第1章 オイルマネーに沸くベネズエラ
さんざんだった、南米第一夜
一九六五年四月二八日、二一時過ぎ……私はカリブ海上空を飛ぶヴァリグ航空の乗客の一員だった。
間もなく到着するベネスエラのカラカス空港では、私のために大勢の報道機関が今や遅しと待ちかまえているはずなのである。
「こんな夢みたいなことがあっていいのだろうか……」
つい三日前、東京を発つ日に父が亡くなるという不幸もしばし忘れ、新しい期待と不安にすっかり落着きをなくし、鎮静剤を飲み続けたが一向に効かない。
この日までの六か月間というもの、私と契約したカラ