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静寂と狂気に満ちたSFサバイバルホラー「SIGNALIS」


SIGNALISというホラゲが面白かったんでちょっとしゃべらせてください。

SIGNALISはrose-engineが開発した見下ろし型のサバイバルホラーゲーム。キャラクターのビジュアルやストアページのサムネイルからはスタイリッシュな印象を受けますが、実際プレイしてみるとバイオハザードやサイレントヒルなどのPS時代の名作サバイバルホラーを思い出させる作品になっています。

静寂に包まれた空間、SFとコズミックホラーが融合したようなビジュアル、謎多きストーリー展開など、単なるレトロな名作の模倣ではない、懐かしくも新しいホラーゲームという印象です。

美しいドットで描かれた3Dの世界。

プレイヤーは「レプリカ」と呼ばれる存在の一人「エルスター」。「レプリカ」とはいわゆるアンドロイド的な存在であり、人間は「ゲシュタルト」と呼ばれています。

「オ・キ・テ」というメッセージとともに、コールドスリープ用のポッドから目を覚ましたエルスター。どこかに墜落したらしい宇宙船の船内に人の気配は一切なく、風の音、無機質な機械音、そして自分の足音だけが響く静寂しかありません。

船内を探索して得られたのは、宇宙船が硬着陸してもう二度と動かないこと、船員の生存が確認できないこと、そして、「アリアーネ・ヤン」という人物の写真だけ。防護服を手に入れ船外に出たエルスターを待っていたのは、猛吹雪の吹き荒れる雪の世界でした。

一寸先もまともに見えないような視界の中なんとか前に進み続け、大きな石の門のような場所を通った先に、不自然なほどの大穴を見つけます。
吹雪からの避難のために入った大穴の底には、さらに地中深くに続く不思議な穴が空いていました。穴の奥にかすかに光を感じ取ったエルスターは、不思議な横穴に入っていく・・・というところから物語は始まります。

雪原にポッカリと空いた謎の大穴。明らかに怪しい・・・

このゲーム、何がこわいかって最初とにかく何もわからないまま話が進んでいくのが不安で仕方がない。

宇宙船の墜落からエルスターが目覚めるまでどれぐらい経ったのか?
エルスターが何者で、アリアーネ・ヤンとはどんな人物なのか?
宇宙船に、生存者はおろか死体すら無いのはなぜか?
不気味な穴の先で見た光景は一体なんなのか?
自分はアリアーネを助けたいのか?
それとも、殺したいのか?

そのすべてが、詳しく語られないまま物語は進んでいきます。
人間は未知のものに恐怖心を抱くなんて話もありますが、この世界のことだけでなく、自分の動かすエルスターすらもプレイヤーにとっては未知であり、常に静かな不安がつきまといます。

「今さら引き返せない」と続く。なぜそこまでして探すのか。

探索中に得られる情報から点と点が繋がることはあるものの、その周りにさらに点が散らばるような、謎が謎を呼ぶ展開も。それでいて情報がとっ散らかっているのではなく、ひとつひとつに何かしらの繋がりを感じさせられるのが上手く作られてるな~と感じます。

ゲーム面としては、最初にも書いたように初代バイオやサイレントヒルの影響を受けた探索型サバイバルホラーと言った感じ。探索できる部屋にある謎を解き、鍵や資料を手に入れて徐々に探索範囲を広げ次の謎を解くアレです。
謎解きがゲームプレイの中心になっていくこともあり、かなり種類は豊富。時には結構頭を使わされるものもあり、やりごたえがあります。

ホラーゲームのお約束、ヒューズを探すターン。
特徴的なシステムである無線機(左)を使った謎解きも。無線は謎解き以外に使うこともある。

探索中には徘徊している敵と戦闘になることも。
敵を狙うと赤い四角形のマークが現れ、狙う時間が長いほどマークが小さくなっていき、敵に与えるダメージが増えるというシステム。
じっくりと狙うほうが弾の節約にもなるんですが、もちろん敵も動くし複数いた場合はのんびりしている余裕はありません。敵は何体いるか、十分な距離を取って戦えるか。場合によってはこちらに気づいていない敵との戦闘を回避するという選択も重要になります。

敵一体なら余裕はあるが、複数体いるとこうはいかない。
緊急時に使えるスタンバトン。強力だが使い捨てなので使い所を考えたい。

ただし、探索や戦闘を難しくするのが「アイテムを6つしか持てない」というルール。それも、装備しているアイテムは別枠になってカウントされない、みたいな優しい仕様ではないのがなかなかキツい。
例えば回復アイテムとハンドガン、予備の弾、スタンバトンですでに4枠。探索中に回復アイテムや弾を拾えばそれだけでインベントリがパンパン。謎解きのキーアイテムを拾えないなんてこともザラ。

同じアイテムの所持上限もあるので、ちょっと少なめに持っておくのもコツ

セーブ部屋にある保管庫と往復すればいい・・・と思いそうですが、敵が多い部屋に何度も出入りするのも危険だし、何度も往復していると一回倒した敵が復活することもあります。おそろしい。
難易度ノーマルですら戦う機会が多いと弾や回復がカツカツになりがちなので、いかに最低限の装備で効率よく探索するかが、難しくもあり楽しい部分でもあります。

一周目クリア時間はおよそ9時間半。結構謎解きに詰まったり探索に時間をかけたりしたんで、人によっては全然早くクリアできると思います。
ストーリーは多くを語らず考察する部分が多かったんですが、マルチエンディングらしいのでそっちで語られる部分も多そう。謎がさらに深まる可能性もありそうですが・・・

SIGNALIS、ゲームとしての完成度も高く、謎の多いストーリーも好みでめちゃくちゃ楽しめました。というか別エンド目指してこれからまだ楽しめそうです。
古き良きサバイバルホラー好きはもちろん、考察系ストーリー好きにも楽しんでほしい一作です。


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