侍タイムスリッパー 2回目の方が泣いた
映画「侍タイムスリッパー」、
しばらく前に2回目観に行きました。映画では滅多に泣かないのですが、これは泣いてしまいました。そして1回目と2回目ではだいぶ泣きポイントが違いました。いつか3回目見るとまた別の気持ちが出てきそうなのでとりあえずここまでで一旦書き留めておこうと思います。
面白い時代劇映画があると聞きました。幕末の侍が太秦にタイムトラベルする話なのらしいと。そういうのときどきあるよね。んー、どうだろう。
そこで、主演が山口馬木也さんと知り俄然興味が湧いてきました。山口馬木也さんは大河ドラマ「八重の桜」で榎本武揚を演じていて、かつてないほどカッコいいエノさんだったので、それ以来絶対忘れられない俳優さんとなっていました。とはいえ常に追っかけていたわけではないので、この映画のことは秋になるまで知らず、つまり巷で話題になってから知ったのでした。
幕末好き友から、主人公は会津藩士、監督は城陽で米農家している、という情報だけを得て、
1回目
いつものように前知識は最小限で、できるだけ先入観なしで行きました。
めちゃめちゃ見応えのある映画でした!
山口馬木也さんが演じる会津藩士「高坂新左衛門」がもう本物の会津藩士にしか見えなくて、感情移入しまくりました。冒頭で木の陰に潜んでいる時も長州藩士と対峙の仕方も雷もいいですよね。スリップの仕方も、そしてそうやってどこかで気がついて目覚めるんだー、と面白く思いました。撮影現場に紛れ込む入り方も、心配無用ノ介たちの撮影シーンも、そこへの関わり方もたまらなく良い。心配無用ノ介のいかがわしさも最高で早速大笑いしてしまいました。真面目なのに面白くて真面目、、、ってすごくないですか?
まだ前半のこの撮影シーン見ていて、ふと中野裕之監督の映画「Stereo Future」を思い起こしました。その映画では劇中時代劇で竹中直人がいかがわしいヒーロー「問答無用ノ介?」とかなんとかいうのを演ってて、あれも時代劇愛に溢れていて、吹越満さんの斬られ役もすごく良くて、今となっては人々に忘れられてるかもしれないけどすこぶる好きな映画です。
さて、高坂新左衛門が街を歩き回ってて、ポスターとかいろいろと、幕末から現代に来た人の反応に、アラビア数字読めんの?とかツッコミどころはありました。けれど、これが映画であるとこを思い出させてくれる程度のちょうどいい感じが逆に完璧だと感じました。私はあのポスターのシーンで「えーアラビア数字読めるの?(笑)」と同時に「140年?じゃあええと2008年ごろなんだ?」と計算したり、「このポスターは霊山歴史館か文化博物館に違いない」など勘ぐったり、しました。いや全部のシーンがこのように複合的に考えさせられるんですよねこの映画。ですよね?皆さんも? 病院もお寺さんも、おにぎりとかショートケーキとかTVとか、数々の時代ギャップ、ホントちょうどいい。私の中での1番のツッコミどころは、「えー、幕末の人、拍手ってする?」です。拍手は西洋から持ち込まれた文化だと思っていたのですが。でも高坂さんの拍手の仕方が可愛いので全くOKです♡
麗しい優子殿は歩くたびに小走りが可愛くて、毎回ティロリロリ〜ンて効果音が私の脳内で流れました。優子殿に、剣心会に入りたいと高坂さんが交渉するシーンは台詞のやり取りにグッとくるものがありました。そしてふとこの喫茶店に行ってみたいと思いました。どこなのだろう。リアルに太秦の近くなのでしょうか?
