【取材】アルバルク東京・横田晶次郎さん「人生の楽しみをBリーグに見た」
日本の首都・東京。
日本で一番人の集まる街には、いくつものスポーツチームがあります。
Bリーグの中でも「東京」をホームにしているクラブがいくつかありますが、その中でも安定した強さと資金力を誇る【アルバルク東京】。TOYOTAを母体として設立されたこのクラブは、2022-23シーズンから代々木第一体育館をホームアリーナとして、連日多くのお客さんを集めている。さらには2025年秋に「TOKYO A-ARENA(トウキョウ エー アリーナ)」をお台場エリアの青海にオープンさせる予定で、注目が集まっている。今回は、そのアルバルク東京のファンの間で「団長」と呼ばれ親しまれている、横田晶次郎さんにお話を聞きました。
――代々木体育館での開幕戦、凄かったですね!
あれだけ大きな会場で試合ができるというのは、昔を思うと段違いでしたね。昔はその日に行けばチケット取れる、という時代もあったので(笑)
9000人もの人が集まるというのは、いちバスケファンとして嬉しいです。コロナが無かったらもう一段階上を目指せていたかもしれませんが、今後も何があるか分からないですからね。
ただ、成長はしていると思うんですが、ここからさらに一段二段上がっていくのが難しいですよね。
――何年も通ってると、毎試合埋まっているけど、なんとなく同じ人ばかり見るなぁ、と感じる時もありますよね。
そうですね。
僕らは3000人のアリーナから1万人くらいのアリーナに移りましたので、見た事無い人がほとんど、みたいになりましたね。応援がどうなるか心配はしてましたが、MCの方があおればしっかり応援されていて、応援の形というものが作られつつあるのかな、と思って安心しました(笑)
ーー声が出せるようになったらまた変わるでしょうから、楽しみですね!
そうですね!
いつ頃から変わるんでしょうね。他のスポーツでは部分的に声が出せるようになってきてるようですけど。
ーー野球やサッカーなど、徐々にテストしてるスポーツは出てきてますね。入場者を半分にすればOK、みたいな感じみたいですね。
運営や経営の事を考えると悩ましいですね。でも、どっかで動いていかないと変わらないですよね。
ーー責任の所在が難しいですよね。島田さんなら突破してくれそうな気がしますけどね。
確かに。誰かが声を上げていかないと、このままでも良くないでしょうしね。
ーー先日ジャパンゲームがありましたが、NBAとの違いは感じますか?
先日のゲーム行ってきたんですが、NBAとBリーグのノリの違い、差を感じましたね。Bリーグは結構マナーに厳しいんですが、NBAは簡単にスタンディングが起こるんです。良いプレーやTシャツの投げ込みなどで総立ちになったりする。あのノリはNBAの良いところだと感じましたね。
あれだけ雰囲気が違うと、NBAが好きな人がBリーグをなかなか見る気が起きないのも理解できてしまいます。
ーーBリーグは選手と共にファンの移動も多くて、なかなかチームにファンが定着しにくい部分もありますよね。
そうですね。少しアイドル的な要素と言いますか、選手個人を推すファンの方はとても多いと感じてます。選手と共に応援するチームも変わったり、というケースは良く見ますね。
ーーアルバルクではどうですか?
東京という街は、地方からの人が集まっているので、住んでる人が多いとはいっても、皆さん自分の生まれ故郷を応援してる事が多いです。それもあって、チームよりも個人推しのファンは特に多いのではないかな、と思ってます。
それを強く感じたのは、竹内譲次選手、安藤誓哉選手ですね。この2人の移籍は大きかったですね。全試合来てたファンの方が突然来なくなったりしました。もちろん、それとは逆に安藤周人選手のファンの方が新しくアリーナに来たりしてますけどね。
ーー僕は、アルバルクに対して「Bリーグの中心であり、タレント集団でいてほしい」と思ってます。良い意味で、他のクラブのファンから嫌味を言われるくらいお金使って凄い選手を集めてほしいんです。スポーツリーグには、そういう「ジャイアント」がいた方が、「打倒アルバルク!」みたいな構図が生まれて、ドラマも生まれていくと考えてます。タレントを集める事で、ミーハーなファンが来てくれる理由にもなると思いますし。
そうですね。僕は、他チームからのヒガミやクレームはある程度は褒め言葉だと思うようにしてます(笑)
有名な選手目当てで来てくれた人を、あとはいかにリピーターにしていくか、ですよね。3000人の会場ならコアなファンで何とかなると思うんですが、1万人を毎回集める、となるとミーハーを毎回呼びながらリピーターを増やさないとならないですからね。
ーー「TOKYO A-ARENA」計画もありますが、お台場という立地だと「帰りになんとなく寄る」という事がしにくいので、より何か理由がないと、ってなりますね。
お台場は「海を渡る」というイメージありますよね(笑)
代々木は行きやすいですよね。
ーーFUN'RISEという活動は、「0→1(ゼロイチ)」を目指しているので、ミーハーを集める事と近いと思ってます。
コロナの影響もあって、新規のお客さんの足が遠のいてしまったのはありますね。今から、Bリーグ元年だと思うくらいのつもりで色々やっていかないと、なかなか難しい環境になってしまってますよね。
ーーこんな活動始めてる僕ですら、やはりコロナが気になって現地に行きたくないと思ってしまってた時期はありました。観戦仲間にも医療従事者の方がいて、今でも気軽に観戦に行けないようです。
そうですよね。
僕も妻が医療関係なので、コロナがピークの頃はホーム含め自粛してましたし、その翌シーズンも制限しながら、アウェーは完全に自粛してました。
ーーこればかりは何とも言えないですが、寂しい気持ちにはなってしまいますね。
でもその中でも、応援はしていきたいですよね。横田さんはこういった状況含めて、「応援」に対してはどうお考えですか?バスケットボールキングさんの記事も拝見しましたが、改めてお話頂ける部分はありますでしょうか?
別の記事と重複してしまう部分があるかもしれませんが、僕は、宇都宮ブレックス公認サポーターズグループ『B-rAids』代表の萩島さんや、シーホース三河公認サポーターズクラブ『たつのコネクト』代表の戸根さんと仲良くさせて頂いてるんですけど、お二人はBリーグ以前から長くチームを応援されてきて、色んな状況を知ってます。
それこそ、ファンが少なかった頃から声を出して応援されてきて…そういった「継続すれは形になる」という事を教わった事が、応援を続けられている源になってますね。
今はコロナの状況で苦しい事もあるかもしれませんが、続けていれば良くなるし、またきっと応援合戦が出来るようになる、と思ってます。これは「0→1(ゼロイチ)」ではなく、少し先の話にはなってしまうかもしれませんが、他チームのファンとの交流、というのも楽しみにしてほしいですね。
ーー試合結果に関わらず、そういう楽しみがあると会場に来る理由になりますよね。
そうです。仲間に会う場所にするのもアリだと思います。
ーー島田さんの受け売りですが、「負けても満足出来る環境を作らないとお客さんは増えない」と思います。
そうですね。毎回CSに行くような強いチームでなくても集客が上手くいってるチームこそ、本当に人気のあるチームなんだな、と思います。
特に秋田(ノーザンハピネッツ)さんとかは凄いと思いますね。地域密着で、会場の雰囲気も良いですしね。以前、CNAアリーナに行った時に、タクシーの運転手さんに聞いたんですが、「子供がチケットを取ったけど行けなくなってしまった場合に、親に行けないか聞く。親が行けないならお爺ちゃんお婆ちゃんが行けないか聞く。とにかく席を空けないように家族で努力する」んだそうです。
確かに、アリーナにはご年配の方が多くて、みんなピンクのうちわを持ったりして、本当にアットホームな会場の雰囲気でした。
ーー秋田、いいですよね。
ですね。東京にはなかなか無い、地域密着で羨ましかったです。
若い人も大切なんですが、年齢関係なく僕みたいに「一生アルバルクファン」みたいな人が増えてほしい。
「親がアルバルクファンだから、気付いたらアルバルクファンになってた」みたいな状況が理想だと思ってます。
野球だと結構そういうの多く聞くじゃないですか。親が阪神ファンで、阪神が負けた翌日は親の機嫌が悪くて、勝った日は機嫌が良くて小遣いくれる、みたいな(笑)
僕はそういう「スポーツに支配される」というのが面白いな、と思ったんです。なんか人生楽しそうだな、と(笑)
僕もそういう生活にしてみたいな、と思って、色々探したんです。てもやっぱりバスケが一番好きだったのと、そのタイミングでBリーグができるよ、と聞いて、「1個のチームを応援してみよう」と決意して、「人生を楽しくする要素にしてみたい」と思いました。
ーーへ〜!チームや選手が好きで、というよりは、「応援したい」から入ったんですね!
