【取材】自分がバスケットボールをやる理由/青森ワッツ#17常田耕平選手
FUN'RISE協力者のウエダサヤカです。
今回は青森ワッツ#17常田耕平選手にお話を聞いてきました。
常田選手、沢山お答えくださいましたのでボリュームたっぷりのインタビュー記事となります!どうぞよろしくお願い致します!
(取材日5月2日)
(ウエダ)まずはプレーオフ進出おめでとうございます。
今シーズンの振り返りというか、こういう目標を立ててやっていたよ(個人として)みたいなもの、お聞かせいただけますか?
(常田)ありがとうございます。
そうですね。チームとしての目標がプレーオフ出場なので、そこに向けてチームでやってきて、その目標に対して自分の力が発揮出来ればと思っていました。
個人としては、三遠で特別指定選手で契約していただきましたが試合に出れる機会があまりなく
今シーズンまずは試合に出て少しでも勝利に貢献するのが第1の目標だったのでそこはクリアできたかなと。クリアする度に自分の中で新しい目標をどんどんたてていました。
三遠の出れなかった時も、自分なりにずっとコーチの方々と話ながら準備してきたつもりだったんですが試合に出れなくて
今こうしてプレイしている姿を見せられている事も三遠の人たちへの恩返しになるのかなと思っています。なのでそこも目標としていました。
(ウエダ)シーズンを通してしんどい時期もあったと思いますが現在はいかがですか?
(常田)バスケットボールをやる理由は人それぞれだと思うんですが
自分の中では、今までバスケットボールをやれて来たのは自分が結果を残してきたというのももちろんありますが、いつもバスケットボールをやらせていただいている、という気持ちがあるので。
周りの人のサポートがあって、応援してくださる方々がいて、自分はやれていると感じているので。自分がバスケットボールをやる理由はそこにあります。
求められている人、求められている事に対して結果として応えられたら、成長した姿を見せるというのが恩返しになると思っていて。そこに対しては結果を出すことが大事だと思っています。
三遠で練習生で呼んでいただいて、その後特別指定選手として契約していただいてそこで良くしてもらったので翌年もプロでやっていきたいと思えたので。でもシーズンが終わって続ける理由も無くなったので引退を考えました。(父親と同じ指導者という道も考えていた)
その時に北谷社長と純平さんに声をかけていただいて
「プレーを見て(自分を)必要であれば。必要でなければ(ロスターの)ひと枠を自分に与える必要はないと思うので」という話をして、実際プレーを見てもらって「来て欲しい」と言われたので青森に来た、という経緯です。
シーズンを通してプレーオフがかかっていく中で、ファン・ブースターの方からの期待も物凄く高まってきていたし
もちろん温かい言葉をかけてくれる人がほとんどですが、厳しい言葉も言ってくれるのがブースターですし。その中でプレッツシャーを感じてやっていた期間もありました。
自分としてもワンシーズンをフルで戦うのも初めてで、試合にも沢山出してもらう中で
身体のコンディションとか調子とかメンタル面含め、60試合を戦い切るっていう事はすごく難しいなと個人的に感じましたし、来シーズンに向けてすごくいい経験になったかなと思います。
プレーオフが決まって北谷社長からは「純粋にバスケットボールを楽しんで欲しいと」言われているし、(少しはにかんで)楽しんでいると思うし、やれているのかなと思います。
この同じメンバーでやれるのは最後だと思うし、もちろん長く一緒にやれれば1番いいですし理想ですがそれは難しいことなので、今はこのメンバーでやれる試合、プレーオフを1試合1試合楽しんでやれればいいかなって思います。
(ウエダ)選手がチームと出会うのと同じで、見ているこちらも選手との出会いって毎シーズン偶然で。そんな中、ワンシーズン通してチームを応援していく中で選手の成長や葛藤を我がことのように思って見ていました。個人的にはこのシーズン、いい時も悪い時ももがきながら頑張っている常田選手を見て出会えて凄くよかったなと思っています。東北カップの時に平さん(常田選手のマネージメントをしているSHOEHURRY!代表)が私のお店に遊びに来てくださったんです。その後、「私、今シーズン青森に行ってて!」という話になって。「耕平は元気で可愛いやつなんで応援してやってください!」と言ってらっしゃいました。
多方面からいろんな支えがあって頑張っているんだなぁと思うと応援せねばと思い、青森へ通う原動力になりました。
しんどそうだなぁという時期も途中見えて、(ツネちゃん頑張れ頑張れーー)と思っていたんですが終盤になって盛り返してきて良かったです。
(常田)シーズン中盤になるにつれて、これだけプレータイムをいただいている中で結果がついてこない時期もあったし責任感も感じだして。
でもその責任感という気持ちは自分の中で大事だと思っているんですが
納得のいく結果が出なかったり、ついてこなかったりした時に
「ファンの人に申し訳ないな」と思う気持ちがすごく強かったので。
でも「そんな責任を考える必要は無い」というお話を純平さんからして戴きましたし、「思い切りプレーしないなら出さないから」という風に言っていただいたので、その話を聞いて思い切ってやってみようと感じましたし。
自分の性格上「確率の悪いことはしたくない」というのがあって、コンディションが悪いなら・怪我が多少なりともあったりする自分を出すくらいなら、今の青森ワッツなら誰が試合に出ても試合に勝つことが出来ると思いますし。
みんながみんな、5分10分のために毎日毎日準備しているのを見ると「だったら自分は出ない方が良いのかな」って考える時期も正直あったんですよね。
「それなら出さない」言ってもらって「じゃあ出ない方がいいかな」と感じた時もあったんですけど、やっぱり家に帰って1人で色々考えて。自分を見に来てくれるファンがいる事、そういう存在がいる事を考えた時に、プレーしない、出るチャンスがあって求められているのに出ないっていうのは自分の中で「無いな」と感じたので
……次の日に出してくださいって言いました。笑
結局ちょっと怪我しちゃったんですけど。
長崎の1試合目、調子があんまりよくなくてターンオーバーも結構しちゃったし多少怪我あったり、でもチームのみんながバックアップして勝ってくれてっていう事もあって
次の日、(怪我っていうのもあったが)前の「出る出ない」とは全く違う意味でチームメイトを信頼しているからこそ「自分が出なくてもワッツは勝てると思います」と伝えて翌日はアウトという形にしました。
言い方としてはしんどかった時の「出なくていいです」と同じですが、気持ちは全く違う意味になっていたのかなと思います。なのであの時休んで山形戦に出れて良かったです。
シーズン序盤の調子がいい時は「やれることをなんでもやってやろう」という気持ちだったんですが
できない時、調子のあがってこない時にネガティブな気持ちになる所を「チームのためにやれることをやろう」という気持ちに切り替えられたのは自分の中で大きくて、いい意味で吹っ切れたのかなと思います。
(ウエダ)…選手側から「俺使うんだったら他の人使ってください」とか、まさかそんなやり取りがあるなんて思いもしませんでした。
学生時代、キャプテンとしてチームを俯瞰で全体を見て考える、みたいな経験があってなんですかね?
