漫才「交番」
A「あのー、水餃子乾かしながらでいいから聞いてほしいんだけど」
B「そんな中華のアンチみたいなことしてないけど、何?」
A「俺、子供の頃交番のお巡りさんに憧れててさ」
B「ほう」
A「やっぱりこう、街の安全を守ってくれてる感じで格好いいじゃん?」
B「まあね」
A「道に迷って困ってる人を助けたりとか、ああいうのも良いなーと思ってて」
B「はいはい」
A「だから今日はちょっと、今から俺にお巡りさんをやらせてほしいんだよね」
B「なるほど、別にいいよ」
A「よし、じゃあ俺は交番で待ってるから、お前は道と血液型を聞きに来て」
B「いや道だけでいいだろ、警官の血液型気になったことないから(離れる)」
A「…(伸びをする)いやー、凄まじい快感が全身を駆け巡る朝だなー」
B「気持ちのいい朝ね、なんか刺激的な感じになってるけど」
A「こんな日は部屋にこもってラジオを聴こう」
B「外に出て街を歩けよ」
A「…あれ?どうかされました?(声をかける)」
B「あっ、えーっと、銀行への行き方を知りたいんですが…」
A「Oですよ」
B「…はい?」
A「自分、O型ですよ」
B「いや血液型は聞いてないです」
A「ちなみにあなたは?」
B「AB型ですけど」
A「おお、輸血のしやすさなら僕の勝ちですね」
B「何で競ってるんですか、いいんですよそんな話は」
A「で、どういう用件でしたっけ?」
B「だから、銀行への道を教えてもらいたくて…」
A「え?何ですか?(耳を澄ます)」
B「銀行への道を教えてもらいたくて」
A「え?何て?」
B「銀行への道を…!」
A「あー、ちょっとラジオがうるさくて聞こえないな」
B「いやそっちで音量下げてくださいよ、なんでこっちが合わせに行かなきゃならないんですか…」
A「(バンッ!)」
B「…え?」
A「あっ、もう止まったんで大丈夫ですよ」
B「いやラジオに発砲して音止めるなよ、どうかしてんのか」
A「一件落着ですね」
B「事件勃発だわ」
A「あのー、それで用件は?」
B「いやだから、銀行への道を教えてもらいたくて…もうそれどころじゃない気がしますけど…」
A「あー、なるほど、銀行ですか」
B「はい」
A「それならこの道を真っすぐ行くとラーメン屋があるので、そこを右に曲がってください」
B「ラーメン屋を右…」
A「しばらくするとパチンコ屋があるので、そこを左に曲がってください」
B「パチンコ屋を左…」
A「そうするとすぐに服屋が見えるので、そこで上下黒に着替えてもらって」
B「服屋で着替え…?」
A「それから隣のコンビニでマスク、向かいのメガネ屋でサングラスを買えば準備完了です」
B「いや俺銀行強盗じゃないんですよ」
A「え?」
B「俺、強盗の装備揃えたくて道聞きに来てるわけじゃないんですよ」
A「あっ、そうなんですね、奥二重だったのでつい」
B「人相で判断すんな」
A「まあとにかく、銀行ならあの信号を左に曲がればすぐですよ」
B「あの信号を左ですね?」
A「はい」
B「分かりました、ここにいるのも怖いんでもう行きます、ありがとうございました(立ち去ろうとする)」
A「あっ!ちょっと、忘れ物ですよ!」
B「忘れ物?」
A「ほら、やっぱりこれがなきゃ始まらないでしょ?(銃を渡す)」
B「いやだから強盗じゃねえんだよ、いい加減にしてくれ」