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無麻酔採卵の悪夢と胚盤胞

実は、あの無麻酔採卵の日から当分、本当にPTSD状態で、夜寝ようと布団に入り、目をつぶると、あの光景が思い出されて、怖くなって良く眠れないという状態になりました。

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本気で、入眠時のうとうとしてきた状態で、あの時の音や声まで聴こえてきて、ハッと目が覚める。自分で感じたそれ以上に、心にまでダメージを受けていたようです。

こういう時、友達に話せれば、あの恐怖をネタのように愚痴って、ちょっとはすっきりできるのに、友達には治療のこと、誰ひとり話していませんでした。

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不妊治療をしている人の分だけ、考え方はあると思うけど、私の場合、親友はもうとっくに2児の立派な母で、不妊治療もしていないため、いくら親友と言えども、話されても困るだろうなって思ったのと、婚活中の子に話すことでもないような気がしたし、あとは周りで不妊治療しているという子もいなかったからです。もしかしたら、同じように秘密にしてた子もいたかもしれませんが。

たぶん、おんなじ治療をした人にしか、この苦しみは共感してもらえないだろうし、治療もしていない人から否定的な意見を言われたところで、自分も気持ちが落ちそうだったからです。愚痴られれば、相手は相談事だと思って、プラスになるような言葉を探すだろうし、私みたいなマイナス思考人間は、そんなの見当違いだなんて思っちゃいそうだし。励まそうと言ってくれてるのに。

シロー丸には、愚痴ったところで、「仕方ないじゃん」でどうせ返されるし、母には治療反対をされているので、もちろん話せず。

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起きてる時は、次の無麻酔採卵の事ばかり考えてしまい、もはや、妊娠できるかどうかではなく、あの拷問にまた耐えなきゃいけないっていう恐怖ばかり考えてしまって、ちょっと、この時の自分、思い出してもやばかったです。

ちなみに、現在は不妊治療友達とも言える情報交換を出来る人達が何人かできたのですが、その中の地方に住んでいる一人が初採卵で不安だと言ってきたので、麻酔するクリニックか聞いたところ、「無麻酔なんて存在するんですか?そもそもそんな拷問やる人いるんですか?あり得ないんですけど」と返され、うーん、知らないって幸せだなぁと思ったりもしました。

とにかく、この頃は、治療についてただでさえ不安だらけなのに話せる人もいなくて、本当に正解なのかわからない上に、やり方を変えた方がいいのかすら相談できない。本当に孤独な戦いでした。

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やっぱり、愛犬の桜だけが、本当に私の癒しでした。桜がいたから、このしんどさも超えられたんだと思います。


で、そんな状態の私なんかどうでもいいって言われてるくらいに、不妊治療はシビアです。

オタククリニックでは、採卵から5日目以降に(今回は胚盤胞移植をするため)、凍結できたかの確認電話をしなくてはいけなかったのですが、そんなPTSD真っ只中の完全ダウナー状態の私には到底、絶対ダメだったと言われるに決まっているという思い込みで到底できそうにありませんでした。

この時実は、オタククリニックの院長のあの笑顔を思い出すだけでも怖くて、もはやあの笑顔がうさんくさい、怖いとまで感じてしまって、あのクリニックの名前すら、この耳で聴きたくない。もうそれくらい無麻酔採卵は大きな傷となりました。

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よって、情けないけどシロー丸(旦那)に電話してもらいました。

この時も、どうせ私なんてことごとくついていない人間なんだから、私の人生なんて悪い方へ行こうとするんだ、なんてもうマイナス思考の嵐で、電話するシロー丸から離れた場所にいました。

でも、電話を終え、報告しに来たシロー丸からは意外な言葉が。

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無事、胚盤胞へと育ち、凍結できたそうです。

予想外すぎて、そりゃ嬉しい気持ちもあったけど、だからと言って、一切希望が見えた気はしませんでした。


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