個人ビジネスを成功へと向かわせる9つの大鉄則:第3話「壱努、小さく始めるを理解する」
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「その理屈はわかりました。でも、皆成功すると思って起業準備をするわけじゃないですか?初めからあたりを付けてやりはじめるものなんじゃないんですか?」
「そこに起業の難しさがある。こちらが想定して準備していたものはな、実際リリースしてみるとそのほとんどが使えないか変更を余儀なくされる」
「えっ、怖すぎます」
「それほどまでにユーザーが本当に欲しいと求めているものとこちらが考えていることには溝があるということだ。その溝を埋められるかどうかでビジネスがうまくいくかが決まってくる。実際にリリースしてみてユーザーの反応や声を聞いて、求めているものに近づいていくんだ。もちろんやっていく中で様々な困難が待ち受けているものだがな」
「そうなんですね。例えばどんなことが起きるのですか?」
「実はいらないものだった。既存のビジネスで似たようなものがあった。といったところにたどり着いてしまうことも多い。まあ、そのあたりの話はまた今度にしよう。ここも重要な話になってくるからな」
「もうすでに頭がパンクしそうです……」
「とにかく頭の中で考えているビジネスはほとんどの場合、うまく機能しない。そして、多くの人がわかっていないことなのだが、リリース直後は驚くほど売れない」
「売れない?!」
またしても壱努は驚く。
「まったく売れない。信用も何もない状態ということもあるが、とにかく売れない」
大吉は続けた。
「だから初期投資を抑えなくてはならない理由はここでも生きてくる。運転資金があるうちは創造的なアイデアも浮かびやすいが、追い込まれてくると人は焦って誤った判断を取りがちとなる。という点からも常に余裕を持てるよう心掛けたいな。それ程、資金というのは大事なんだ」
驚きから立ち直った壱努は思っていることを口にする。
「理屈はわかってきましたけど、小さく始めると言ってもそのやり方が思い浮かばないです。仮にお店を始めるとしたら小さく始める方法って??テナントの規模を小さくするとかですか?」
「まだまだ創造性が足りないようだな。ビジネスは創造性を働かせることと工夫を行うことがとっても重要だぞ?工夫次第でいくらでもやり方を見つけることは出来る。
たとえばお店を借りることを小さくするなら、訪問サービスに変更する。さらに小さくするならネットを使ってアドバイスを行うサービスに変更するという手段をとることもできる」
「あ、ほんとだ。かなり小さくなりましたね。こうやって小さくしていくのか」
「これをすべてにおいて行って、なるべく資金がかからないように抑えることだ。究極は0円になるまでコストを減らす工夫を行うことだな」
「0円?!でも、さっきのネットでアドバイスするというのはたしかに0円で出来そうですね」
「そのとおり。工夫とは考えることでもある。頭を柔軟に使って、創造的な解決策を導き出していくんだ。では、ウェブサイトやロゴの外注を小さくするにはどうしたらいいかな?」
「そうですね。外注自体にお金がかかるから、小さくするには…自分で作ってみる…とか?」
「間違ってもいいから自信を持って考えてごらん。人に聞くのではなく自分で考えることも創造性を鍛えるコツだ」
「自分で作ってみます!でも、待てよ。そもそも作らないっていう手もあるんじゃないか?SNSで集客すればコスト0だ!」
「いい視点だな。そうやって小さく始めることからビジネスを成長させていくんだ。そこで反応をじっくり眺めながら試行錯誤を繰り返して次のステップ・ビジネスの拡大へと進んでいく。当然反応がなかったら、またビジネスの種を見つけるところからやり直しだ」
「それってあたりが出るまでずっとってことですよね?」
「もちろん」
「準備資金をここで使ってる場合じゃないなって思っちゃいました」
「収入が途絶えてしまうことにプラスして生活費もまかなわなくてはならないしな。だからな、小さく始めると言ってもいきなり起業することは勧められない」
「んんんー??起業すら小さくしちゃうんですか?!」
「あらゆるリスクを最小に抑えて長い間、市場に残り続けるためだ。どんな方法があると思う?」
「あたりが出るまでずっとコストをかけない…」
「だいぶ筋がいいな。もっと具体的に言うと?」
壱努は深く考えた。
「うーーーーーん、わからないです」
「それは副業から始めるということだ」
「副業から?!」
「そうだ。副業なら収入を安定させたままビジネスを育てていくことが出来る。そうやってコツコツ成長させて本業と同じくらい稼げるようになってから起業するんだ」
「確かにリスクを抑えながら成長もできて良い気もします。が…」
「が?それで成功するんですかって?」
壱努は黙ってうなづく。
「こんな裏付けがある。副業から始めた人の方が33%もその後成功した。これはきっとそれだけビジネス開始時のつまづきが多いということなのだろう。そして、ユーザーの反応を見て試行錯誤を重ねることがいかに大事かがわかる。その仮説と検証の繰り返しの先にスタートラインが見えてくるんだ」
「気持ちばかりが焦って大きく起業することだけが成功だと思っていました。でも、そんなことはないですね。いや、むしろそのやり方は危ういことがよくわかりました。小さく始める、か。とても大事ですね」
「大企業と違って個人でやるなら、なおのことリスクは抑えておいた方がいい。しかし、リスクヘッジはこれだけでは終わらない。もう一つ。起業を継続させていくうえで重要なリスクヘッジ策がある。次からはその方法を教えよう」
「まだこれ以上のリスクがあるなんて…」
小さく始めることについて理解した壱努ですが、まだ十分なヘッジ策を手にしたわけではありません。次回からは第2の鉄則【失敗しても良いようにヘッジ策を考えておく】をして解説していきます。
このストーリーは【個人ビジネス、はじまりの教科書: 個人ビジネスを成功へと向かわせる9つの大鉄則】を元に作成しています。鉄則が気になる方やご興味ある方は下記よりKindle書籍をダウンロードください。
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