そうですね。なんとなく、自分の人生に「スポーツ」を入れたくなったんです。スポーツを「やる」のは年齢的に厳しくなってきたし、「目指す」のも若いころの特権かなとおもっていたんですが、「応援」は年齢関係ないな、と思ったので!
ーーなぜアルバルク東京だったのでしょうか?
これはもう完全に流川理論で、「近いから」ですね(笑)
僕は山口出身で大学進学で東京に出てきたので、今では山口にいた期間より東京にいる期間の方が長くなりましたが、入りとして「生活に取り入れたい」があったので、「行きやすいところ」である事が重要でした。そういう意味では、地方の人と感覚は同じだと思います。
その頃(NBLの時代)は行ける距離でトップリーグとなると「アルバルク東京」か「日立サンロッカーズ」だったけど、純粋に色が緑の方が好きだったという事もあります(笑)
あとは、その頃日本代表の田中大貴選手や、僕の好きな松井啓十郎選手がいたという事もあります。
それと、「無くならないチーム」がいいな、と思いました。まだバスケは「ドメジャー」なスポーツではなかったので、せっかく応援しても消滅してしまうと悲しいし、「人生に取り入れたい」と思ったからこそ、TOYOTAさんの安心感は大きかったです。
元々バスケが好きで、競技としては中学生までやってて、中学校の頃からNBAを見てて、スパーズを応援してました。あとはスラムダンクがジャンプで連載していた頃に見ていたので、バスケはとても好きでした。ただ、NBLやBJといった国内リーグは田臥選手の話題を見てたくらいで、観戦にはあまり多く行った事がなかったんです。
ーー観戦行ってから決めよう、とは思わなかったですか?
そうですね。田臥選手を見にいく事が多かったので宇都宮戦が多かったですが、結局見に行くのはアルバルク東京対宇都宮、みたいな感じで、結果的にアルバルク東京はよく見てました。
今では沖縄行ったりタイまで行ったりしてますが、当時はバスケを見に遠征まではしようと思ってなかった。なので、やはり行ける範囲のアルバルク東京かサンロッカーズにしよう、というのは決まってました。
ーーその頃、アルバルク東京のホームはどこでしたか?
あの頃は都内の色々な体育館で開催されていたイメージがあります。Bリーグ初年度は代々木第二体育館で、立飛に決まったのは、Bリーグ2シーズン目でした。本来であれば代々木がホームアリーナだったんですが、オリンピックの関係で立飛を使っていたんですよね。
ーーじゃあ、渋谷に通っていた可能性もあったんですね。
はい、その可能性は全然ありました(笑)
本当にちょっとした事でしたね。いろんなチームを見てから決めよう、とは思ってなくて、僕の性格からしても「ここ!」と決めて、しっかり追いかけたかったんです。
もちろん観戦に行った事はあったのですが、その時はまだ「友達が誘ってくれたから」「田臥が来るから」くらいの感覚でしたね。「1シーズンしっかり応援しよう!」と決めたのは、Bリーグ開幕直前のシーズンからでした。
「ここと決めたからには人生かけて応援しよう!」という事を決めたんです。元々バスケファンではあったのですが、「ファン活動をしよう」と意識が変わった感じですね。
ーー「率先して応援をしよう」と決めたのは、「自分がつい声が出てしまっていた」なのか「これは応援団が必要だな」と思ったのか、どちらが近いですか?
