アメリカのプロパガンダを信じるのは、大人の子供だけ
アメリカが行ってきたプロパガンダについての論説です
要約
・ほとんどのアメリカ人は、マスコミに踊らされている
・政府は「アメリカが世界を支配するべき」という考えの
持ち主に率いられていている
・悲しいことに、アメリカは子供の国になってしまった
・「世論」は動員され管理すべきものになり、
「大衆の心」は理屈ではなく作り出すべきものになってしまった
・知識人や進歩主義者は、統制を権威主義的に押しつけられること
を受け入れた
・アメリカは善を装いながら、冷徹な権力操作を行ってきた
・JFKが演説で語った「平和」とは
OffGuardian
2022.10.11 by Edward Curtin
初めに
OffGuardianのベテラン投稿者であるEdward Curtin(エドワード・カーティン)が、ウクライナでの紛争についての彼の解釈を語っている。
バイデン政権がロシアを破壊することに執念を燃やしており、そうすることで核戦争の危険を冒すことは、今やどんな合理的な人にも明らかであろう。 ウクライナを最後の火種に使って、すでに第三次世界大戦を始めている。
問題は、理性的な人々がとても不足していることだ。レイ・マクガヴァンが最近「ロシアとの戦争のために洗脳された」と書いたように、バイデン政権とそのメディアの従者たちは、次のように考えている。
多くの優れた論者たちが、(その全員が主流メディアから追放されている)ウクライナを経由したロシアに対するアメリカ・NATOの戦争に関する企業メディアのプロパガンダが、なぜ虚偽でひどく危険なのかを明らかにしてきた。
アメリカ政府は、「アメリカが世界を支配するべきだ」というイデオロギーの魔の手にかかった白痴たちによって率いられている。
今に始まったことではない。
アメリカが行ってきたこと
私は事実について議論したいとは思わない。なぜなら、それは議論すべきことがあると示唆するために作られた愚か者の遊びだからだ。プロパガンダによる無知に支配されている国民や、古代ギリシャの女神ネメシスから、思い上がりで限界に挑戦する者を暗黒の怒りが打ち砕くことを学ばなかったエリートたちを除いて、証拠は明らかだからだ。
バイデン政権はすでにそれを行っている。バイデン大統領は、まるでパジャマとスリッパで街を徘徊するマフィアのボスのように、くだらないことをつぶやいているのである。
最近のノルドストリーム2の妨害行為も、Diana Johnstoneが最近の記事 "Omerta in the Gangster War(血の掟)” で明らかにしているように、我々が進んでいる危険な道のりの一例である。
何年もの間、アメリカが運営するNATOは、ロシアを包囲する国々に軍事力と基地を移動させてきた。その中には、すぐに核兵器に転用できるような兵器も含まれている。これは、私が以前指摘したように、ロシアがメキシコやカナダ、そしてキューバで同じことをする(軍拡する)のと同じである。
アメリカの反応は分かっている。プーチン大統領やロシア政府が「これは過去の合意に対する裏切りだ」と異議を唱えると、それがまるで子供の作り話であるかのように退けられたのだ。
2014年、米国がウクライナでクーデターを起こし、ネオナチ勢力を政権に就かせ、ロシアが西側の国境でこのクーデターに抗議したとき、ワシントンはそうした懸念をあざ笑った。ロシアがこうした挑発的な動きに文句を言うたびに、米国はそれを取るに足らないこととして退けてきた。
長年アメリカは、ウクライナによるウクライナ東部のロシア語を話す人々の殺害を支持してきた。そしてついに、ウクライナがドンバス地方を侵略するために軍を集めたとき、ロシア政府はもうたくさんだと思い、この地域を防衛するために軍隊を送り込んだのである。
こうして偽善的な西側諸国は、自分たちが作り出したものがついに裏目に出たという、憤りを演じたのである。 ロシアはウクライナを侵略した罪人として投げ出されたのだ。 そして今、ロシアに対するアメリカの本格的な戦争が公然と行われ、それが続けば続くほど、より危険になっていくだろう。バイデン政権が限界を超え続ければ、核による滅亡が非常に現実的な可能性となる。
