漫才「詐欺」
A「最近は色々と物騒だけど、中でも一番怖いのが詐欺ね」
B「あー、詐欺ね」
A「振り込め詐欺とか結婚詐欺とか、ほんと恐ろしいよね」
B「あー、はいはい、確かに恐ろしかったわ」
A「え?」
B「いやー、あれは恐ろしかった」
A「ちょっと待って、もしかしてお前、騙されたことあるの?」
B「あるよ」
A「本当に?俺全然知らなかったけど」
B「まあ結構最近の出来事だからね」
A「そうなんだ、どういう詐欺だったの?」
B「結婚詐欺だね」
A「うわー、マジか」
B「それが半年くらい前のことなんだけど、実はもうその時点で結構同棲とかもしててさ」
A「へぇー、ちなみにそれってどこで知り合ったの?やっぱり向こうから声かけてくるの?」
B「バイト先で一緒になって、俺から声かけたね」
A「ほう…」
B「なんか、料理も上手いし明るくてめっちゃ良い子でさ」
A「うん…」
B「俺お金ないから食費とかも全部出してくれて」
A「え…?」
B「何ならちょいちょいお金も貸してくれて」
A「……」
B「まあそれから結局4年ぐらい付き合ってたね」
A「いやそれ結婚詐欺じゃないだろ」
B「え?」
A「それ詐欺でも何でもないって、ただの料理上手の彼女だって」
B「そうなの?」
A「だってお前はお金とか取られたりしてないんでしょ?」
B「あっ、でも一緒に育ててた小っちゃいサボテンは別れた時に持って行かれたよ?」
A「いやクソどうでもいいわ、ミニサボテンは被害に入らないから」
B「結構愛着沸いてたのに…」
A「知らねえよ、ってか金借りたまま別れてるお前の方が詐欺師寄りだろ」
B「うーん…」
A「真面目に聞いて損したわ」
B「いや、でも、俺実は他にも詐欺にあったことがあって」
A「どうせまた結婚詐欺とか言って普通の恋愛話するんだろ?」
B「違う違う、今度のは振り込め詐欺だから」
A「振り込め詐欺?」
B「なんかこの前、中学の同級生だっていう奴から電話がかかってきてさ」
A「うん」
B「最近病気で倒れて入院してる、みたいな話をしてきたんだけど」
A「ああ、それで金を…」
B「手術はもう済んでて、今は順調に回復してるみたいで」
A「え…?」
B「お前もいい年だから体には気を付けろ、って忠告してくれたんだよね」
A「いやそれのどこが詐欺なんだよ、ただの優しい旧友だろ」
B「なんかその後も、今度みんなで集まるからお前も来ないか?とか言われて怖かったわ」
A「同窓会誘われただけだろ」
B「やっぱり振り込め詐欺って怖いよねー」
A「いや誰も何も振り込んでねえじゃねえか」
B「お前もいつ犯罪者に狙われるか分からないんだから、ちゃんと対策しておいた方がいいよ」
A「犯罪の話なんて一つもしてないけどな」
B「あっ、せっかくだし、俺が特別に良い人紹介してあげようか?」
A「良い人?」
B「実は、知り合いが霊能力で危険を回避する防犯セミナーをやってて…」
A「いやお前とそいつが一番怪しいわ、関わらないでくれ」