Furitokoo

猫とテレパシーで交信中。フラフラさまよっています。ビチクソ文章製造機。

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最近の記事

流れるプールのような語りの渦

地元の居酒屋のマスターの話はまるでマジックリアリズムだ。空を飛んだりするエピソードはないけれど、物語の断片が錯綜して、めくるめく感覚を生み出す。あとから思い起こすと、まるで南米文学を読んだときのような気持ちにおそわれる。あれはなんだったんだろうと。(新潟県の花火大会を見に行きたい、日産車がいかに素晴らしかったか、マツダ車を二台所有する旧友が行方不明に、衆院選はどうなる、安倍元首相の暗殺、どんなに遅く寝ても早起きできる、男は赤ん坊を愛しづらいという研究、猫は嫌いだが毎夜布団に来

    • 四半世紀ぶりに遊びにいったディズニーランドの報告

      なかなかいないと思うんですよ、四半世紀ぶりのひと。… なので報告します。 結論からいうと、すごくよかったです。なにがよかったか、整理してお伝えします。それにしても四半世紀! じぶんでもびっくりだ。本文を読み直してみると、まるで過去からタイムスリップした人が書いたような内容で味わい深いです。興味のある方はのぞいてみてください。もしくは「じぶんも四半世紀行ってないわ~」という方がいたら参考になると思います(たぶん)。それでは、はじまり~ * さて、読んで字のごとく、25年以

      • Googleに一生サジェストされないリーダー論

        リーダーシップに一生悩んでるのでいつもGoogleからそれっぽい記事がスマホでサジェストされる。やめてほしい。イライラする。「二流や三流の上司は○○についてXXという、じゃあ一流は?」みたいなタイトルがとくに嫌だ。でも読んじゃう。その結果、わかったような、わからんような気持ちになる。モヤッとする。だって仕事は千差万別。置かれている状況や環境は無数に異なる。方法論も方策もみんな違ってみんないい。結局はじぶんでトライアンドエラーを繰り返していくしかない。そして、そうした試行回数を

        • アイツが成績優秀だった理由から生の深淵がのぞく

          ビチクソ感想文:『夢を叶えるために脳はある』(池谷裕二 著・講談社) 高校時代、いつも授業中に居眠りしているのに成績がクラスでトップ3のやつがいた。気持ちよさそうに寝ているのに、テストになるとむちゃくちゃ点数がよい。わざとじゃなくてホントに寝てる。塾に通っているわけでもないらしく、当時はまったく意味不明で、ある日勇気を出して「なんで授業中寝てるのに成績がいいんだい?」とたずねたら、恥ずかしそうに笑みをうかべて「部活で疲れて寝ちゃって大変なんだよ~」という。ますます意味がわか

          「火垂るの墓」がいちばん好きだという理由がわからない

          とある異国にて 「いちばん好きなのはファイヤフライだ、知ってるか」とドライバーの彼はいった。はじめはなんのことか分からなかったが「火垂るの墓」のことだとピンときて、スマホで画像を見せたら、はげしくうなづき「これだ」と声をあげた。 10年ぶりの訪問だった。現地で車両を借り上げ目的地へ向かう途中、おもむろに「いつも何度でも」が流れはじめておどろかされた。「この映画みたことあるの?」と聴いたら「イエス」というから二度びっくり。それから「トトロが好きなんだ」と彼はいった。 最近

          「火垂るの墓」がいちばん好きだという理由がわからない

          紙の本が好きなのに、キンドルアンリミ充実生活とは何事か

          はじめに 昨年秋ごろアマゾンのキンドルアンリミをサブスクした。キャンペーン中で2か月無料というから気軽にやってみた。思っていたよりおもしろかったので、以下キンドルアンリミのなにがオモロイのか説明します。「そんなのさんざん言われてるやん」と思われますが、わたしがこれから言及するのは、ちょっとめずらしい視点からの話になると思います。というのも、わたしは紙の本を本屋で買う主義のひとだからです。タブレットとか電子書籍専用の端末など持っておりません。キンドルアンリミはスマホで読んでます

          紙の本が好きなのに、キンドルアンリミ充実生活とは何事か

          ストローズがんばれ! ヤツをとっちめろ!

          ビチクソ感想文:映画『オッペンハイマー』 ぜったいに不快な気分になるだろうと思ったが、いちおう現世で生きていくには見ておいたほうがいいだろうと思って超上から目線で「どれどれ~」という感じで鑑賞した。 というのも、日本で『オッペンハイマー』が公開されたとき、BBCのニュースとそれに対するSNS上の海外の反応が記憶につよく残っていて、こんなんじゃ世界平和なんて訪れることは金輪際ないと絶望したからだった。何よりもわたしのなかの憎しみが燃えがってしまいコイツらの上に爆弾を落とした

          ストローズがんばれ! ヤツをとっちめろ!

