【物語】二人称の愛(下) :カウンセリング【Cast add】
※前回の話はこちら
【Cast add】
■桐島進(国家公務員 五輪相 担当)
W大学在学中に政治経済学を学び、大学の部活では四年生のときにワンダーフォーゲル部(登山・縦走・沢登り・ボート・自転車・スキー)の第53代 部長を務め、その行動力と決断力で皆んなから信頼されていた(22歳)
W大学の学部時代にワンダーフォーゲル部の仲間とオーストラリアへ旅行し、オーストラリアの大自然とその雄大さに惹かれ外国と日本の関係について関心を寄せるようになる(22歳)。
W大学 大学院政治学研究科 国際政治経済学コースに進学し、「国際外交と交渉論」を研究テーマとして卒業すると同時に、外務省入省のため国家試験を受ける(24歳)。
見事に外務省に入省し、入省後すぐに沖縄及び北方対策担当大臣(現都知事:小池百合子)の下で「北方領土外交政策担当」として働き出す(24歳)。
2016年8月3日 第3次安倍第2次改造内閣の発足で、進は外務省「北方領土外交政策担当」から突然「五輪相(東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部)」担当に抜擢される(35歳)。
■神崎舞(都庁職員 オリンピック・パラリンピック準備局 担当)
W大学在学中に政治経済学を学び、大学の部活では四年生のときにワンダーフォーゲル部(登山・縦走・沢登り・ボート・自転車・スキー)で女性初の第56代 部長を務めることとなる(22歳)。
舞が大学一年生のときワンダーフォーゲル部の部長を務めていたのが桐島で、舞は桐島の行動力と決断力に憧れて、自分も桐島の様な人望が厚く正義感の強い人物になりたいと言う思いでワンダーフォーゲル部の第56代 部長に立候補したのであった(22歳)。
また舞は、桐島がW大学 大学院政治学研究科 国際政治経済学コースに進学したことを知り、自分もW大学 大学院政治学研究科 国際政治経済学コースに進むか悩んだが、自分は都庁職員として東京都民のために仕事をしたいと言う思いが強かったので、都職員となるため入都試験を受け合格するのであった(22歳)。
東京都の職員として入都した舞は、最初「中央卸売市場」に配属される。そして2020年のオリンピック・パラリンピック競技大会の東京開催決定を受け、2014年1月1日に発足した新しい組織「オリンピック・パラリンピック準備局」担当に抜擢され現在に至る(31歳)。
■加菅豊(組織委員会 企画財務局 局長)
豊は2014年1月24日に組織委員会が発足して以来、組織委員会 会長である森喜朗より、内々で元いた財務省から組織委員会 企画財務局 局長に抜擢され出向している人物である。
日本政府からの信頼もあり、豊の大きな役割は東京オリンピック・パラリンピック競技大会を成功させるための財源確保と調達を行うことであった。
そのため豊は、各競技団体の法人や日本政府、また東京都が東京オリンピック・パラリンピックに拠出する財源の交渉と、各企業や団体からのスポンサー資金を集め、その資金の取り纏めを一手に担っていた。
このことから、東京オリンピック関係者の間では「東京五輪の金庫番」と言う異名を持つ男である。
■佐竹敏朗(組織委員会 大会準備運営局 部長)
敏朗は加菅と同じく、2014年1月24日に組織委員会が発足して以来、経産省から組織委員会に抜擢され出向している人物である。
計算高いこの男は、経産省時代に行政と各企業との調整役として根回しに長けていた。それを見込まれ組織委員会に加わることとなったのだ。また敏朗はこのチャンスで自分は栄転できると思っている。
そのために敏朗は、組織委員会の職務で結果を出し、東京オリンピック・パラリンピックが終わった後に元いた経産省に戻り、自分が同期の中で一番早く出世して局長や事務次官になろうと言う野望を持っている。
