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英語学習用の米国ニュース放送チャンネルの紹介
以下の英語学習本でも紹介したが、こちらの記事でも海外放送の情報について書いていく。
アメリカは世界一の経済大国というだけあって、多数の民間TV放送チャンネルがあり、そんな中でもPBSやVOA(Voice of America)のような公営放送も充実しているのがおもしろいところだ。
海外放送チャンネル一覧
PBS NewsHour
アンカー: Amna Nawaz (アムナ・ナワーズ), Geoff Bennett (ジェフ・ベネット)
アメリカ唯一の公営TV放送PBSによるニュース番組である。アメリカ国内の他のニュース番組と比べると比較的アメリカ国外の世界情勢について取り扱う時間が長く、質の高いリポート・中立な報道姿勢に定評がある。
アメリカの視聴者に対するアンケート調査でも偏向報道が特に少ない(中立) とみなされており、信頼できる報道メディアランキングでも上位に名前が挙がる番組である。
自分の場合はNewsHourを題材とした以下教材を使っていたこともある。ただ、かなり以前に発売されたものなのでニュースの内容は2000年頃のブッシュ政権やイラク戦争初期の時代とかなり古い。
ABC World News Tonight
アンカー: David Muir (デイビッド・ミュアー)
ディズニー傘下ABCによるニュース番組。日本国内のニュース番組でアメリカのニュース映像が取り上げられる場合、ABC World News Tonightの映像が使用されているケースが良く見られる(※NHKなど)。
世界で最も視聴されているニュース番組と称しており、実際YouTube上のチャンネル登録者数もアメリカ3大TVネットワークの中ではもっとも登録者数が多くなっている。
公式サイトだとアメリカ国外での閲覧制限が厳しく、英語学習用には主にYouTubeチャンネルに上がった動画を使うのが良いだろう。
NBC Nightly News
アンカー: Lester Holt (レスター・ホルト)
NBCユニバーサルの中核であるNBCによるニュース番組。報道姿勢としてはABCと類似。YouTubeや公式サイトへの動画アップロードが早く、毎日学習に利用するならNBCが使いやすいと個人的には感じている。
CBS Evening News
アンカー: Norah O'Donnell (ノラー・オドネル)
パラマウント傘下CBSによるニュース番組。ABC/NBCと比べると若干中道寄りで、特にアメリカ軍人への扱い等は大きめ。ただ、オンラインへの進出に関してはABCやNBCと比べ出遅れている印象だ。
大手3局の中ではもっとも中道寄りな報道姿勢となっており、共和党支持者への視聴者む含めたバランス感覚を強く意識しているように見える。
それでも共和党右派、特にトランプ信者のような人たちからすると、左翼メディアの一端扱いされてしまうのがアメリカの分断の激しさを物語っているのだが・・・
American Forces Network (AFN)
在外アメリカ軍人向けのラジオ放送。インターネットでの配信含めて、日本国内においても米軍基地が近くにある地域ではAMラジオ放送の810MHz帯で聴取することが可能である。
会話速度はナチュラルスピードなので、英語学習が十分に進んでいない段階では内容を詳細に聞き取るのは難しいかもしれない。
個人的に英語学習でよく使っていたのが、AFNのスポットCMを題材とした下の本で、個人的に思い出深い教材だ(アフィリエイトはありません)
Voice of America (VOA)
アメリカ政府による国営放送であり、多言語に対応したニュース放送を行っている。英語学習者向けに難易度調整をしたニュース記事も取り扱っているので中級レベルの英語学習者も利用可能だ。
かつてはVOAニュースを中心に取り扱った「VOAニュースフラッシュ」という学習本のシリーズが発売されていたが、2021年度版を最後に販売を終了してしまっている。
アメリカ人のニュース番組に対する見方
TV放送の偏向度合いに対するイメージ
近年のアメリカでは民主党支持者・共和党支持者間の分断が進み意見の対立が先鋭化する場面が急激に増加している。
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各党支持者のでは各メディアの偏向度合いに対する認識が全く異なっていることがわかる。
民主党支持者では、3大TVネットワークも含めてある程度中立な報道をしていると見なす一方、共和党支持者では大手メディアの情報をほぼ信用していないこともわかる。
FOX Newsの迷走と先鋭化するトランプ信者
そして、特に共和党・民主党の支持者の間で全く認識が異なるのがFOX Newsである。
民主党支持者からはもっとも偏向したメディアと見なされる一方、共和党支持者からはもっとも偏向が少ないメディアと考えられている。しかしながら、これはあくまで2018年時点での情報であることに留意する必要がある。
FOXはバイデン政権になる以前、2016~2020年のトランプ政権には対して概して好意的であり、トランプが発信する過激なデマをファクトチェックなしに流すことが常態化していた。
ただ、FOX社内ではそのような報道姿勢が問題視されていたようで、2020年での大統領選挙でトランプが落選し、さらに議事堂襲撃事件が発生して以降、FOXは次第にトランプ陣営から距離を置くようになっていった。
さらには過激な発言でも有名だった人気アンカーのタッカー=カールソン氏までも解雇する判断にまで踏み切った。
その後にもFOXニュースにおいてドミニオン社の投票機についての陰謀論(民主党有利なように投票機を操作している etc.)を放送し続けたことについて、ドミニオン社から名誉毀損による訴訟を起こされている。しかし、FOXはドミニオンと事実関係を争うことなく和解・賠償金支払いに至っている。
デマでも何でも良いから視聴者を取ったもの勝ちという、一時は報道機関としての矜持すら投げ捨てたようなFOXであったが、最後の最後でギリギリ踏みとどまったとも言えるのかもしれない。
しかし、その代償として失望したトランプ信者の間ではFOXすらも信用できないメディアであるという烙印を押されるようになってしまった。
今やFOXに愛想を尽かしたトランプ信者や極右集団を相手にトランプ賛美の論調、デマや陰謀論を大々的に流布することを厭わないようなメディア(News Maxs, One America News Network等)が台頭しているような状態だ。
トランプが振りまく嘘や陰謀論がアメリカの民主主義やメディアや選挙制度への信頼性すらも傷つけているという根深い問題がある。
もしトランプが2024年の大統領選挙で勝つことなく退場することになったとしても、陰謀論に傾斜する人たちが大勢いる限り、民主主義への脅威の火種はずっとくすぶり続けることになるだろう。
参考書籍: