お駄賃
スーパーA店で働き始めて、2回目の夏を迎えようとした頃の話。
その日は暑くて、アイスや飲料が良く売れた夜だった。
そんな日の01:30頃、女性1人と男性数人のグループが来店された。
女性は30歳前後くらいで、ちょっと鋭い雰囲気があったが、
お洒落な恰好では無かったが、キレイな人だった。
そして、そのとりまき?はこんな感じ
時間的に空いていたのもあり、品薄になった缶飲料を補充していたワシ。
そんなワシに
「ねぇ~、お兄さん。どの飲み物が美味しいの?」
と聞いてきたので、
「炭酸入りとか、すっきりしたのとか、お好みはありますか?」
と答えたら
「お兄さんの好きなの教えて!!」
と言われたので
「私は、これが好きです。ちょっと甘いですが」
「そうなんだ!!知らないなぁ~これ」
といいつつ、お付きの人が持っている買い物カゴに2~3本入れた。
その、お姉さんが変わったデザインの飲料を手に取って、
「これ美味しいの?」
と聞いてきた
スイカデザインの新発売スイカジュースだった。
お店で新商品(飲料やタバコ)を扱う時は、皆で試飲したりする。
ワシは、このスイカジュースを試飲したばかりだったのもあり、
「それ美味しくないです。あっ、私は好きじゃないです!!」
と返事してしまう。
「ふぅ~ん、お兄さん正直ね。でも1本買って行こ!!」
と言って、こちらもカゴへ
「コーヒー系なら、私はこれを飲みます!!」
と勧めたのが、UCC系
これには理由があり、今では考えられないCMがあった。
”コーヒー色の、コーヒー色の夏太郎♬”
というノリの良い音楽の缶コーヒーCMがあったのだ。
ポッカより、こちの方が好きだった。
このコーヒーも数缶、そしてファンタ系に手を伸ばされた時に
「そのあたりの商品は、品出ししたばかりだから、あまり冷えてません」
と馬鹿正直に言って、冷えているのをお渡しした。
そんな事もあってか、ニコニコしたお姉さん。
10分ちょい話ながら飲料を選んでお会計へ
その時、「お兄さん、レジやってよ」
と言われたが、品出し作業中だったし・・・と思いつつ、
社員の方を見たら頷いていたので、稼働していなかったレジあけて会計、
30本近くご購入いただき、お釣りを渡したら、
「お兄さん、いろいろありがとう。ハイっ!!」
ワシの手に100円玉1個を乗せてくれた。
お駄賃らしい。
お客様からお金貰ったりするのは・・・と思っていたら、
視線の先に居た社員さんが、頷いていたので
「ありがとうございます」
と言って受け取った。
「またね!!」
と言ってお姉さんは帰られたが、ワシはこの女性を再び見る事は無かった。
社員さんが、寄ってきて
「ぷくちゃんの厚意に対するお気持ちだから、貰っていいですよ」
と言われ、財布にいれさせていただいた。
この女性のお客様は
どうやら、こういう系統の方だったらしい。(後日談)
そして、男性の方々は護衛だったようだ。
歌舞伎町ならではのお客さん。
この時ワシは、
”もう1度くらい、お逢いしたかったなぁ~”
と思ってしまい、その事をバイト先輩に話したらその日の酒の肴になった。
でも、
こんな感じの女性だったら、絶対にそうは思わなかったと思う。
男って、アホな生き物である。
そして、そんな歌舞伎町生活も残りあと僅かとなるのであった。
ぷくぷく