ウクライナでの戦争に終わりはないだろう。なぜなら、アメリカはロシアを屈服させるために全力を尽くすつもりだからだ。 それは表面上は狂気の沙汰だが、しかしその後に、狂気の人々が責任者になっている。このプロセスでは、友人、敵、そして邪魔をする者、自国を破壊することに熱心な指導者がいると思われるヨーロッパの同盟国を含め、誰もが消耗品となる。
おそらく皮肉なことに、(しかし私はそうは思わない、歴史の知識が確認するように)新冷戦、検閲、CIA、FBIを支持するアメリカのリベラル層と、バーニー・サンダースやアレクサンドリア・オカシオ・コルテスなどアメリカ議会のいわゆる進歩的民主党政治家が、ウクライナ経由でロシアとの戦争を受け入れて投票したことには大きな驚きではないはずである。
これらの人々、そして共和党の賛同者は、(稀な例外を除いて)
”Desolation Row”(廃墟の街)に住み、そう命令されると手の平を返すのだ。 しかし、ボブ・ディランの言葉を借りれば「廃墟の街について思いを巡らす者などいない」。なぜなら、それが我々が住む社会の病であり、水の中の魚のように、多くの人間はそれ以外を知らないからである。
同じようなことだが、レイ・マクガバンは最近、ニューヨーク・タイムズ紙が伝統的に1960年代にベトナム戦争で行ったように、アメリカの対ロシア戦争を推進していることを、彼に注意を払う人々に思い出させた。 マクガバンのテーマはほとんど変わらず、謝罪もなく、アメリカの最も有名な新聞でありCIAのパイプ役であるこの新聞の読者は、子供だけが騙されるようなひどく明白なプロパガンダを毎日飲み込むように要求されるのだ。
悲しいことに、アメリカは子供の国になってしまった。おもちゃの国の赤ん坊たちは、筋書きの最後に銃が逆を向き自分たちに向けられることに気づかない。そして、それは決して面白いことではない。
一世紀前、第一次世界大戦の前の数年間、アメリカの進歩的な知識人たちは、スチュアート・ユエンが”A Social History of Spin" の中でこう書いている。
人々は、少なくとも中産階級の人々は、本質的に合理的であり、情報を評価し、知的な決定を下すことができるという啓蒙主義を信奉していた。 CPIの文脈では「世論」は動員され管理すべきものになり、「大衆の心」は今や理屈ではなく作り出すべきものと見なされるようになった。
理性への信頼は捨て去られ、「夜の心(感情の心理的操作と理不尽さの利用)」が優先された。これは、将来のプロパガンダと心理的手法適用の定番となり、CIAのMKUltraや、Operation Mockingbirdの前身となるものである。
1917年のスパイ活動法(これに基づいてジュリアン・アサンジは、今も冤罪で起訴されている)、そして1918年の扇動法が成立して反対意見への弾圧が強まると、いわゆる進歩主義者の多くは、今と同じように、国家が行う反対意見に対する統制を、権威主義的に押しつけられることを受け入れた。
貴重な例外はランドルフ・ボーンで、彼は1917年に「戦争と知識人」という辛辣なエッセイの中で、こうした転向者を非難している。彼は「社会主義者、大学教授、宣伝家、新共和主義者、そして文学者たちは、世界の一億の人々に戦争心理を植え付けるという不義な仕事を引き受けた」と書いている。現在このような人々のことを、リベラルと呼ぶべきか進歩的と呼ぶべきかと議論しているが、私は彼らを最低の戦争屋と呼ぼうと思う。
ヤンキードゥードゥルダンディ
私が多感な子供だった頃、テレビは数チャンネルしかなかったのを覚えている。 朝鮮戦争とベトナム戦争の間の時代である。テレビで定期的に繰り返される映画があった。第一次世界大戦前に、ブロードウェイを支配した男として知られ、ニューヨークのタイムズスクエアに銅像が立っているアイルランド系アメリカ人の作曲家、作詞家、劇作家であるジョージ・M・コーハンを、ジミー・キャグニーが演じた『ヤンキードゥードゥルダンディ』である。
私は子供だったので、この映画を何度も見て魅了された。見るたびに感情が高ぶった。”Over There" や"You're a Grand Old Flag" の曲に合わせて、私の心は踊った。私はキャグニー/コーハンと共に第一次世界大戦に誇りをもって行進した。
これは1942年に登場した映画で、第一次世界大戦の嘘を利用して第二次世界大戦の戦意を高揚させるために行われたものである。
