……」と悩んでしまう方もいると思います。

そういう時に思い出していただきたいのが何人もの作家さんの短編が収録された「アンソロジー本」です。図書館で主催する読書会ではほとんど取り上げられることはありませんが、実はアンソロジー本って読書会で遭遇する「困った!」を最初からなくしてくれるすごい本だと私は考えています。

ざっくり理由を挙げると以下のような感じです。

①読書初心者でも「長くてお題の本が読みきれない!」が起きにくい
→短いお話なので起承転結が綺麗にまとまっているものが多く、話の筋や登場人物の関係性が把握しやすいため読書に慣れていない人でも気軽にチャレンジできます。

②感想を言う順番が最後でも「言うこともうないよ!」現象が起きにくい
→一人の作家の長編作品を取り上げると、物語の盛り上がる部分や、感想を思いつきやすい部分が同じ個所に集中してしまって発言する順番が後ろの人がすごく気まずくなってしまう場合があるのですが、何人もの作家さんが集まった短編集だと好きな作品を1~3番目くらいまで考えていれば他の人の感想と全く同じになってしまった!ということはほとんど起きません。

③意見交換が活発にしやすい
②に関連しますが、感想を話し合うって慣れていないと難しいものです。「いいお話でしたねー」「ねー」「「……」」とどんなに良い作品でも何故だか後の言葉が続かなくなってしまう、なんて状況も司書時代に体験した事があります。ですが、色んな作家さんの作品が収録されたアンソロジーであれば「私はこれが1番だと思った」という主張がしやすくなるのでお互いの意見を聞いて話せる場が自然と作られていきます。

読友集会は読書会ほど気を張らなくていい「本と触れ合うお楽しみ会」のように気軽にできるので皆さんも試してみてくださいね。

それでは、最後に読友集会にオススメのアンソロジー本を紹介します。

手のひらサイズの可愛い装丁のアンソロジーです。書影に既に作家さんのお名前が見えますが津村記久子さんや又吉直樹さんなど少しとぼけた語り口なのに「本当のこと」が描かれているような、さらっとしているのに考えさせられるお話が多い印象です。

『1日10分の~』と題されたアンソロジーシリーズが双葉社から4冊刊行されています。17の言語で朗読され、ラジオで世界に発信された短編小説ばかりなのでお話の完成度が全体的に高いアンソロジーです。海外の文学賞にノミネートされたり、人気となっている作家さんも多く、海外から見た現代日本文学の在り様を感じることができます。

このアンソロジーは学生さん向けの話題に特化したアンソロジーなので中高生くらいの方に刺さりやすい内容となっていますが、大人が読んで「初々しい学生時代」を思い出したり「存在しなかった青春時代」を考えて悶絶する遊びが出来て楽しかったので挙げます。

本日は以上になります。
ここまでお読みくださりありがとうございました。
それでは、またの夜に。

古河なつみ

P.S.
実は読書会って図書館以外でもたくさん行われています。
本屋さんやイベントスペースやカフェでも行われていたりするので、もしも興味のある方は「読書会へ行こう!」というサイトさんを覗いてみてくださいね。


まずはお近くの図書館や本屋さんをぐるっと回ってみてください。あなたが本と出会える機会を得る事が私のなによりの喜びであり、活動のサポートです。