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アンティグアから日帰りで。おすすめの村2つ/サンアントニオとサンタマリア

【グアテマラ旅行記 vol.2】

アンティグアには三泊四日のみの滞在でしたが、その間にどうしても行きたくて行ってみた近郊の村が二つ。

どちらもアンティグアからバス一本で行けて、半日でも行けちゃうので、午前中にアンティグア観光をして午後に近郊の村へ(逆でもOK)というスケジュールも可能です。

織物で有名なサンアントニオ・アグアス・カリエンテス(San Antonio Aguas Calientes)

一つ目の村は「サンアントニオ・アグアス・カリエンテス(San Antonio Aguas Calientes)」。

グアテマラには、マヤ文明を引き継ぐ先住民(=マヤ人)が今でも多く暮らしています。グアテマラに暮らすマヤ人は21にの民族に分けられ、特に多いのが全人口の11%を占めるキチェ族、ほかにケクチ族、カクチケル族、マム族の人口が多い(参考:Wikipedia「マヤ人」)。ちなみにマヤ文明の栄えた地域はグアテマラの他に、メキシコ南東部〜ユカタン半島、ベリーズ、ホンジュラス、エルサルバドルです。

マヤ人の文化で個人的に興味深いのが、その民族衣装。繊細な模様の入った美しい衣装を、今なお日常的に身につけているのです。

このサンアントニオ・アグアス・カリエンテス(以下サンアントニオ)は民族衣装の織物の技術に秀でているとのことで、布が大好きな私はぜひ行ってみたいと思いました。

アンティグアの市場を覗いても、このように民族衣装を着た人と現代的な洋服を着た人が混ざっています。

アンティグアのバス乗り場について

アンティグアからサンアントニオまではバスで行きます。

地球の歩き方を見てバス乗り場には辿り着けたものの、そこにはものすごくたくさんバス(どれもめちゃ派手)があり、どのバスがどこに向かうのかという情報がさっぱりない……。ターミナルのマップや時刻表や路線図なども一切なく、日本や先進国の常識とは大きく異なります。

地球の歩き方には何も書いてない!

ではどうするのか、というと…行き先はバス前方に派手に書いてあるので、ひとつひとつバスを見て探します。「San Antonio」という文字を見つけたらそれがサンアントニオ・アグアス・カリエンテス行きのバスです。

グアテマラには似たような名前の村が多いと聞いていたので、間違えたくない!と思って、最初はしつこくバスの運転手さんに確認していました。

他の目印としては、たいていそばで

「サンアントニオ〜サンアントニオ〜」

と少年(お手伝いしているのだろう)が叫んでいます。

もしくは、近くにいる現地の人に「サンアントニオ?」と聞くと、高確率で教えてくれます(グアテマラの人はみんな親切でした)。

チキンバスとは?

バスにある程度人が乗ると、出発。時刻表がないので定刻があるかどうかは不明です。

ところどころで人をピックアップし、なんとなくの時点でお金を回収する人が座席まで回ってきます。今回は3.5ケツァルでした。(ケツァル=グアテマラの通貨。当時は1Q=13円ぐらい。)

これは通称「チキンバス」と呼ばれ、現地の人の足になっています。名前の由来は「鶏を乗せるかのようにギュウギュウ詰め」ということ、だとか。本当にその通り、乗せられるだけ乗せるという感じで、二人乗り座席に三人座るのは当たり前。

バスはアメリカのスクールバスのお下がりということで、外観の派手なデコレーションは見もの。

ちなみに私が乗ったときは一人だけ観光客という感じが多かったのですが、お金を回収された時にぼったくられることはありませんでした。もちろん気を抜かないよう……居眠りはせず荷物はしっかり握りしめていました。

サンアントニオの織物市場でお買い物

降りるのは終点の一つ手前とわかりづらいので、バスに乗る時に運転手さんに「サンアントニオ?」と念押ししてさらに「パルケ・セントラル!」と言っておくとたぶん教えてくれます。