どちらかといえば後者ですね
アルバルク東京には必ずTOYOTAの応援団さんがいて、先導して盛り上げてくださっていたんですよ。なので、応援を先導してやる必要がないと言いますか、応援団さんの応援についていけば良い、みたいな感覚でした。
ただ、Bリーグになって、プロチームになったタイミングで応援団が無くなった…というか、クラブが「ファン主体」に切り替えたんです。僕らは事情を知らないので「応援団来なくなっちゃったなぁ」くらいに見てたんですけど。
歴史的な開幕ゲームでは、MCさんが会場を盛り上げてくれていたのでなんとかなっていたけど、琉球さんの応援には歯が立たなかったです(笑)
琉球さんは本当に手馴れていて、手も足もでなかったのを覚えてます。
それで、シーズンが始まって、運営側から応援をあおっていたけど、応援席側から応援、というかリーダーシップをとる人がいなかったので、「応援してるな」という雰囲気にはならなかったのを覚えています。応援団による応援が急になくなったので、「どうしたらいいのかわからない」という状態でしたね。それをシーズン前にファンが知る事もなかったので、シーズンが始まって、いきなり「あれ、来なくなった」と知る感じでした。
ただ、僕らからするとそんな感じでしたが、クラブとしては前から決まってたはずなので、きっと応援団さんからしたら「いけなくなってしまった」という感じだったと思うんですけどね。
そんな中で、1人だけ声を張り上げても「なんだこいつ」になっちゃうし。その中でもなるべく声出すようにしてたんですが、前に座ってるおじさんに「うるせぇな」って言われたりしました。
最初はそんな雰囲気でしたが、徐々に応援する感じが広まっていって、「応援したい」と思ってる人たちで声かけあったりするようになりました。
——そこから応援をリードする形になったのはなぜですか?
応援に関しては素人だったんですけど、クラブにはもっと「クラブ側で応援を盛り上げてほしい」と何度も話に行ったのですが、クラブはあくまでも「ファン主体にしたい」と言ってたんです。そんな会話をしているうちに「あ、僕も他人任せにしちゃってるな」と気付いたんです。
それで、やってみよう、と。
とはいえ、僕もまだ新参者なので、長く応援している人からどう思われるか心配でした。
まずは「アウェーで一番最初に声を出す」とか、天皇杯で「オフェンスコールの第一声を必ずやろう」と意識したところからスタートしたのを覚えてます。
Bリーグ1年目のチャンピオンシップ、川崎戦が本当に悔しかったんですが、あの試合で初めて「みんなで応援できた」という感覚をもてたんですよね。もっと応援したらもっと勝てるんじゃないか、と思うようになりました。
そこから、「応援してるので、よかったらどうぞ」という感覚から、積極的に「応援しましょう!」と声をかけるように変わりました。
そのタイミングで立飛に移ったんですが、僕らみたいな「イチから応援を始める」チームには最適なアリーナだったと思ってます。一旦立飛のサイズでしっかり応援文化を作っていけた、という事で、立飛に移った事はとても感謝してます。
――あのサイズが良い訓練所になっていた、という事ですね。ですが、肝心の応援についてはどのように練習、進化していきましたか?
