【アパレル】お買いものイメージが定まらないお客様へのお聞き出しのヒント
接客の際の流れは、いつもだいたい次の通りです。
①お客様の様子を観察して、今日のご来店目的や、今気になっていらっしゃる商品について察する
↓
②アプローチして接し、それを確認する
↓
③お客様のことやお悩みを聞いて、ポイントを発見する
↓
④元からあったニーズ、お客様が気づいていなかったウォンツまで提案し、より良いものを選んでいただく
これだけでも、なかなか初対面の人間同士では思うように進まないものです。
そこをどう躓きなく感じ良く対応して、お客様に「いい買い物ができた!」と思っていただくか?その部分が販売員の頑張りどころとも言えます。
セール時期は、お聞き出しでつまずきやすい
ここで、セール時期に特に増える接客シーンをひとつ例に挙げます。
お客様「すいません、色ってこれだけですか?」
販売員「はい、ほかにグリーンとブルーもおつくりしておりましたが、今はこちらの4色でございます。
お客様「グリーンとブルー?…そうなんですね…」
販売員「はい…その2色はセール開始前に全店でお品切れしてしまっていて、もうご用意がない状態です。申し訳ございません」
お客様「あー、そうなんだぁ、そっかぁ無いのか…」
販売員「グリーンやブルー系のお色味のイメージが気になられますか?」
お客様「いや、そういうわけじゃないんだけど」
ここで、多くの販売員さんは『え?さっきはけっこう残念そうだったのに、そういうわけじゃないの?!』と面喰らってしまいます。
このあと、「あ、そうなんですね…」の続きが出てこなくて、プロパー期ならもう少し一生懸命続きを考えるところですが、セールだし、ほかにもアプローチできるお客様が近くにいらっしゃるし、店内がいい具合に混んでいるのをいいことに、お客様の前からフェードアウトしてしまうのです。
お客様の「いや、そういうわけじゃないんだけど」は、十分質問に答えている
販売員がお客様とのやり取りの中で「こうなのかな?」と気づいたことは、その時点ではあくまで販売員の憶測です。
それに対してお客様が「そうなんです(正解)!」と答えてくれるとは限らないのですが、どうしても、いつもだいたい当たるからか、たまに外れると面喰らって対応できなくなる販売員さんは多いです。
でも、前述の会話を振り返ってみても、お客様はただほかに何色があるのか知りたかっただけで、実際に「すいません、これのグリーンかブルーはありますか?」とは聞いていません。
しかも、販売員にグリーンやブルーが気になるのか聞かれて「そういうわけではない」と、きちんとお答えになっています。
会話をYES・NO式チャート診断に置き換えたとしたら、お客様は「NO」を選んでちゃんとコマをひとつ進めてくださっているのです。
セール時期のお客様がつかみづらいのではなくて、販売員が向き合いきれていないだけ
接客が思ったように運ばないと「客層がいつもと違うから…」と、ついお客様のせいにしがちなこの時期ですが、実は販売員が途中で投げ出しているケースが多いのもこの時期の特徴です。
セール期は、プロパー期よりお店側が品ぞろえの面で劣ります。客注もプロパー期のようにはいかないし、こちらがお見せできるもの、ご提案できる範囲が狭くなります。
一方で、お客様は費用対効果に期待してご来店されます。欲しいアイテムの具体的イメージがあるお客様の割合は少なく、ご予算の中で何かいいもの・お得なものがあったら買いたいという方が増えます。つまり広く見て、ピンとくるものがあったら欲しいのです。
いつもより手札が少なくなっているお店に対し、いつもより色々見られるだけ見たいお客様というイレギュラーな構図が出来上がっているわけです。
無いものを見たいと言われると、ばつが悪いし、申し訳ないし、引っ込みたくなってしまう気持ちも分かりますが、そこはもう一歩前へ進んで行けるようにしましょう。
クレームに学ぶお客様心理
これは以前、すぐ近くの売場で実際にあった話です。
お客様が「グリーン系のお財布をギフトで探している」と販売員に伝えたところ、その販売員が方向を指さしながら「あちらと、あちらと、あちらにもございますのでどうぞご覧ください」とやってしまい、「そんなことは見れば分かります!」というクレームになりました。
クレームの全容は、次の通りです。
「お財布って、希望の色だったらなんでもいいわけじゃないじゃないですか。こういう人ならこっちが向いてるとか、こういう人にこれが人気とか、あるわけでしょう?そういう話もなく、あっちにもこっちにもありますって、見えてますから。しかも、私が見てたのあなた見てたでしょ?!」
おっしゃる通り、です。
これになぞらえると、セール期に色々見ようとご来店くださっているお客様も「探しものの条件は少ないけど(例:1万円くらいまでで夏物)、それにあてはまれば何でもいいわけじゃない」のです。しかしこれは、販売員にとって有利な材料です。角度を変えれば、その探し物の条件ごとひっくり返すことができます。条件が少ないだけに、ひっくり返しやすいとも言えます。
最初の例のように「グリーンやブルーで探しているわけじゃない」ならば、どうしてその品番が気になったのか?を聞いてみましょう。たくさんある商品の中から、お客様がその品番についてだけ展開カラーの質問をされた理由があるはずです。そして、その気になったポイントを引き継ぐ他の品番をご提案し、接客を続けることが可能です。
お聞き出しは深く掘り下げるばかりでなく、横に展開していくことも良い方法のひとつです。ぜひご活用ください!