漫才「新しい仕事」
A「どうもー、よろしくお願いしますー」
B「最後までよろしくお願いしますー」
A「あのー、実は俺、今度新しいバイトを始めることになって」
B「ほうほう」
A「それがコンビニの店員なんだけど、今まで接客とかしたことないから不安でさ」
B「あー、新しい一歩を踏み出すのって勇気が要るよね」
A「まあね、だから今日はちょっとここで練習させてもらいたいんだよね」
B「なるほど、いいよ、俺たちの集大成を見せよう」
A「集大成…?」
B「それで俺は何をすればいいの?」
A「え?ああ、じゃあ俺が店員をやるから、お前はお客さんをやって」
B「了解、今までの全てをぶつけるわ」
A「今までの全て…?」
B「悔いのない一日にしよう」
A「あの…」
B「俺たちらしく全力で走り切って…」
A「いやごめんちょっと待って」
B「ん?」
A「やめようとしてない?」
B「え?」
A「お前、今日で漫才やめようとしてない?」
B「いやいや、別にそんなことないよ」
A「本当に?なんかすごい最終回みたいな雰囲気出してたけど」
B「俺が嘘なんか付くわけないじゃん、お前には凄く感謝してるんだから」
A「いやその感じが最後っぽいのよ、色々あったけど感謝してますの感じなのよ」
B「気のせいだって」
A「そういえば登場した時も最後までよろしくお願いしますとか言ってたし」
B「この漫才の最後って意味ね」
A「その後も新しい一歩がどうとか…」
B「バイトの話に合わせただけよ」
A「でも集大成とか今までの全てがどうとか…」
B「俺はいつも全て出し切る気持ちで臨んでるからね」
A「うーん…」
B「さっきから気にしすぎだって、いいから早く接客の練習しよう」
A「いや、もうそんな時間ないよ、結構喋っちゃったから」
B「ああそうか、じゃあ仕方ないね」
A「とにかく何か言って締めないと」
B「えー……辛いことや苦しいこともありましたが、皆さんの応援のおかげでここまで続けることができました!皆さん、本当にありがとうございました!」
A「いや最後に意味深な挨拶するな、やっぱりやめる気だろ」