コント「行列」
A「(並んでる)」
B「(歩いてくる)……あれ?すごい長さの行列だな」
A「(並んでる)」
B「何の店だろう?」
A「(気付く)あっ、あなたも並びますか?」
B「いや、あのーちょっとお聞きしたいんですが」
A「はい」
B「これって何の行列ですか?」
A「あー、これは行列の行列ですよ」
B「え?」
A「行列に並ぶための、行列です」
B「ん?どういうことですか?この先にお店とかは…」
A「ないです」
B「人気のラーメン屋とか、何かのイベントとか…」
A「ないですね、行列の先にあるのは、行列です」
B「すみません意味が分からないんですけど」
A「これは行列に並ぶこと自体を目的とした、行列愛好家による行列です」
B「うわー、意味は分かったけど全然意味分からない」
A「あなたも並びます?」
B「いや大丈夫です、過激なデモとかよりこっちの方が怖いので」
A「…あっ、また一人愛好家の方が並びに来ましたよ(指差す)」
B「何が楽しいんだろうな…」
A「…ちょっとあんた!横入りするなよ!マナーを守れないなら帰れ!」
B「え?あー、帰っちゃったけど」
A「まったく、困ったもんです」
B「いや、今の人、ちゃんと後ろに並んでたと思うんですけど…?」
A「分かってないですね」
B「え?」
A「そもそもこれは並ぶこと、待つこと自体を目的とした行列ですよ?そしてその快感を最も味わえるのはこの最後尾」
B「ほう…」
A「なのでここでは遅れた順に先頭に入るのが暗黙のルールなんです」
B「なかなかの初見殺しだな」
A「さっきの奴はね、いつもそれを破って後ろに並ぼうとするんです」
B「そうなんですか」
A「ああいう奴にはきっと罰が当たりますよ!」
B「すごい怒ってる」
A「行きつけの店、参加するイベント、病院の待合室、全てで待ち時間がゼロになるでしょうね!」
B「うわー、その罰当たりたいな」
A「それであなたは?並ぶの?並ばないの?待つの?待たないの?」
B「いやー、僕はやっぱり大丈夫です」
A「そうですか」
B「先輩と待ち合わせもしてるし……(時計を見る)あっ!もうこんな時間だ!」
A「どうしました?」
B「待ち合わせの時間過ぎちゃってます!うわー!遅刻だー!」
A「話し過ぎてしまいましたね」
B「大分待たせちゃってるので僕もう行きますね!」
A「そうですか、お気をつけて」
B「(走り去る)」
A「遅刻……待たせてる……いやー、良い後輩だなー」