映画レビュー「2度目のはなればなれ」
70年間も仲睦まじく暮らしてきた
夫婦なのに、夫がこっそり、
老人ホームから大脱走!!
してしまう映画です。
「2度目のはなればなれ」
(2023年イギリス
原題は「The Grate Escape」(大脱走))
を観てきました。
舞台は2014年のイギリスにある、
海が近い老人ホーム。
90歳になるおじいちゃん、
バーナード氏が、フランスで
行われるノルマンディー
上陸作戦の記念式典に
出席するために、
こっそり老人ホームを
抜け出してしまいます。
イギリスからフランスへ向かう
船上で、気の合う仲間が出来ます。
式典参加はともかく、
ふたりとも、どうしても
成し遂げたかったことがありました。
主人公バーナードじいさんは、
退役軍人です。
大戦のときに亡くした親友を、
船上で出来た友人は、
爆撃に遭って亡くなった弟を、
弔うために墓参りが
したかったのです。
墓地に向かう途中で、
ノルマンディー上陸作戦から
70年経ったことを祝うムードで
いっぱいの土地でも、
当時の敵国であるはずの
ドイツ人たちに遭遇します。
彼らも、自分たちの仲間を
弔うために
フランスを訪れており、
(ドイツ製のお菓子を
買わない態度を
貫いてきた)
バーナードじいさんも、
ドイツ人たちと
握手を交わすのでした。
戦争で勝った、負けたと言っても、
とはいえ、結局は殺し合いだし、
誰かしら、傷つき悲しむ側がいる、
ということが骨身にしみて
理解できる映画でした。
(ドイツ軍に占領されていた
ノルマンディー地方は、
イギリス軍がドイツ軍を
打ち破ったため、
フランス人にとっては、
イギリス人がありがたい存在で、
道行くおばあさんにメルシーと
お礼を言われているシーンも
ありました。)
老人ホームで待つ妻、
レネおばあちゃんは、
夫の帰りを待つ間、
身辺整理とばかりに
若い頃に聴いていた
スイングジャズのレコードを
かけてファンキーに踊ろうと
するし、
毎日お化粧しているんだけど、
夫の前では、メイクする、キレイの
舞台裏は絶対に見せない、とか
乙女な部分がしっかり残っている
かわいい人でした。
3分毎に、イギリス人らしい
ウィットに富んだ台詞が飛び交い、
(ドアをノックする音が聞こえたら、
バーナードじいさんが、
「どうぞ!でも税務署はお断りだよ」
とかね。)
楽しい映画です。
なんてったって、90歳になった
おじいちゃんの大移動を追う
わけですから、動きもゆっくりです。
そんな中、ポジティブさ満点の
クラシック曲が流れていて、
映像と音楽の相乗効果も
素敵でした。
派手さはないけれど、
しみじみいいな、と思う場面が
多くて、いかにも佳作!に
入る映画だと思います。
観に来ていた方はシニア層多め、
でしたが、とてもおすすめです。
#マイケル・ケイン