この中央広場(パルケ・セントラル)に面して、織物の市場(建物)があります。小さな店(土産物屋)がいくつも入っています。二階建ての建物の中央には中庭があり、意外にきちんと整っている印象。

通路には織物の実演をするおばさまの姿も。

さっそく店に入ってみると客引きがすごく、一度入ってしまうと出ようとする時に「じゃあいくらなら買うのよ!」となってしまいうので、なかなか大変。今思えばこれはグアテマラの日常茶飯事で、遠慮無く断って大丈夫です。嫌な顔されてめげていては買い物ができません。

いくつか見たうちひとつの店で、小さな織物を購入しました。鳥と花の模様が織り込まれていて、しかも裏表がないという素晴らしい技術です。サンアントニオの織物はカラフルな色合いが特徴的。一見するとどの店も同じものを売っているように見えますが、よく見ると微妙に色合いや模様が違います。値段は300ケツァル(=約3900円)でした。

そこで帰ろうとしたのですが……

2階の階段近くのおばさまに引き止められました。彼女が身に着けていたウィピル(=民族衣装)の織物が他の人より輝いて見えてしまって、思わず「きれいですね〜」とかなんとか、覚えたてのスペイン語を喋って自分から店へ。

この女性、名前はアナさん。彼女は素晴らしい技術を持っているようで、他の売り場やアンティグアにある土産物屋とはひと味違う色味と感触。

私はとある大きなウィピルに一目惚れしました。濃いグレーの地色に淡いグリーンを基調とした柄。おしゃれ!値段を聞くと、まけてまけて700ケツァル(約9100円)。そんなに持っていないから諦めようと思ったんですが諦めきれず……結局次の日に買いに来ようかな、という流れになってしまいました。

・・・

翌日、またもや「サンアントニオ〜」の声のもとへ行き、バスに乗車。なのですが降りる場所を警戒しすぎて、早く降りてしまいました

何もない道端で途方に暮れていたところ、たまたま降りてすぐのお店にいたお姉さんがいい人で、次のバスが来るのを一緒に待ってくれました。グアテマラの人はみんな優しいです。

そして、アナのところへ。「ほんとに来たの?」って感じの顔だったけれど、とにかく買ってしまいました。母へのお土産用にも昨日と同じような小さいものを一枚買って、しつこくまけて合わせて900ケツァル(約11700円)で。旅の最初からかなりの出費をしてしまったなぁ。

でも、こういうカラフルでしっかりとした織物(ジャガードっぽい厚手の生地)が好きな方は、グアテマラの他の地域ではあまり見ないので買っちゃっていいと思います!特に両面に模様があるのは珍しいので。

この生地はもともとウィピル(民族衣装)として作られたものなので、真ん中に首を通す穴が空いていましたが、アナがざっくりと縫い合わせてくれました。さらにおまけにコインケースもいただきました。

ちなみに織物以外にはこれといって見るところはないので、滞在時間はそう必要ないかと(長くて2〜3時間あれば充分)。

中央広場前にはマンゴー売りのおじさんが。マンゴー美味しかったです。安いし。

ただ一つ注意点が。この織物、パナハッチェルという街に行った時に荷物が増えたので郵便で日本に送ったのですが、届かなかったのです……!今でもそのショックは消えず、問い合わせ番号を消せずにいます(国際郵便の番号なんですが、日本郵便のHPで入力しても「登録されていない」と出てしまう)。何が原因だったかはわからないのですが、グアテマラから荷物を送るのは多少のことなら控えたほうが無難かもしれません。

