令和4年のマンション管理士試験はなぜ易化したのか
令和3年のマンション管理士試験の結果は、合格率が当時過去最高の9.9%、合格点も38点ということで、(難しい回とやや易しい回が交互に来てるので)令和4年は難化すると予想されていましたが、逆になぜか易化したため、ツイッターなどで40点超えの高得点者が続出していました。
それでも予備校の発表する合格点予想は38や39としているのが不思議でした(なお、令和4年の合格点は40点でした)。
令和4年は、疑義問題が3問もあったため、40点超えでも合格発表まで不安だったと思います。疑義問題3問抜きで41点くらいで安心という感じです。私はそれ以上だったのでわりと気楽にかまえていられました。この試験はこのくらい圧倒的な力でいかないとならず、そうでないと何年も受験する目に合うのですが、勉強法は今後書こうと思います。
令和4年の試験問題は解いた体感で明らかに問題がやさしかったですね。令和3年4年と連続で受けた人はみんなそう思ってると思います。
令和3年の試験問題は言われているほど簡単ではないのですが、合格点を過去最高の38点にしても、合格率は9.9%とギリギリ一桁台(試験団体は一貫して合格率を一桁にしてました)。
3年に1回は38点が合格点になるくらい受験生のレベルが上がっている近年の状況下で、なんであんな問題出したかなぁ。
考えてみました。こんな分析してるのワイくらいかな。
(1)受験生のレベルの見誤り
まず各分野の難易度をみてみます。
①区分所有法はやさしい。
問1は難しいことが多いですが、個数問題だけど、共用部分の定義なので取るべき問題(落としているようだときつい)。
団地の正解肢がやさしい。
被災マンション法が珍しくやさしい。
②民法がやさしい。
宅建の民法みたいなやさしい問題ばかりでした。借地借家法も1問と1肢。宅建持ちが得点を伸ばしやすい。改正民法のつっこんだ論点が出ていない(弁済や使用貸借くらい)。
③建築設備法令もやさしい。
例年最低3問は死守ですが、過去問の検討で5問取れる。
④標準管理規約は普通。
改正があったWEB会議システムやIT活用がいっぱい出題されていました。詳しくは後述します。
⑤会計は例年より面倒。
面倒というのは、計算や個数問題だったので。
⑥建築設備なのにやさしい。
過去問の焼き直しばかり。
全部取れる。逆に落とせない。
⑦適正化法は普通かやや難
基本的な方針、マンション管理適正化推進計画、管理計画の認定と改正論点の個数問題がいやらしい。
標準管理規約の分野がWEB会議システムやIT活用のオンパレードに、長期修繕計画ガイドライン(問36のほか問49でも出てる)、建替円滑化法、適正化法など改正点をかなり出題していて、改正に対応していないと解答が崩壊することが考慮されたのかもしれません。改正の試験問題は過去問にない新作問題なので事前準備が必要です。
古い教材を使っていたり、改正の対応ができていない受験生が一定数いるなら、38や39点数もあるのかなと仮定しました。
過去の試験を振り返ると、平成28年の試験では、標準管理規約は改正部分からの出題ばかり(10問中9問)と安直な問題作りでしたが、合格点はここ数年では最低の35点だったことがあります。
改正論点を出題しまくったので、平成28年のように合格点が下がると試験団体は考えていたのかもしれません。
試験団体は標準管理規約や適正化法を難しめにした代わりに建築設備系をやさしくしたのだと思われますが、受験生のレベルを見誤って、どちらの分野でも得点されて合格点が上がってしまったのかと思われます。
(2)合格者増加の兆し?
マンションの建築数は都内を中心に増加傾向にあるようです。マンション需要からみて、マンション管理士の人材不足になる事態でも想定したのだろうか。
平成22年までは例年マンション管理士の合格率は、傾向として受験生の上位7~8%に設定していると言われていましたが、平成23年、9.3%、平成24年、9.1%と合格率が徐々に上がってきていました。
似たような合格率の行政書士試験も一桁の合格率で推移して来ていました。会費収入の問題やロースクール生が腕試しに受けるなどで今や合格率は約12%くらいになっていますが、試験問題は以前よりも難しくなっています。
マンション管理士も(出題ミスだと思われますが)出題ミスでなく、今後合格率12%くらいまで許容するのか。令和5年の試験傾向が注目されます。
長くなってきたので、令和4年の疑義問題の話はおいおい書けたら書きます。