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建築・暮らしのこと

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古今東西の建築の話、暮らし一般の話、いろいろ書いていきます
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#建築家

「地域社会圏」は”パリピ”の集い?

「パリピの考え方だね」 山本理顕+仲俊治『脱住宅』を読み、夫(建築とは関係ない仕事をしているが、同じ藝大出身)にその概要を話した。 ちょっと端折りすぎかもしれないが、こんなふうに説明した。すると返ってきたのは、 という反応だった。 「パリピ」。言い得て妙である。 ずっと建築の設計をしている私でも、この本に書かれている暮らし方に若干の気恥ずかしさやためらいを覚えてしまう。確かに自分はできる、でも、誰もができる暮らしなのだろうか。そう疑ってしまう。 夫は、話を聞いて瞬

アールトとバラガン|家具と建築

アルヴァ・アールトの作品集を眺めていて、既視感に襲われた。 「最近、どこかで同じような感覚を抱いたな……」 悩むほどのことでもない。それは、ルイス・バラガンの建築に抱いたのと同じものだった。 バラガンと同じく、アールトの建築写真も美しい。 理念や思想を飛び越えてまっすぐ目に訴えかけてくるような、わかりやすい美しさがある。庭や緑を大切にし、鮮やかな濃淡をつくり、強い形態で語りかける。 しかし…… しばらくページをめくっていると、やはりどこかが違う。アールトとバラガン