          中野くん、サンプラザはもう消えたよ

          のぼせ上がっている頭を冷ますために走る。いまできることは何もないと心身にわからせるために一歩ずつ踏みしめる。ランニングは趣味じゃない。だけど、なぜか縁があって市民マラソン大会に4度も参加した。今年も走ったし、来年も(可能なら)走ってみたいと思っている。今年は沿道の応援で爆風スランプの「Runner」を歌っている方がいて、感動しすぎて泣きながら走った。「ランナー」で泣くなんて思ってもいなかった。 * あたまのなかのおしゃべりが辛くなってきたとき、走りつづけることで、余計なこ

          中野くん、サンプラザはもう消えたよ

          国破れて山河ありに結論はない

          国がこわれるとはどういうことか。社会が崩れていくとはどんな状態なのか。国破れて山河あり。古代中国の話ではない。現代で「国が破れる」とはどういうことなのか。いろいろな文学を読み、歴史に触れてきたつもりだったが、まったく分かっていなかった。別世界の話だった。フィクションだった。いま、想像以上にひどいことなのだと思い知っている。 世界中でひどい内戦が起こっている。そのうちの一つの国と関わりがある。駐在していたこともある。どんどん戦いが激化していき、まさに国が破れてバラバラになりつ

          国破れて山河ありに結論はない

          スマホのなかにシェヘラザード

          寝つきがわるい。いけないと思いつつ布団のなかでスマホを眺めてしまう。ついにニュース記事で「よく眠る方法」がサジェストされるようになった。そしてそれをずっと読む。ぐんぐん読む。本末転倒である。まぁいいか。 とある記事いわく、眠るためには意識を減らして無意識に近づかないといけないらしい。無意識のスイッチを入れるには「お話」が効くという。なるほど、アラビアンナイトの時代から夜伽は眠りに効果があったわけだ。しらんけど。 そういえば幼いころ、夜寝る前に「桃太郎」とか「浦島太郎」とか

          スマホのなかにシェヘラザード

          ときどき考えるボクネンジン

          ビチクソ感想文:『NHK「100分de名著」ブックス パスカル パンセ』(鹿島茂・NHK出版) 人間は考える葦である。有名なことばだ。教科書では「人間はもろくて弱い存在だけど、でも考えることができる」という意味だと教わる。だけどパンセを読み通すと印象が変わる。「人間は考えることができると傲っているが、もろくて弱い存在なんだから謙虚になれ」と読める。わたしはそちらのメッセージの方がしっくりきた。だが、もう一歩ふみ込んでみると、そこからさらに裏返る。「むしろ考えることができるか

          ときどき考えるボクネンジン

          「わかる」がわかりたい

          ビチクソ感想文:『数学する精神 増補版 正しさの創造、美しさの発見』(加藤文元著・中公新書) 何かをわかるとはどういうことなのか。ちょっとヘンなことを言っていると自覚している。「生きているとはどういうことか」みたいな質問と変わらない。「わかる」「理解する」がわかりたい。そんなことより仕事に役立つハックの一つでも身に付けろと思う。 どうしてこんな疑問にこだわっているのか、動機を考えてみると、単純に世の中に納得できないことが多すぎるからだろう。わたしはわからない。だけどあの人

          「わかる」がわかりたい

          気分は崇高

          暑い。うちの Koo ちゃんは早朝には出かけてしまう。わたしが仕事に出るときには、もう床で寝転がっている。朝活は猫にとってもベストらしい。徒歩で駅に向かうとき、最近は雲が気になる。巨大だ。しかし巨大さを感じるにはコツがいる。心のなかでGoogleのマジック消しゴムのように建物を消さないといけない。すると背の低い木が数本と地平線だけになって、あとは青い空と入道雲になる。そんなふうに想像して、ようやく巨大な感じ、宇宙の果てしなさ、地球のデカさをイメージできる。圧倒的な風景を前にし

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          知性はワイルド

          ビチクソ感想文『動物たちは何をしゃべっているのか?』(山極寿一 鈴木俊貴・集英社) シジュウカラの言語を研究し、動物言語学を創設した鈴木俊貴先生の飼い犬の名前はクーちゃんという。鈴木先生待望の初の商業書籍でありゴリラ教授こと山際先生との対談本でもある本書には、鈴木先生がクーちゃんと一緒に枝をくわえて四つん這いになって野道を進む写真が収められている。鈴木氏の真っ直ぐなまなざしもすばらしいが、クーちゃんの楽しそうな表情も素敵で、ずっと眺めていて飽きない。 わたしの家にいる猫も

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          焼き鳥とサンバ

          駅前の雑居ビルの小路に「銀座」という看板。もちろん銀座じゃない。こういう銀座が日本にはたくさんある。多くの店はシャッターが閉まっているけれど、軒先に屋台を出して、ビールやらハイボールを売っている。あめ細工や綿菓子も売っていて、神社の祭りのようでもあるが、宗教的な背景はない。銀座だから。 Mと連れ立って歩き、熱帯夜の賑わいに酔った。わが地元には数百年の歴史を誇る祭りがあるけれど、こうした商店街の小さなイベントを見ていると、こちらのほうが身の丈にあって親しみやすさを感じる。じぶ

          焼き鳥とサンバ

          もう一度めぐってきた夏

          ビチクソ感想文:映画「君たちはどう生きるか」 公開二日目の朝いちの回。同居家族と出かけた。三日前に予約したときはポツポツ席が埋まり始めている状況で車椅子用の座席はすでに完売だった。べつに車椅子の身内がいるわけではないのだが、将来そうなるかもしれないと思っているのでつい目がいく。わたしたちはスクリーンに少し近い真ん中の席をとった。席について周りを見渡すと満席。人々の期待感が雲のように膨らんでいる。人があつまるとそれだけでお祭りになるんだなと思う。 本編が始まる前に今年公開さ

          もう一度めぐってきた夏