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面白いものを書ける人って、いろんな蓄積があるんだなぁ、と、気が付いた午後。

今更って気もするんですが。あ、タイトルのことですけれど。

今日は、朝からどんより曇っていて、肌寒い日和でした。暖房のない室内にいると。

家の外装工事が、今、中断しています。何でも、仕上げ担当の親方のお子さんが、コロナにかかったので、いわゆる”濃厚接触者”になって、自宅待機なのだそうです。

それで、工事の人がこないことになったので、外に出て、水撒きをしました。部屋の中で感じていたほど、外は寒くなかったなぁ。水撒きでじょうろもって、水道と庭を往復したおかげかもしれませんが。

今日は、立春ですが、本当に”春は名のみの~♬”って感じですねぇ(T_T)

それでも、鉢植えの紅梅が、一輪、咲いていました。ほかの梅も、水が足りないうえに、寒さも厳しいのに、よく耐えて、つぼみを膨らませてくれています。それを観ると、樹をなでて、「ありがとう!」と言った私です。

室内でも、10数年ぶりに蠟梅が咲いてくれて、良い香りを部屋中に漂わせてくれています。寒い曇天で気が滅入りがちな私を慰めてくれる、貴重な存在たちです。

そんな気分の私が、インコたちの世話をしながら、ラジオでオペラの番組を聴いていました。NHKfmの「オペラ ファンタスティカ」。オペラが苦手な私ですが、この番組を聴くようになって、いくらか苦手意識も和らいだのかもしれません。

今日は、リヒャルト・シュトラウス作曲の「薔薇の騎士」という作品。この番組は、本来は、国内外のオペラ公演の音源を流すのですが、コロナ騒動で、本場のヨーロッパでも公演が激減しています。それで、最近では”名演”と名高い公演のCDを使うことが増えました。

今回のもそれでした。指揮がカラヤン。オーケストラの名前を聞き逃したんですが、聴いていて割に「あ、いいかも」と思えた公演でした。

或る侯爵夫人が、自分を顧みない年の離れた夫の代わりに、若い愛人との逢瀬を楽しんでいる場面から、この作品は始まります。愛人は、自分より若くて美男子なので、いずれこの人も、自分より若くて美しい人と恋に落ちるのだろう、と、彼女はやるせない気分でいるわけです。

ストーリーは、彼女の予想通りに進んで、侯爵夫人は愛人を若くて美しい女性に譲り、孤独と寂寥感にさいなまれる。そういう彼女の姿で、オペラは終わるようです。ようです、というのは、まだ舞台では観てないからです。

ラジオの番組ですから、解説者がいるんですけれど、その人が解説するあらすじを聴きながら、私は違和感を覚えていました。違和感というか、「あれ? 私、これ、知ってるぞ・・・」という感覚です。観たことも聴いたこともないのに・・・・。

そこで、ハタ! と、気が付いたんです。かつて読んだ漫画のいくつかが、このオペラを下敷きに描かれていたことに。

木原敏江や坂田靖子。彼女たちは、大のオペラ好きらしくて、それらをモティーフにした作品を、いくつも描いていたんですね。

彼女たちを愛読していたころは、私は、オペラはおろか、クラシック音楽のことも全然わからなかったので、いささか腑に落ちない部分がいくつもあったのですね。

彼女たちは、もちろん名手ですから、オペラを知らなくても、ちゃんと面白く読める作品にはしてありました。でも、私には、今一つ踏み込めないというか、面白さが浅いというか、消化不良気味の印象をぬぐえないでいました。

その原因が、何十年もたって、ようやく了解されたのですね。その時の作品は、ほとんどもう手元に残っていませんので、確認できませんが、坂田靖子には「パパゲーノ」という作品がありますからねぇ。騒々しい主人公が出てくるんですが、これはモーツァルトの「魔笛」に出てくる人物の名前を借りてますし、同じくモーツァルトの「フィガロの結婚」も歌で出てきます。

知らないなら知らないなりに読めるものの、「???」が多くて、落ち着かなかったんです。

今の漫画家さんたちの作品は、もうわかりませんが、やはり、いろんなものが好きで、蓄積がある人の作品ほど、面白いです。作品に深みも出てくるし、何度読んでも面白いし、読むたびに発見もあったりします。これは、もちろん、漫画のみならず、小説でもエッセイでも戯曲でも同じことです。

私は、読み捨てていいレヴェルの作品には、興味がありません。長く付き合えないものは、悲しくなります。先月断捨離した作品の中には、手放すのがつらいものもいくらかはありましたけれど、それでも、手放したのは、持っているのを忘れていたからでした。

残した本を読んでゆくために、断捨離前提ではなく、整理しようと思っています。つい先日、クリスティの「象は忘れない」を、久しぶりに読みました。かなり昔に読んだ、ポアロ物の最期の作品(解説から)ですが、訳文がいいということもあるんでしょう。新鮮で、面白かったです。確か、初めて読んだ時は、ラストの謎解きで「ええーーーーー?!」と驚いたものですが、今回は、中盤で「あ、これ、伏線だ!」と気が付き、ポアロの解説も、自然に納得できたものです。

引き出しが多ければ、そこから生み出されるものも、当然豊かなものになります。音楽も、もちろんそうでしょうね。かなり昔に作られたクラシック音楽やシャンソン、あるいは歌謡曲が残っていたりするのも、作者の豊かさ故かもしれません。

この週末は、さらに冷え込むとか。皆様、くれぐれもご自愛を!

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