僕らは一から応援を学ぶ立場だったので、アウェーに行く、というのはとても勉強になりました。先ほども出ましたが、ハギさん(宇都宮ブレックス公認サポーターズグループ『B-rAids』代表の萩島さん)や、戸根さん(シーホース三河公認サポーターズクラブ『たつのコネクト』代表)には本当にお世話になりました。
お二人に限らずですが、応援の中心メンバーは、会場に行くといらっしゃる位置が大体分かるので、お二人には特に必ず挨拶に行って勉強させてもらってました。
覚えているのは、アーリーカップか何かで、一日複数の試合が行われる時に、ブレックスの試合でハギさんの所に行って「研究生させてください!」なんて、めちゃくちゃな事を言って勉強させてもらいました(笑)
ハギさんの隣に立って、どういうタイミングでどういうコールをするのか、とかを学ばせてもらいましたね。すごく勉強になりました。
戸根さんもそういう事にウェルカムな方なので、アルバルク戦が無い日に、関東で行われる三河戦の時に現地行って、戸根さんの隣に座らせてもらって勉強しました。
長く応援されてる方って、コールするタイミングとか盛り上げ方を熟知されているので、ただ声を出すだけではなく、試合の展開を見て考えて応援しているんだな、と知りました。
そうやって考える事で少しずつアルバルクの応援も良くなってきているのを感じて、それが楽しみになってきましたね。前に出てやってきた、という事はありますけど、ただ僕が目立ってただけで、本当に、応援はみんなで作り上げていったと思ってます。
——そのお二人に学べるのは羨ましいです。ある意味最高にエキサイティングな席だと思います(笑)
そうですよね、僕も楽しかったです(笑)
僕が理想としているのは琉球のような会場です。固定のコールリーダーがいなくても、どことなく声が出てきて、自然と一体感が作られる会場です。それってどうやったらできるか?って考えてるんですけど、それって「バスケを知ってる人が多い」って事なんですよね。「今のディフェンス凄い!」と思うタイミングが一緒で、一緒に声が出る、という環境なんですよね。
それって、いきなり作れるものではないので、まずは応援団に近い存在がいて、「声を出す」という環境を自然に作れる事からかな、と思いました。
うちは応援団という存在は無いんですが、皆さんが僕を「団長」と呼んでくれるので、少しでも役に立てればと思っています。
ーーしょーじろうさんの肩書は何ですか?(笑)
僕は肩書とかないです(笑)
みんなが「団長」と呼んでくれて、公式の応援団だと誤解されてしまうので最初は否定してたんですけど、明らかに僕に対して「団長」と呼んでいるのに無視してもアレなので(笑)
作り上げたい雰囲気は、NBAも近いと思ってます。凄いプレーに拍手や歓声が起こり、4クオーターには自然に総立ちになる、みたいな。
今はそれに向けた第一段階を踏んでるところですね。
「団長」と呼ばれているものの、僕1人ではなくて、色々な方が協力してくれています。それがもっと広がっていって、いつか琉球さんみたいな会場になったらいいな、と思っています。
ーー琉球の雰囲気は本当に凄いですもんね。
語弊がないように伝えておきますが、応援団がある応援を否定したいわけではないです。僕は琉球さんも宇都宮さんもとても素晴らしい雰囲気だと思ってます。宇都宮さんの中で応援させて頂いた時も、とても楽しかったですし、とにかく会場の一体感を作れればどちらでも良いと思います。
ただ、僕の理想としてというか、東京というチームは「誰が来ても自然と一緒に盛り上がれる」会場になる事が合ってるかな、と考えてます。
ーー宇都宮さんの応援は凄いですもんね。あの空気は1~2年で簡単に作れるものではないですよね。
本当にすごいです。相手チームへの圧力は、宇都宮さんがNo.1だと思ってます。オフェンシブというか、攻めの応援という感じがします。
応援団として仕切っている人って、人柄がとても良い。人が付いてくる雰囲気を持ってます。それに尽きると思います。
僕にはそれが無いと思ってますし、自分がずっとやりきるのは難しいかな、と思ってます。なので、誰が仕切ったとしても、どれだけのお客さんが来たとしても、同じように応援できる空気を作る、というのが目標ですね。
