漫才「甲子園」
A「どうもー、よろしくお願いしますー」
B「お願いしますー」
A「あのー、実は俺、学生時代ピッチャーをやっててさ」
B「へぇー」
A「結局全然ダメだったんだけど、甲子園で投げるのとかずっと憧れてたんだよね」
B「そうなんだ」
A「だから今日はちょっと、甲子園の雰囲気だけでも味わいたいなと思って」
B「あー、いいね」
A「じゃあ俺がピッチャーをやるから、お前は相手チームのバッターをやって」
B「はいはい……あっ、ちょっと待って」
A「え?」
B「あのー、知らない人もいると思うんですけど、甲子園というのは毎年春と夏に開催される高校野球全国大会のことで…」
A「いや甲子園の説明しなくていいわ、みんな知ってるから」
B「兵庫県西宮市にある阪神甲子園球場で行われていて、そこは阪神タイガースの本拠地でもあって…」
A「球場の説明もいいって」
B「西宮市に全国中等学校優勝野球大会の開催を主目的として建設された日本で最初に誕生した大規模多目的野球場であり、収容人数は日本の野球場の中で最大なんですけど…」
A「いや詳しいな、甲子園の歴史に詳しいな」
B「2008年からは日本の野球場としては珍しいオフィシャルスポンサー制度を採用していて、アサヒビール・東芝・ミズノ・三菱電機・セブンイレブンの5社が施設命名権ないし球場設備に関わっているんですよ」
A「詳しいけど関係ないな、もうその情報漫才と関係ないな」
B「あっ、ちなみに野球というのは2つのチームが攻撃と守備を交代しながら各頂点に4つのベースを持つ菱形の区画において得点を競い合うバットとボールを使うスポーツなんですけど…」
A「いや今更野球自体の説明はいいわ」
B「塁上に走者がいる時に投手が反則行為を行った場合、全走者に各1個の進塁を許すことになって…」
A「いやボークの説明はもっといいわ、漫才コントの中でボーク犯す奴いないから」
B「1840年代半ばに最初の野球のルールを書いたアレクサンダー・カートライトがボークに該当する行為を…」
A「ああもういいもういい、やめてくれ」
B「え?」
A「今そんなこと説明する必要ないから」
B「ああそう」
A「あくまで甲子園の雰囲気を味わいたいってだけだから、他の情報はどうでもいいのよ」
B「なるほど、了解」
A「ボークができた経緯とか聞かされてもしょうがないのよ」
B「ごめんごめん、次はちゃんとやるから」
A「よし、じゃあ俺はピッチャーをやるからお前は早くバッターを…」
B「あっ、ちょっと待って」
A「え?」
B「あのー、知らない人もいると思うんですけど、これは色々な設定に入りながら掛け合いで笑いを取っていくというもので…」
A「いや漫才の説明始めようとすんな、いい加減にしろ」