■生田友美(組織委員会 会場施設整備局)
友美は元々、JOC(日本オリンピック委員会)に属していた人物である。彼女がJOCに属するその前は、文科省で国家公務員として働いていた。
しかし自らJOCに志願し、席をJOC(日本オリンピック委員会)に移したのだ。その後2014年1月24日に組織委員会が発足してからは、JOCから組織委員会に出向している。
友美の役割は、各競技大会会場の会場設備を取り纏め調整する役割であった。ところが当初のコンセプトである「コンパクト」「レガシー」と言った理念からズレが生じていることに対して、彼女の中にある想いと現実の厳しさを痛感させられながら職務を全うしている。
■織田靖典(国家公務員 五輪相 局長)
靖典は第3次安倍第2次改造内閣の発足以前より五輪相の下で指揮を執っていた。
第3次安倍第2次改造内閣で五輪相の国務大臣が遠藤利明から丸川珠代に代わり、靖典は自分より年下で現場の状況を把握できていない新しい大臣が就任したことに内心疑問を抱いている。
靖典は文科省出身であり、五輪相に東京オリンピック・パラリンピックが終わるまで出向することとなっている。そのことに対して文科省の同僚からは、お前は左遷組だと言われ、そのことに対し見返してやろうと言う思いがある。
文科省時代から教育にかける思いが強く、日本の将来は若い世代の育成が日本の未来を築くんだと言う思いが強い。またスポーツも教育の一環であると言う考えが強く、日本の武士道にある強いだけでなく、礼儀を重んじることも必要だと自負している。
靖典自身、幼い頃から剣道を続けており、その腕はかなりのものである。口数は少ないが、内に秘めた強い意志がある。
■松沼明夫(国家公務員 五輪相 課長)
明夫は第3次安倍第2次改造内閣で、総務省から五輪相に抜擢され出向している人物である。
元々在籍していた総務省でそれなりの成果を出していたのに、自分が五輪相に出向することになったことに対して、内閣人事局を統括する内閣官房長官らに疑念を抱いている。
そして明夫は五輪相 課長のポストを利用して、逆に内閣人事局や内閣官房長官らの個人情報やプライベート情報の入手を探偵に依頼するのであった。
■山本夏生(都庁職員 オリンピック・パラリンピック準備局 大会施設部 部長)
夏生は、2014年1月1日に発足した新しい組織「オリンピック・パラリンピック準備局」に就いている。
この新しい組織「オリンピック・パラリンピック準備局」の大会施設部 部長として、夏生は2020年に行われる東京2020オリンピック・パラリンピック開催に向け、大会施会場の誘致に奔走する。
そして2020年に行われる東京2020オリンピック・パラリンピックで定年を迎えることになる夏生にとっては、この大仕事が自分の都職員としての最後の花道であると思っているのだ。
それは自分が夏に生まれの夏男であり、1964年に行われた前回の東京オリンピックの記憶が、その当時の幼かった夏生の記憶の中にあるからだ。
しかし自分より上のポストの局長や副知事、そして知事の小池百合子の独断で物事が進められていくことに対して、上司や部下からの板挟みとなり苛まれる。
■稲川しより(都庁職員 オリンピック・パラリンピック準備局 大会施設部 課長)
稲川しよりは、2014年1月1日に発足した新しい組織「オリンピック・パラリンピック準備局」の発足を受け、大会施設部 課長に就任する。
一億総活躍社会「輝く女性」と言う煽りを受け、しよりは課長の座を任された。しかし、しおりは上司と部下の顔色を伺い、強い者には良い顔をしていい事を言うが部下には厳しい。
特に直属の部下である舞に対しては、同じ女性であると言うことから何時も厳しいことを言い対立が絶えない。
■磯前晴海(都庁職員 新市場整備部(東京都中央卸売市場 新市場整備部)部長)