ーー日本の中心都市として日本中から人が集まる東京という場所で、もし琉球さんのように「自然に湧き起こる応援」ができるようになったら、それってもはや「日本人のバスケIQが上がっている」という事になりますよね。
そうですね、そう思います。そうすると集客もグンと上がると思います。
僕は琉球さんの応援は「釣られる」感覚というか「自然に応援したくなる空気」があると思ってるんです。それは宇都宮さんも同じで「応援しない方が浮いてる感覚」になるというか・・・
全国の会場でそんな空気になっていったら楽しいし、東京でそれができるようになるのが本当に理想だと思ってます。
もっと言うと「東京って凄いな!」って言われたいんですよね。選手やチア、スポンサーなどのレベルは、高いと思うんです。ただ「応援」についてはまだその高いレベルに追いついてない。アルバルクは選手が強くて日本一にもなっているクラブですけど、その強い選手に見合った応援を心がけていきたいと思ってるんです。
クラブスローガンは「We」っていうんですけど、選手もフロントもファンも、関わる人全部をひっくるめて「We」だと思っています。
それなのに、ファンの数や応援の力がまだ足りないと思ってます。
なので、今回ryo:さんがおっしゃっているような【0→1(ゼロイチ)】をもっと意識して、【1】のレベルが高いクラブになったら嬉しいですね。
ちょっと僕、ファンっていうか運営的な目線になっちゃってますけど(笑)
ーーそうですね(笑)すごく広い視野、長期的な目線でクラブを見ている感じがします。
ですよね(笑)
この「We」というスローガンは、立飛に移ったタイミングで社長が打ち出したシーズンスローガンだったんですけど、それが今ではクラブスローガンになってまして、僕はこのスローガンが好きなんですけど、ファンもクラブの一員として考えてくれている、という意味があって嬉しいんですよね。
だからこそ、ファンとしてどこまでやれるのかを探っているんです。たまにやり過ぎたりしますが(笑)
でも、境界線がどこにあるのかはやってみないと分からないので、色々やってみたいです。スラムダンクで言えば、魚住がファウルの線を引いた!みたいな、アレですね。
僕はホームにはほぼいるので、やっぱりコアなファンの方と仲良くなる事が多いので、コアなファンの目線は分かっているつもりですが、コアな人だけが楽しめる空間は良くないと思うので、ライトなファンも楽しめるようなバランスが大事だと思ってます。
もちろん、コアなファンは毎試合来るような人たちなので、毎試合来る人が毎試合楽しめないのはそれでそれで良くないので、バランスですね。
とはいえ、選手推しのファンの方には受け入れがたいかもしれませんが、本気で、Bリーグの選手たちはNBAの選手たちみたいに「手の届かない存在」になってほしいと思ってるんです。選手推しのファンの方たちも、好きな選手がスーパースターになる事は望んでいると思うんです。でも、ファンイベントなどで一緒に写真撮ったりしたいんですよね。
僕は、そういうふれあいが無くなってもいいから、選手の価値が上がってほしいんです。やっぱり一番はバスケと、バスケ選手の価値が上がる事なんですよね。
ーー分かります。僕もそれは賛成ですね。
もちろん自分も楽しみたいんですけどね。
僕もNBAを見てスーパースターのプレーを楽しんでますけど、なぜBリーグの観戦に行っているのかと言うと、やっぱりあの会場の雰囲気が好きなんですよね。だからこそ、会場に行ける事の価値がもっと上がる方がもっと楽しいじゃないですか。例えば世界中からBリーグを見に来たくなるような価値ですよね。
ーー先日行われたNBAのジャパンゲームみたいな感じですよね。Bリーグファイナルの価値がどんどん上がって行って、「え?!ファイナルのチケット取れたの?!」って言われるような雰囲気になったらいいですよね。
まさにそうですね。
バスケットボールは近い距離で見られるスポーツだからこそ、ファンイベントが無くても会場に行けば会える、という雰囲気になったら嬉しいですね。
