アチャコ
俳優としてのアチャコの評価は既に確立されているものと思うが、言祝ぐこと未だ足らず。
俳優アチャコは壮年期が良い。情事が複雑に絡まり事が進まない中でデウスエクスマキナ的顕現をする一連のシーンほど神々しいものはない。映画というメディアの持つ人を神話化する構造ここに極まり。「ただの」芸人が神の如く登場するはテレビでは不可能だ。
そうしてアチャコを考えていると黄金期ソ連映画まで思い浮かんでくる。「ただの」労働者を主役とする革命こそ映画的な物語の極地だ。労働者が英雄になる、機械のピストン運動一回一回が神話的な一突きになる、スクリーン上にあるものは全て神話なのだ。
アチャコの魅力は映画の神話作用を体現している姿にある。「神様なんかおりまへんで」と言い放つような態度と、神のようにスクリーンの前の観衆を優しく見守るような視線。この視線の継承者に晩年のチョーさんを位置つけてもいいだろう。
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