しかし、ああ、なんて楽しいんだろう。そして、心を揺さぶる歌......子供にはたまらない。しかもこれは、まだCIAがハリウッドを完全に支配する前の話だ。
しかし、私は成長した。もう子供ではない。 ニューヨーク・タイムズ、CNN、ワシントン・ポスト、フォックス・ニュース、ガーディアン、ハリウッドなどのプロパガンダを研究し見破ってきた。
私の知人の多くはそうではない。 彼らは信じがたいことを信じている。彼らはいまだにジム・ギャリソンの言う「人形の家」に住み、ハロルド・ピンターの言う「広大な嘘のタペストリー」を受け入れているのだ。
ピンターは2005年のノーベル賞受賞演説で、アメリカの殺人的な外交政策について、それ以来少しも変わっていないことを述べた。
子供の頃、私は「ヤンキードゥードゥルダンディ」に催眠術をかけられた。
JFKが演説で語った「平和」とは
私は少しだけ成長した。 しかしマクガバンとピンターの言う通り、(アメリカは)ほとんど変わっていない。
ベトナム、第一次世界大戦、イラク、シリア、アフガニスタン、ユーゴスラビア、ソマリア、イラン、ニカラグア、エルサルバドル、中国、などなど。
そしてもちろんロシア、常にロシア、その中心には常に兵器が向けられている。民主主義と国際法を愛する者(に化けた富の収奪者)たちの安全を守るために破壊されなければならない。悪魔のようなロシアだ。
1962年10月のキューバ危機で深く傷ついたケネディ大統領が、1963年6月10日、アメリカン大学で真の平和と民主主義について語ったとき、彼は、国際関係が(特に核戦争の時代では)根本的に変わらなければならないことを認識した、最後のアメリカの指導者であった。
他国を非難しようとする時には、対話と相互尊重に道を譲る必要があったのだ。
彼はこう言った。
5カ月後に、CIAは彼の声を封じ込めた。
それ以来、このような所感を述べることは禁句となった。
アメリカのプロパガンダと戦争兵器を信じるのは、いまだに子供たちだけである。(了)
注
原題の”Only Adult Children Still Believe US Propaganda”の中にある ”Adult Children”は、普通は「毒親の下で育った悩める人間」の意味で使いますが、ここでは文意から「大人になりきれていない人間」のことを表していると判断しました
考察
どうやら、日本でテレビや新聞だけを見ている人にとって、「プーチンは極悪人」「がんばれ!ゼレンスキー」が常識のようです。
そんな彼らに「ミンスク合意」「マイダン革命」「ネオナチ」について尋ねても、十分な説明をできないのが実情です。ましてや「生物兵器研究所」「右翼セクター」などは聞いたことすら無いようです。彼らは、マスコミが流す(48時間以内にバレる)フェイクニュースや、ウクライナ側の(大本営)発表を信じ、(意図的に無視された)ロシア側の報道を目にすることも無いまま、開戦以降の9ヶ月を過ごしてきたようです。
しかも、テレビに出てくる軍事評論家はもちろん、情報通(?)と見られているブロガーやユーチューバーの中にも、一方的な「ロシア軍極悪非道説」や「ウクライナは負けてない説」を伝えている方々が見受けられます。彼らも現代のモッキンバード作戦に加担している一味なのでしょうか。彼らもランドルフ・ボーンがエッセイの中で非難している「転向者」なのでしょうか。
私自身は、大東亜戦争に至るまでの日本が置かれた状況と照らし合わせた場合、一方的なロシア非難を認める気にはなれません。
開戦に至るまでにどのようなことを行って相手を追い詰めていったのか、戦争を回避するためにどのような努力を行ったのかを無視して善悪の判断はできないと思います。
それとは別に、戦争中にどのような戦い方をしたのかも、後日しっかりと検証されるべきでしょう。戦闘の激化につれて非人道的な行為が行われることがあっても不思議ではありません。(しかし、この部分は勝者のプロパガンダで塗りつぶされてしまう可能性が高いところです)
今回の戦争で判断を間違えてしまう要因として、私が一番危惧していることは、プーチンが戦っている相手は、ウクライナではないということです。アメリカやEUですらありません。
プーチンが「敵」としているのは欧米の「エリート」です。