(常田)どうしてもキャプテンだったり大学の時はプロと違って決められた5人だったり、どうしても時間もメンバーにも偏りがでてしまったりして。
プロになった今は「誰が出ても大丈夫」っていうのがワッツの現状で。
大事なプレーオフがかかった試合でっていうところもあったし。
…ほんと皆さん先輩方がめちゃくちゃ準備するんですよ。
大地さん(下山選手)や惇貴さん(野里選手)も一番最初に体育館に来て準備してシューティングして。真生さん(福田選手)だったり恭之介さん(寺嶋選手)だったり。その中で自分がスタートで出ることでプレイタイムが減ってると思うし。スタートになってもずっと後ろから(先輩たちに)ケツ叩かれてるような感覚で。
その時は「出なくていいです」って言って帰っちゃったんですけど
こんなこと言ったら無責任になるかもしれないけど、「(自分が)出て負けてプレーオフ出れなかったくらいが俺はいいですかね」ってその時は思って純平さんにもそう言ったけど結果、自分が出て勝って良かったって今は思います。
「自分が出ないで行けないなら、出て負けて行けない方が」という、他の人に責任負わせるくらいなんだったら自分が出ます、という気持ちに切り替えができたので良かったです。なので出ました。調子良くなかったですけど。
(ウエダ)常田選手が出てくると、「さぁ何してくれるんかな!」って思いながら見ていて。
池ちゃん(池田選手)とも違うけっけ(會田選手)とも違う、「さぁツネちゃんどうするよ!」って気持ちでいつもワクワクして見ていますよ私は。
(常田)笑。
自分の持ち味を純平さんは理解してくれているので
何をすればいいのか、自分がどういう場面で何を求められているのかっていうのをストレートにいってくれるのでわかりやすいですよ。
(ウエダ)1月の取材の時に「チームの形はできてるから後は個々の伸び率」って高原HCが言ってたので、そこから個々にフォーカスして見ていたんですが各々葛藤があって色んな想いがあって毎試合やってるんだろうなと思いながら見ていたので。たくさん聞かせてくれてありがとうございます。これからも応援させてください。
では最後にプレーオフに向けての意気込みをお願いします。
(常田)プレーオフはチームとしても個人としても初めてなので
とりあえずはチームとしてやれることを1試合1試合楽しんでやりたいですね。
ADがよく言うんですけど。
「チームの歴史に名を残すようなチームにしていこう」って。それが目標ですね。
プレーオフに出場することでチームとしての目標は達成しているんですけどファンの皆さんも普段だったらシーズン終わってるところですけど
プレーオフで長くなったんで1試合でも多く試合ができるように、ファンの皆さんに少しでも長く自分たちの姿を見ていただけるように…楽しんでいきたいです。笑
(ウエダ)ありがとうございます、楽しんできてくださいね!応援しています!
取材後記
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試合の日には、お客さんもまだほとんど入っていない、時にはエキシビションゲームよりも早くアップを始める常田選手。
ベンチでは誰よりも先に立ち上がって声を出し、チームを鼓舞する姿が印象的で元気いっぱいでとっても可愛い。それもあってか、青森ベンチ横エンド側の席はシーズンが進むにつれてチケットが取れにくくなっていきました。
ですが、そんな元気で可愛いツネちゃんの姿は今回のインタビューからまっっったく感じられずイメージがガラッと変わりました。そのひたむきな真剣さがこちらにも伝わり、私は終始とても緊張しました。(途中3回くらい、はにかんでくれましたが。笑)
選手は皆、本当に日々悩んで悩んでネガティブな答えを出すことも時にはあって。期待に応えられない苦しさ、それに対して出す答えが選手としての方向性を変える事だってある。
最後、「楽しんでいきたいです。」とはにかみながら言っていたのですが
プロの世界で「楽しんでバスケットボールをやること」は簡単ではないと思う。大舞台のチャンスを掴んだ今だからこそ敢えて北谷社長は皆にそう伝えたんだろうなと思いました。
そして、私たちはファンはいつだって応援することしか出来ないけれど
それはちゃんと選手にも届いているんだなと感じ、プレーオフはもちろん来シーズンも常田選手を追って応援したいと思いました。頑張れツネちゃん!
(文・写真:ウエダサヤカ)