そして剣心会の関本さん(峰蘭太郎さん)!こんなにかっこいい男子がこの世にいたなんて!素敵すぎて完全に惚れました♡ 最初の太秦でチラチラ写っている時から気になってけっこう視線を奪われていました♡
私は女子ですけど、東京に住んでいたときに殺陣のワークショップに行ったことがあって、一つは浅草公会堂で大人向け楽しい体験なやつでした。もう一つは林邦史郎さんの朝霞のスタジオで、こちらはいろいろ型を習った後に最後に本物の畳を巻いたやつを斬るというところまでやらせてもらいました。それは真剣ではないけれど真剣を模したとても重い剣で、ズバッと、斬る。怖いくらいでした。あの感触は今でも覚えています。貴重な体験です。
というわけで、殺陣シーンが私の心に響くのですね、関本さんと高坂さんの稽古のシーンは食い入るように見入ってしまい、同時に関本さんのチャーミングさにいちいち笑ってしまい愛おしく思いました。
風見恭一郎という人物の登場はびっくりしました。そしてそこに隠されていた秘密も。
そして終盤。息を飲みました。このシーンの素晴らしさは言葉にし尽くせないというかチープになってしまう気がするので割愛します。それでそのクライマックスから繋がるラストまでの流れは、え?え?え?という展開でした。最後に伏線回収までしてて尊い。
この1回目の時の私の泣きポイントは、
・雷は同じなんだな
・白いおにぎり磐梯山
・幕府滅亡から140年
・剣心会に入りたいと交渉
・変更になった台本
辺りでした。
私は幕末好きの佐幕派なので、高坂さんの台詞「新選組とは思いを共にしていました」とかもう深く刺さってしまい、ここも目頭が熱くなりました。この会津藩士にけっこう泣かされました。近いうちにまた金戒光明寺にお参りに行こうかなと思います。
見終わって、なんというか、映画って「こういうのでいい!こういうのがいい!」と思いました。CGではなくロケだということ、構図も計算しているのだろうし、変に凝った映像じゃないし、手作り感というか、見ていて心地好い。あとは他に何が今どきの映画と違うんでしょうね。
ただ正直、音がときどき雑なところがあったのだけが気になりました。
映画の中で幕末から平成に飛んで、そんでもって映画館の雰囲気はまるで昭和後期、見ている現実は令和。どんだけタイムスリップな映画なのか!
とても濃い時間を過ごさせていただきました。
2回目
というわけでしばらくしてからまた劇場で見たくなって映画館に行きました。この映画の殺陣シーンを大画面で見たい、に尽きます。この映画の殺陣は大画面で見ることを推奨します。最初も稽古も撮影シーンも最後も。撮影シーンでみんなで一緒にザザザと動く感じとか、見ててワクワクしてたまらないですよね。男になって自分もあの中に入って一緒にやりたーい、と思います。
さて、2回目の私の泣きポイントは全然違いました。
もちろん1回目のポインツはそのままにグッときて泣くんですが、
2回目はそれに加えて、
・高坂さんが雷に「戻せ!戻せ!」と叫ぶ
・会津の回想シーン(藩校日新館か?)
・風見さんと高坂さんが会議室で初対面
・風見恭一郎がホテルでTVを見るシーン
・風見さんと高坂さんがバーで呑む
・風見さんが真剣で撮影することを受け入れるシーン
とか、
2回目はとにかく風見さんが出てきてから泣かされっぱなしでした。
私は幕末好きの佐幕派ですが、長州藩の桂小五郎や久坂玄瑞とかもけっこう好きなのです。それで、この長州藩士・山形彦九郎が現代にタイムトリップしてここまで一人でやってきた30年間の孤独を思うとそれだけで泣けるし、時代劇をやめてしまった理由や、高坂さんに会えて嬉しい反面、歴史的に見て会津に対する思いもあるだろうし、溢れる思いを隠しきれない風見さん(冨家ノリマサさん)には泣かずにはいられませんでした。
でもこれは確実に、一度最後まで見て全部知っているから、その上で風見さんの気持ちがわかるから出てくる感情なんですよね。同じように感じた方いるでしょうか?
そうそうちなみに!山口馬木也さんはドラマ「仁〜JIN」で桂小五郎を演じていました。出番はほんの少しだった気がしますが印象的でした。
あと言いたいのは、
長州藩士の山形彦九郎の「山形」で山縣有朋が一瞬よぎった人、
「彦九郎」で三条京阪の像を思い出した京都住みの人、
私以外にもいるのではないでしょうか? どうでしょうか?
「侍タイムスリッパー」またそのうち映画館に見に行きたいです。
あ、あと、真田広之の「SHOGUN 将軍」は、夏にオンライン配信で全話観ています。それについてはまた別に書こうと思います。