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【やらないと損】2.4倍選ばれるポップアウトによる商品選択の誘導
※この記事は無料で読めますが、お役に立てたら文章の最後にある購入ボタンから研究をご支援いただけると幸いです。
ポップアウトをご存じですか?
ポップアウトとは、対象を1つずつ順々に探索しなくても目的の物がすぐに目に飛び込んでくる現象を指します。
簡単に言うと形や色、向きなどが1つだけその他の対象と異なる場合に自然と目に飛び込んでくることを指します。
日常にあるポップアウト効果
有名なところだとコカ・コーラの自販機を見たことはあるでしょうか。
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コカ・コーラの自販機では必ず上段、左上に「コカ・コーラ」が置いてあります。
![](https://assets.st-note.com/img/1727791651-8gpjLwRPoXUi5IlVkqaHBer3.png?width=1200)
そして「コカ・コーラ」の周りにはアクエリアスや水などの淡い/透明の飲み物が配置してあります。
これは人の目線がまず左上からチェックする心理的な動きと、薄い色の中で【黒】という強い色がその他の対象と異なることで目に飛び込みやすくするポップアウトの効果を狙ったものです。
ポップアウトによる効果は人に「選択させる」作用があると考えられています。
ポップアウトに関する研究
実際にどんなデータがあるかご紹介します。
下記はポップアウトによって人の商品選択をコントロールできるのでは、という実験になります。
大学の構内にデジタルサイネージの自販機を置き、ランダムな商品1つの背景をグレーにすることでポップアウトさせることで期待値よりも購入されるのか調べたものです。
![](https://assets.st-note.com/img/1727792431-CPZM6LvVou9qwSWzKIFrYp8T.png?width=1200)
実環境において,ポップアウトが選択行動に影響を与えるかどうかについて検証するため,ポップアウト機能を搭載したデジタルサイネージ型の自動販売機を開発し,大学内に設置し,ポップアウトが選択時間の短縮につながるか,選択の幅は広がるのかについて長期的な調査を行う.また,実験で得られたログデータをもとに,ポップアウトの利点や問題点などを明らかにする.なお実験では,商品の提示において,その一部にポップアウトを適用する場合と,適用しない場合とを切り替えることで,選択行動に影響があるのかを調査する.3.1 ポップアウト機能を持つサイネージ型自動販売機実験のために開発したサイネージ型自動販売機を図 4に示す.自動販売機は,11列×3段=33カ所に商品が並べられ,提示されている.実験の際,自動販売機において販売した商品の情報である販売ログを記録する.具体的には,販売日・販売時間・販売商品・販売結果・商品選択・販売商品の位置・ポップアウト位置・購入にまつわる所要時間を記録した.なお商品選択は,商品を先に選択してから硬貨を投入したか(先選択)と,硬貨を投入してから商品を選択したか(後選択)によって条件を分ける.また,購入にまつわる所要時間は最初に金銭が投入されてから商品が搬出されるまで,投入金額が規定の額に達してから商品が搬出されるまで,最後に商品が選択されてから商品が搬出されるまでの3種類の条件を記録した.実験システムでは,ポップアウトあり・なしの条件を比図 4 開発・設置したサイネージ型自動販売機Fig. 4 Signage-type vending machine developed and installed. c較するため,ポップアウトなしの場合はすべての商品の背景色を統一して提示した.ポップアウトあり・なしはその条件が同程度になるようにするため,同じ割合でランダムに選定するようにした.ここで,ポップアウトあり条件の場合は,ランダムに選択された1つの商品の背景色を変更し,その商品にポップアウトを適用するようにした(図5).3.2 実験手続き実験は,明治大学中野キャンパスの6階にサイネージ型自動販売機を設置して実施した.この自動販売機は停電の期間を除き,つねに稼働している.商品の位置は実験期間中に2回行われた商品入れ替えを除き,つねに固定とした.また,商品は在庫に応じて補充を行い,売り切れが発生しないようにした.実験協力者は自動販売機に飲み物を購入しに来た不特定多数の人とし,自動販売機に実験中であることを張り紙で掲示した.この張り紙には個人情報を記録していないことについては記載したが,ポップアウトの演出,時間の計測に関する内容は記載していない.実験実施期間は2018年9月1日から2019年8月7日の約1年間で,得られたデータ(販売件数)は6,037件であった.実験実施期間の途中でHOT商品を売っていた期間があるため,2018年9月1日から2018年10月31日13時までをCOLD1期間(1,099件),2018年10月31日13時から2019年4月11日14時までをHOT/COLD期間(2,281件),2019 年4月11日14時から2019年8月7日までをCOLD2(2,657 件)期間とする.なお,実験開始前の約1年にわたりポップアウト機能がないサイネージ型自動販売機を設置していたため,この期間に当キャンパスに通う学生はこのサイネージ型自動販売機に慣れていたと考えられる.
明治大学
細谷美月
山浦祐明
杉本知佳
佐々木美香子
中村聡史
富士電機株式会社
高松英治
角南尚幸
実験結果
33の商品の中からランダムにポップアウトした時の商品の選択件数が下記になります。
ポップアウトした時の販売数を商品の数である33で割った数を期待値としていますが、平日/休日共に期待値以上の選択件数になるという結果になりました。
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平日/休日で分けている理由は主に2つです。
平日はZ世代かつデジタルサイネージの自販機に慣れた学生が多いため「慣れ」によってポップアウト効果が下がる可能性を考慮された
休日は大学外の人も購入するため「慣れ」の影響が少ない可能性が考慮された
色による差異
今回ポップアウトを「背景をグレーにする」のみであったため、商品自体のパッケージに左右されるかを調べた結果です。
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グレーに埋もれる暗い緑のお茶などが含まれる中性色、コーヒーなどの黒については期待値を下回る結果となりました。
しかし透明では期待値の2倍以上も選択されています。
グレーの背景によってより目立つ透明が飛びぬけて選択件数が多くなっているため、ポップアウトによって商品の選択をコントロールできるという仮説は充分に実証されたと言えます。
もしどうしても選ばせたい、他に並んでいる商品よりも手に取ってほしいと考えるのであれば、ぜひポップアウトを取り入れてみてください。
皆様のサービスが一つでも多く手に取ってもらうために、行動経済学、社会心理学をご活用ください。
研究ご協力のお願い
最後までご覧いただき誠にありがとうございました。
今後も商品選択の要因の研究を進めていくため、皆様にもご参加いただけますと幸いです。
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