ウクライナを使って非合法な金儲けを企み、ロシア系住民を虐待するネオナチを育て、モスクワにミサイルの照準を合わせようとしている、欧米の「エリート」達です。
具体的に「エリート」とは、
ネオコン(バイデン、オバマ、ブリンケン、ヌーランド、ボルトン、ストルテンベルク…)
グローバリスト(シュワブ、フォン・デア・ライエン、マクロン、ジョンソン、トルドー …)
国際金融資本(ロスチャイルド、ロックフェラー、ソロス、ウォール街、シティ…)
マスコミや国際企業(ロイター、NYT、WP、ガーディアン、CNN、NBC、Meta、Google、ファイザー、カーギル…)
ではないかと私は推測します。
プーチン、9月30日の演説の中で、はっきりと欧米の「エリート」という言葉を使って彼らを非難しています。
プーチンはこの演説の中で、世界中で西側が行ってきた侵略や暴力、搾取について触れています。ソビエト崩壊後のロシアに対して「エリート」達が行ってきた欺瞞のことも明らかにしています。しかも、この「エリート」達は、自分たちの不遜な行為に対し恥じらいもなければ反省もなく、自分達がレイシストであることの自覚もないことを指摘しています。
細部にわたって歴史を調べて見れば、戦争が起きた原因、戦争が激化した理由、和平交渉を決裂させた犯人、相手国の主張が正しく伝えられていないことなどには、必ずと言っていいほど「エリート」達が関わっています。これは、近年のシリア、イラク、アフガニスタンだけでなく、古くはナポレオンの時代から同様に指摘されています。
ここで素朴な疑問があります。ロシアがウクライナに攻め込んだ理由は、(マスコミが伝えるような)プーチンの領土的野望からだったのでしょうか。海外資産の大部分を奪われ、経済的に孤立させられ、歴史的な大悪人と呼ばれようとも、ウクライナの領土が欲しかったのでしょうか。もう一度ソビエト連邦のような大国に戻りたいと願うから、ロシア国民はプーチンを支持しているのでしょうか?
もう一つの疑問は、今もなお大量の武器や資金(傭兵さえも)を送り続けて戦争を継続させている、アメリカ、NATO(そして日本)の国民の多くが、プーチンが倒されるまで戦争を続けるべきだと思っているのでしょうか? ウクライナ兵士がすべて戦死するまでは降伏するべきではないとでも思っているのでしょうか。戦闘だけが決着をつける唯一の方法だと思っているのでしょうか。
誤解を恐れずに述べますが、「現代の戦争を『国家と国家の争い』であると認識させられていること」こそが、ネオコンやグローバリストによるプロパガンダである、と私は考えるようになりました。
国民に気付かせないようにしながら、憎しみを煽り諍いを起こし、武器と金を貸し与えて戦いを激化させ、勝っても負けても金儲けができるように仕組んできたのが、プーチンの言う「エリート」達であったと私は考えます。
この考え方を「陰謀論」と呼んでいただいても結構です。
最後に言い訳めいたことを述べますが、グローバリストである「エリート」達の目指す一極支配の世界秩序と、ナショナリストのプーチン達が求める多極化された世界秩序の、どちらがより良いものであると考えるかは、人によって判断が分かれることと思います。
プーチン(そしてトランプ)が描く世界の多極化は、先進国(G7)の国際的な地位の低下につながり、経済的にも厳しくなるかもしれません。パックス・アメリカーナの終了で不安定な世界が生まれ、紛争が多発すると思う方がいることも理解できます。「うちの会社が潰れたらどうするんだ」と憤る方がいることも承知しています。
しかし私は、多極化した世界の方が、人類は大きな間違いを起こさないと考えます。
超覇権国と巨大資本が消え世界が多極化することで、仮に紛争が起きたとしても、兵器や物資、軍資金が供給できなければ、戦いの激化や長期化にはつながりません。正確な情報が伝われば国民も理性的な判断ができ、指導者の野望にブレーキをかけられるはずです。
紛争が起きても、早い段階で「手打ち」を迫られるでしょう。
それ以前に、開戦には踏み切れないと判断するかもしれません。(少なくとも、ゼレンスキーのような戦い方は不可能でしょう)
それでも紛争が起きた時は、(アメリカの軛から解き放たれた)
日本が、和平の仲介役になれる国であってほしいと、私は願っています。