Santa María de Jesús(サンタマリア・デ・ヘスース)へはハイエースで


アンティグアから訪れたもう一つの村は、Santa María de Jesús(サンタマリア・デ・ヘスース)です(以下サンタマリア)。

この村は、アンティグアからも見えるアグア火山の麓にあります。登山の入り口として訪れる人もいるらしいけれど、盗賊が出たりして危ないので絶対に一人では登っちゃいけないんだとか。街自体も標高2050mということで酸素の薄さを少し心配していましたが、少しの滞在なら問題ありませんでした。

・・・

サンアントニオの時と同様、アンティグアのバスターミナルで「Santa María」と書かれたバスを探したけれど、ない。どうしようかとウロウロしていたら座っていたおじさんが声をかけてくれて、

「サンタマリーア!向こう側だよ」

と親切に教えてくれました。でもそれ以上のスペイン語は全く理解できないので困っていると、もうひとりのおじいさんが

「よっしゃ連れてったるよ、ついてこい」

と言わんばかりに案内してくれました。みんな親切すぎる!


おじいさんが「あれ!ロッホ!ロッホ!(赤という意味)」と指差す先は、チキンバスではなく赤いハイエース

「Muchas gracias!(どうもありがとう)」

と言うとみんな

「De nada.(どういたしまして)」

と返してくれて、常に「いいからいいから」という感じのグアテマラ人。

真っ赤なハイエースの中には子どもが3人乗っていました。本当にこれで合ってるのかな?とちょっと不安でしたが、料金も3.5ケツァルと高くなく、ちゃんと着きました。子どもがいると心理的には安心しちゃうけれど、宿でちゃんと情報を得てから行くのがベターだと思います。なお、帰りはなぜかチキンバスがあったので、臨時便のようなものかもしれません。


サンタマリアの日曜市へ

この日は日曜市が開かれていたため、ものすごく人が多く賑わっていました。ここも中央広場(パルケ・セントラル)。隣には市庁舎が建っています。

小さな子からおばあちゃんまで、衣装がとてもきれい!

先住民の村で写真を撮るのはとても嫌がられると聞いていたし、大きなカメラを持っているだけで目立つので、緊張してカメラを構えていました。なにせ「グアテマラの人は写真を撮られる=魂を取られると思っているので、写真を撮るとボコボコにされる!」という噂まであったので。

でもきちんと「撮っていいですか?」と聞いたり雑談をしてからの撮影だと、意外と笑顔で写ってくれる方が多かった印象です(たまにNOと言われる時もありますが)。いきなり正面からカメラを向けられたら、そりゃ誰だって嫌だよなぁ……。

売られているものは様々で、陶器、野菜、その場で食べられるアイス、洋服などなど。

女性は民族衣装率が高いのですが、男性は洋服ばかりでした。グアテマラは一部の地域を除いて、男性の民族衣装を着ている人はほとんどいません。

あれ、何やら出し物をしている様子。


カッコいい公共の洗濯場

グアテマラでは手で洗濯をする文化が未だに残っています。サンタマリアにも公共の洗濯場があり、数人洗濯をしている人がいました。バスから降りてすぐの場所です。

この洗濯場、腰壁と洗濯槽はコンクリートの一体打ちで、水色に塗られています。コンクリートから鉄骨?の柱を立てて、屋根は波板。真ん中だけ露天になっている回廊のような形状。潔くてカッコいい建築です。

小さな女の子もお手伝い?

お母さん(恐らく)に許可をとって撮影しました。

・・・

グアテマラの宝物のひとつが「人」であることは間違いないので、図らずもこうして、写真を撮る術のようなものを学んでいます。写真を撮るためのコミュニケーションのことなんて旅を思い描いている段階ではわからなかったけれど、大きな副産物でした。

しかも写真を取りたい場所に辿り着くのにもコミュニケーションが必要で、コミュニケーションはスペイン語なので、色々と一緒に成長していける気がしています。

NYやヨーロッパなど、有名な建築をまわる旅をしてきたので、なんだかとっても新鮮です。名のある建築がほとんどない国を歩きまわり、写真を撮る喜びは、あまり想像していませんでした。


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