コント「天才料理人」
A「(目を瞑って腕を組んでる)」
B「おい、一体いつまで待たせる気だ?」
A「………」
B「お前の評判を聞いて特別に呼び寄せたというのに」
A「………」
B「いいか?私はこの国の王だぞ、これ以上ふざけた真似を続けるなら…」
A「(目を開ける)ご心配なく、料理はすでに始まっています」
B「なに?どういうことだ?」
A「私は直接食材に触れることなく、その味を認識することができます」
B「ほう」
A「そして一度頭の中で調理し、完璧なレシピが出来上がった状態で実際に作業を始めるのです」
B「なるほど…やはり天才料理人という噂は本当だったか」
A「今は全ての食材の中から最高の組み合わせを見つけ出している所です」
B「そうか、ではなるべく急いでくれよ」
A「承知しました…(目を瞑る)」
B「しかし頭の中で調理して完璧に味を把握できるとは…」
A「あれとこれはダメ…あれとこれも合わない…」
B「大いに期待できそうだ」
A「あれとこれもダメ…あれとあれは全然ダメ…」
B「なるほど、こうやって最高の組み合わせを…」
A「あれはダメ…これはもっとダメ…」
B「もう少しだけ待てば…」
A「あれもダメ…これもダメ…」
B「……」
A「あれもダメ…これは最悪…」
B「……」
A「……ダメ……ダメ……ダメ……ダメ」
B「いやお前消去法で見つけ出そうとしてない?!」
A「カニとチョコは合わない…」
B「わざわざ考えなくても分かるだろ!」
A「……ダメ……ダメ……ダメ……ダメ」
B「やばい今日国中の食材集めちゃってるわ」
A「……ダメ……ダメ……ダメ」
B「ちょっともうやめてくれ!」
A「(目を開ける)どうしました?」
B「これ終わらないわ!」
A「私はいつもこうやって…」
B「いやなかなか食べられないとは聞いてたけどね。予約が取れないとか行列がすごいとかそういう事だと思ってたわ」
A「でも最高の組み合わせを見つけるにはこれしか…」
B「最高より先に最悪を見つけちゃってたから」
A「じゃあ一体私にどうしろと言うんですか!」
B「いや良さそうなやつから選べよ!良さそうなやつの中から徐々に絞り込めよ!」
A「なるほど、上手い」
B「上手いってなんだ」
A「ではその方法で試してみます」
B「頼むよほんと」
A「お待たせしてしまってすみません」
B「まあ分かってくれたならいいんだ。最高の料理を期待してるぞ」
A「はい!お任せください!(目を瞑る)」
B「よし、これでようやく食べられそうだ」
A「……キクラゲと生クリームはダメ……ウニと角砂糖はもっとダメ」
B「いやそもそもめちゃくちゃ勘が悪い人だった」