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西成は逃れの町?薬物と前科者と暴力団を「私」の目から見てみた。そしてホームレスとコロナについての思い。



私が西成に通おうと思ったのは軽い気持ちからだった。仕事がなくなったときで落ち込みもあったし、西成の人たちは陽気で楽しくて、人と話すのが好きになるかも!よし、しばらくここへ通おうと本当に軽い気持ちでいた……


西成にいると言うと、他県の人ですら「危ない町」「スラム街なんでしょ?」と返してくる。
当初の私は「そんなことないよ!」「それは昔の話!」と否定していた。

私は自分のことを底辺だと思っていた。
大抵の経験(自殺の理由になったりするような事など)はしていたし、これ以上苦しい思いなどないと過信していた。

西成を甘く見ていたのだ。

なぜなら、最初の頃に話していたひとたちは、西成の外から来た人ばかりだったからだ。

西成の人から言わせれば、«外からの人間»。

外からの人間というのは、西成以外の地域から来て、合法な仕事に就き、ごく普通に生活出来ている人たちのこと。

西成という町を一風変わった飲み屋街と認識しており、ただ楽しみに来ている人たちであり、正しく遊んでいる。店主たちと仲良くやるが、何にも痕跡を残すことなく去っていくのだ。


そりゃもう髪の毛の一本も。次来るのは早くて来年かもしれない。潔さったら素晴らしい。


とある店の店番もするようになった頃、少し異変を感じ始めるが、私はまだ楽しめていた。


「頭おかしい奴、だいたいワンカップ飲む」

なんて言ったりして笑っていたほどだ。

客はワンカップ片手に店にやってきて、またさらに店で二三本平気で飲み干す。

最後にはわけのわからない話をし始め、相席になった人を困らすほどだ。(いい意味で)
まだ笑える部類の人間であり、愉快な仲間たちと言ってもいいだろう。

(たまに転倒して頭から出血したり、そもそも会話が出来ない人間もいるがそれはご愛嬌)


酔っ払いなんてどこの町にもいるだろう。
たまにはやらかすこともあるだろう。
それは普通の人たちと話していても、酒飲みならエピソードの1つや2つある。


ここでひとつわかることがある。
酒飲みのエピソード、物を壊す、喧嘩をする、倒れる。
それ以上のことが西成にはあり、酒以上に怖いことが沢山あるのだ。

おおまかに西成と語っても失礼になるかと思うので、西成のちょっとごちゃごちゃしたディープな周辺の話です、ということだと言っておきます。詳細は避けます。

そしてあくまで外から来た人間が見聞きした見解なので、事実とは違うことがあると思って読んで頂きたいです。ノンフィクションと言いたいですが、私小説という部分もあるので、限りなくノンフィクションに近いフィクションってことにしておいてください。


①謎の制度、兄弟分の登場。

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