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人体の不思議展

 ハーゲンス博士によるプラスティネーションとは、復活論争を技術の力によって決着をつけた神学的技法だ。
 アクィナスが語るに、腕が無い状態で死んだ者は腕が有る状態で復活し、幼くして死んだ者は青年の姿で復活する。今日のDNAのような考えで、其の人の在るべき姿というものが措定され、其の姿で蘇る。ではウンコを我慢して死んだ人間は如何に。曰く其のような状況に限らず、全身がエーテル的液体に満たされて復活するべきと。
 全身を満たすエーテルとは、極めて神秘主義的思想だ。プロティノス以来の流入議論が根本にある。そしてプラスティネーションは、死体をエーテルたるプラスチックで満たし、我々の目の前に蘇らせる技法だ。
 ハーゲンス博士を単なる死体愛好者と言えない。他に誰がアクィナスの語る復活を実現したのだ。エーテル即ちプラスチック。1945年生まれ。戦後のプラスチック産業時代を過ごした博士の為せる技だ。

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