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留置場の日常~その1~
誠司の所属するチームは、係長のゲン、主任の30歳の拓海、同期入社の健人で構成されている。拓海は何かしら格闘技をやっているような体格だが、ゲンと同様穏やかで温和な雰囲気で目がとても優しい。趣味はベンチプレスと聞いている。誠司と同期の健人は、元来正義感の塊で早く刑事になって凶悪犯を捕まえたいと鼻息荒いタイプなので、厳しい表情で留置者を見て、時にきびしめのコミュニケーションをはかっている。かく言う誠司は正直まだこの仕事の意味ややりがいは分からず、なんとなく家から近い、24時間勤務のあとに1日半休んで月15日勤務でラッキーかなというぐらいの捉え方である。呑気に自転車通勤を楽しんでいるぐらいだ。
交代制なので、また他スタッフもいるが、1年間はこのチームでシフト勤務である。係長のおかげでこのチームは穏やかな空気で割とのんびりした空気感である。誠司自身、仕事がやりにくいと感じたことは配属以来、一度もない。
もちろん留置場の担当である我々は名乗らないので、留置者からは「担当さん」と呼ばれる習慣?文化?になっている。
髭剃りなどの時間が終われば、10時にお茶を出すが、午前に取り調べがない者がすることは、
1、誰ぞに手紙を書く
1、官本といって文庫本100冊(六本全書と国語辞典含む)があり、好きな本を借り、読書する
1、惰眠をむさぼる
1、自身で買った雑誌等を読む(購入可能な雑誌も限定される)
1、差し入れの漫画や本、雑誌を読む
といった状況である。午後も取り調べがないと午前と同様の選択肢から選んでという状況である。
親族や友人が面会に来ると1日1組の面会は可能である。弁護士は回数制限はないが、基本的に何かしらの件で逮捕された留置者は、国選弁護人を選択する事が多い。
また食事後の午後から18時までの間は、ルールはあるが、自分で購入したお菓子やジュースも少しずつだが楽しめる環境ではある。
起訴勾留された際の拘束期間二十日間の間に検事との面談(検事取り調べ)があるが、その流れは別途説明する。