SNS時代の方が不自由な気がする話。
いつでもどこでも、そして誰とでも。
気軽に繋がることのできる現代。
自分の意見は、空の彼方にすぐさま飛んで行き、
たちどころに、あちこちの人の目に触れる。
本来なら手の届かないはずの雲の上の人に対してさえ
自分の言葉をそのお耳に入れられるかもしれない。
昔なら探すことの難しかった気の合うパートナーも、
案外近くに住んでいることがすぐに分かったりする。
ただ、何でしょう。
すごく便利で効率的な世界ではあるんでしょうけど、
自分がもし、今この現代で学生だったらと考えると、
正直、申し訳ないですけど、息が詰まる気がしました。
私が若い頃も、インターネットはありました。
そこで意見を発すること表現することはできましたし
何か制限がかけられていたわけではないです。
基本的には何を言うのも自由で、開かれた空間でした。
ただ、穏やかに和やかに会話がされているところに
訳の分からないことや暴言を吐く人が居れば
「荒らし」だとして無視されるか蔑まれてました。
当時はそのくらいの扱いでした。
しかし今は、誰かが声を上げると、それが仮に
マイノリティであったとしても、恐ろしく肥大化する。
マイノリティなのに、マジョリティの顔をする。
ネットという広くて狭い世界で共鳴し共感した人たちが
その意見の正当性を主張して、どんどん肥大化する。
そういうふうに見えます。
もちろん、真に尊重されるべき意見や価値観が
不当に押さえつけられるのは避けられるべきだし
そういう埋もれてしまいそうな声が、拾い上げられ
大きくなることは素晴らしいことだと思います。
ですが、昨今の所謂「炎上」している状況を見ると、
「そのことを言って(取り上げて)どうなるの?」
というような一見しょうもない話に、外野が勝手に
盛り上がって、所詮他人事だから面白おかしくして
さも大事件のように扱われているように感じます。
ちょっとしたミスも、ちょっと馬鹿なことやったことも
たとえその時には悪意が無くても、仲間内の誰かが
興味本位でネットに上げた途端、世界中の暇な人が
鬼の首を取ったように「これは大問題だ」と騒ぐ。
また、そうやって騒ぐことを目的にして、
つまり「炎上」させたくて変なことをする人も居る。
一度燃えて仕舞えば、それが不注意でそうなったのか
意図したものかは問題ではないままで燃え続ける。
燃えることでどうなるかというと、ネット上のみならず
リアルな世界でも、名が暴かれ、顔が晒され、あたかも
犯罪者(たとえ法を犯していなくとも)として扱われ、
その情報がさらに拡散されて、また吊し上げられる。
そういう様を見ていると、この現代の世界では、
何でも言いたいことが言えるようでいて、
本当に言いたいことは言えない。
実はそんな人も多いような気がするんです。
だって、言ったら何されるか分からないから。
また、本当に言いたいことを言わなくても、
言うつもりがなかったのに、自分の知らないところで、
言ったことにされてしまうこともあります。
つまり、迂闊なことは言えないわけです。
馬鹿やったりも、ちょっと怖くて出来ない。
インターネットはたしかに開かれた世界であって。
その中で社会的なネットワークを作ることは有意義で。
そういう点でSNSは大成功かもしれないです。
勝手にみんなで監視して、法律だけでなく倫理的に
おかしいと異を唱える人が一人でも居るなら、
その個人に社会的制裁まで加えてくれるんですから。
ただその一方で「くっそ不自由だな」とそう思う人は
たぶん私だけじゃないはず。なんて密かに思ってます。
おわり。
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