ーー先ほども話しましたけど、僕は「アルバルク東京はBリーグのNo.1クラブである」というイメージはBリーグに必要だと思っているので、どんどん価値を高めていってほしいです。クラブの優劣が熱狂を生む事もあると思います。「アルバルクにだけは勝ってやる!」「あのアルバルクに勝った!ジャイアントキリングだ!」みたいな。
たまに、そういう意気込みを感じる時はありますね。他のチームから。
その分、試合が苦しくはなりますが、本気でぶつかる分アルバルク戦が毎回面白い試合になるんですよね。
アジアチャンピオンズリーグに観戦行った時に驚いたんですが、現地にもアルバルク東京のファンがいました。しかもその方、タイの方だったんですけど、立飛にも来てくれたんですよ。
アルバルクの運営はその辺意識しているそうでして、「アジアのNo.1」を目指す事で、アジア各国からお客さんが来てくれるクラブを目指しているようです。
僕はその可能性を疑わない理由もあって、僕らが見てた世界の大会は、アメリカ1強で、ずっと大量リードしてる、みたいな試合ばかりだったのが、ヨーロッパが力をつけてきて、いよいよアメリカでも負ける時代になりました。
とはいえ日本なんてまだまだだよね、と言われてましたが、八村選手が現れて、NBA選手になれるどころか、ドラフトに一桁で指名されるところまで一気に飛躍したんですよね!生きてるうちにこんな事が起こるなんて!と思いましたよ(笑)
渡邊選手もNBAで5シーズン目を迎え、今もなお一線で活躍してます。
NBA全体の平均で活躍できる年数が3年くらいらしいので、いかに凄い事か分かります。Bリーグに来ている外国籍選手を見ても、やはり数年でいなくなってしまう選手が多いですしね。
まだまだいけると思うんですよね。夢にも思わなかった事が現実に起こっているので、まだまだ何か起こると思います。
ーーそうですね。Bリーグも人気が高まればチケットが取れないような日が来ると思いますしね。その為には今まったくバスケやBリーグを知らない人をどれだけ取り込んでいけるか、になりますね。
そうですね。その為にも、僕には夢があって、国内リーグが本当に盛り上がってきて、実力も上がってきて、国際大会で日本がアメリカに勝つ。そんな日が来たらいいな、と思ってます。
「無理だよ」って言われるかと思いますが、「無理だよ」って言われてた事が実際に起こってるので、口に出していきたいと思ってます。
ーーですね。口に出していかないと!ですね。最後に、これからBリーグを知る人、0→1【ゼロイチ】に対してコメントはありますか?
アルバルク東京に関して言えば、「ファンクラブに入ってしまう」という事をお薦めしたいですね。
レギュラー会員は3300円で入会できて、無料のペアチケットが付いてくるので、もう入会した瞬間に元が取れてるので、行ってみようかな、と思った人はとりあえず入会しちゃう事をお薦めしてます。
Tシャツも付いてくるので、グッズで悩む事もない。準備が完了します。
これだけだとただの宣伝になっちゃうんですけど、新しくBリーグを知りたいと思った時に、どうやって情報を集めて良いか悩むと思うんですよ。BリーグのHPとか、クラブのSNSとか見ても分からないと思うんですよ。ただ、ファンクラブに入ってしまえば、情報が一方的に送られてくるので、受け取った情報を見ておけば、ある程度情報得られると思うんです。これは大きいと思いますね。
ファンクラブって、コアな人が入るものではなくて、アルバルクの場合は新規の方向けに用意されてると思ってます。
「Bリーグ行ってみたい」と思った人はとりあえず入っちゃうといいと思います!
ーー貴重なアドバイス、ありがとうございます!今回は沢山のお話聞けて楽しかったです!引き続き、宜しくお願い致します!
はい!ありがとうございました!
■横田晶次郎
アルバルカーズ選出による「ALVARK MIP」賞の主催、アリーナ周りの清掃活動「アルバルカーズスマイルアクション」の主催、「ルカフラッグ」の発案・制作・実施(現在は終了)、その他非公式ファンイベント諸々
https://www.instagram.com/alvarcars_turbo_edition/
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