晴海は築地市場から豊洲市場移転に向け、新市場の整備の中心を担ってきた。しかし豊洲市場の土壌汚染問題や設備費用などを巡りその対応に追われることとなる。
また、晴海は自分も近々定年するので、自分が定年退職するまでは穏便にことが進むよう願っている。
歴代の知事が舛添要一から小池百合子に代わり、世間の注目が東京都政に向けられたことに対して不安を抱いている者のひとりである。
■仲浜渚(都庁職員 新市場整備部(東京都中央卸売市場 新市場整備部)担当)
仲浜渚は舞と同期入都で、舞が新しい組織「オリンピック・パラリンピック準備局」に異動するまでは同じ新市場整備部として一緒に働いていた。
渚は舞の良き友人であり、相談相手でもある。
■河村晴一/れいなの彼氏(河村花火工業)
晴一は、じゅん子ママのお店「銀座クラブ マッド」のスタッフであるれいなと交際している。2017年のお正月が明けたら、交際相手であるれいなと結婚する予定である。
2016年の夏頃から、晴一は故郷である新潟県 長岡市に戻り、父親の勇造の下で花火師として修行を積んでいる。
それは実家の家業である「河村花火工業」の花火師になるため、長距離トラック運転手を辞め家業を継ぐ決心を固めたからだ。
そのことを決めた大きな要因はれいなに関係する。晴一はれいなから、れいなの両親について聴かされていたのだ。
れいなは昔、悪さばりしていたので両親から見放され、もう自分の帰る故郷はない。しかし晴一にはまだ自分の帰る故郷があり、れいなが故郷を想う気持ちを晴一に託したのだった。
そんな晴一は、れいなの想いを汲んで、実家に戻り新潟県 長岡市にある「河村花火工業」を継ぐ決心をしたのだ。
■河村勇造/れいなの彼氏の父(河村花火工業)
勇造は晴一の父親で、新潟県 長岡市で「河村花火工業」と言う花火を造る会社を経営している。しかし新潟県中越地震(2004年10月23日)が発生し、「河村花火工業」も被災し建物が倒壊した。
勇造は震災で倒壊・損壊した「河村花火工業」の立て直しに奔走するも、復帰の目処がなかなか立たない状況であった。
それを知った息子の晴一は、家業がいつ再開できるか分からない状況であった為、別の仕事に就くことに決めたのだ。そのことに対して父親の勇造は息子を引き止めることが出来なかった。
その後、勇造は借金を抱えながらも「河村花火工業」の再開に踏み出したのだ。しかし息子である晴一は、長距離トラック運転手の方が稼げるので故郷に戻ろうとはしなかった。
しかし結婚を機に、再び晴一が花火師の道に進み家業である「「河村花火工業」を継ごうと思っていることに対して内心とても嬉しく思っている。
■河村華絵/れいなの彼氏の母(河村花火工業)
華絵は勇造の妻であり、晴一の母である。
華絵は元々、夫である勇造と結婚するつもりではなかった。しかし勇造は華絵を長岡花火大会に誘い出し、そして華絵の為に造った花火を上げ花火でプロポーズしたのだ。
その当時、勇造は花火師として家業を継ぐことを決め、プロポーズとして華絵のために花火を仕込んでいたからだった。
そしてその長岡花火大会で、勇造の花火が打ち上がる前に、アナウンスが流れたのだ。
「これから河村花火工業の勇造さんが、こころを込めて華絵さんに大きな花火を打ち上げます」
満点の夜空に大きな尺玉の花火が長岡の夜の空に打ち上げられたのだ。その後、勇造から華絵へこんな言葉があった。
河村勇造:「花火は観てよし、聴いてよし、響いてよしの三拍子なんです。今度は俺のこころに華絵さんの『三三七拍子』を響かせてください」
河村華絵:「はい、もちろん。お手を拝借しても宜しいでしょうか?」
こうして華絵は勇造の粋なプロポーズを受け、結婚することとなった。華絵は、夜空に舞い上がる可憐な華の絵を描く花火師の嫁として嫁いだのである。
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