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生理が生理じゃなかった話

※医学的な情報を保証するものではなく、
一個人の体験談として読んでください。

昨年末、初めて入院・手術をした。
驚いたし、悲しかったし、
信じたくなかったし、怖かった。

妊娠を望む女性の誰もが起こりうること。
男性にも女性にも知っておいて欲しい。

妊娠出産は、奇跡だということ。

わたしの経験が誰かの役に立つように、
ここに書き記します。

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いつもの生理周期よりもやや早いある日、
生理が来た。
シーツを汚すぐらい出血したので
「いつもより量が多いな〜」と思っていた。

それから数日後。
普段は5日ほどで終わるのに、
生理が終わらない

「妊娠希望してるし、気になるから
念のため婦人科受診するか。」

生理が始まって10日後、
そんな軽い気持ちで産婦人科を受診した。

産婦人科クリニックにて

「妊娠を希望しているなら、
不正出血の原因を探す上で
流産と異所性妊娠をまず除外したいから、
妊娠の検査をしていい?」

※異所性妊娠は子宮外妊娠から改まった名称です。

先生からそう説明を受け、尿検査をしたら
妊娠反応、陽性だった。

本当にびっくりした。
生理が来たから、
「また今月も妊娠してなかったのか…」
と思ってたのに!
まさか妊娠してたなんて!

でも先生は冷静に言った。

「あなたが生理だと思っていたのは、
生理じゃありません。
ずっと不正出血してたんです。
生理だと思うぐらいの出血をしてるなら、
流産か異所性妊娠の可能性が高いです。
正常妊娠ならこんなに出血しないですよ。」

わたしの脳内理解①
流産=異所性妊娠>>>>>正常妊娠

妊娠6週。子宮内に胎嚢は見えない。
とは言え、明らかに不審な影もない。
腹痛は全くない。

その日は土曜日だった。

どんな状況か分からない中
自宅で週末を過ごすのは気が気ではないし、
破裂したときに搬送先に困るといけないので
すぐ総合病院の救急外来を受診することに。

涙が、ぼろぼろと流れ続けた。
先生が優しく声をかけてくれたけど、
もはや何も考えられなかった。
泣きながら夫に電話した。

総合病院救急外来にて

泣きながら病院に辿り着いたら、
問診の看護師さんに
「今日はどうされましたか?」と聞かれた。

涙が止まらず、
どう伝えればいいかも分からず、
「紹介状を見てください。」とだけ言った。

そっとしておいてくれてありがたかった。

診察では、エコーをしてから
血液検査でhCGを調べる検査をした。
hCGは1100ほど。

「正常妊娠なら、数値が倍ずつ増える。
流産なら、少しずつ減る。
異所性妊娠なら、少しずつ増える。
今の段階ではまだどの可能性もあるから、
月曜日にまた来てください。
不正出血していても、
正常妊娠が進む場合もあります。」

わたしの脳内理解②
流産=異所性妊娠=正常妊娠(!!)

そう説明され、帰宅した。

総合病院産科外来にて

月曜日。
腹痛はない。
エコーでは胎嚢は見えず、
かと言って明らかに異常な影も見当たらない。
hCGは1500ほど。

「hCGが増えているので、
流産の可能性は低いですね。
正常妊娠で、まだ胎嚢が見えていないだけ、
という可能性はある。
通常胎嚢は4〜5週で見えるが、
人によっては7週以降に見えることもある。
ただし、hCGが2日で1.5倍にしか
増えていないことを考えると、
異所性妊娠の可能性が高い。」

わたしの脳内理解③
異所性妊娠>>>正常妊娠>>>>>>流産

経過観察となった。

金曜日。
相変わらず腹痛はない。
hCGは3200ほど。増え方が明らかに鈍い。
エコーでは左の卵管に腫瘤が見えた。

「できるだけ早く手術をした方が良いです。
今日入院しましょう。」

不謹慎ながら、そのとき頭によぎったのは、
その日の夜の忘年会のこと。

「入院は週明けでも良いですか?」と
ダメもとで先生に聞いたら、
「あなたの命が大切です。」
と優しく諭されたので、入院を決意。
(本当にいい先生)

左卵管の全摘出するか、温存するか、
それぞれの術式について
メリットとデメリットの説明を受け、
夫婦で話し合って全摘出を選択した。

卵管を片方摘出すると、
妊娠の確率が半減すると思っていたが、
どうやらもう片方の卵管が正常なら
妊娠の確率に影響はないそう。

摘出後、子宮内掻爬(内容物の除去)も
やるとのこと。

あれよあれよという間に術前検査をして、
車椅子に乗って病棟に。

初めての入院・手術

緊急手術だからいつ呼ばれるか
分かりませんと言われ、絶飲食のまま
そわそわしながら待つこと4時間。

ついに手術室に向かうことに。

手術室に向かう最中、
看護師さんや麻酔科の先生に

「今日の忘年会、すごく行きたかった…。」
「お腹空いたんですけど、
ごはんは何時から食べられますか?」
「痛いのはほんとに嫌なんで、
ぐっすり寝かせて下さい。」

などと言いながら、麻酔で眠りについた。

緊張していない素振りをしていたけど、
本当はすごく怖くて、緊張してた。

入室から約2時間後。

「忘年会行かなくて良かったね〜!
お腹開けたときにはもう破裂してたよ〜!」

半覚醒で病室に帰る途中、
主治医からこう言われてびっくり。

腹痛なく独歩で入室したのに
いつ破裂したんだろう。

まさかわたしの卵管、
全身麻酔がかかるまで
破裂するのを待ってたの?天才…??
(自画自賛)

お腹には縫合していない
4箇所の小さな傷があり、血が滲む。

ほんの少し体位を変えるのも
痛くて痛くてたまらない。
看護師さんが来て体位変換してくれるのが
待ち遠しかった。

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術後

翌日には心電図モニターや尿の管、
点滴が外れ、自由の身に。

歩行器でのリハビリを開始。
最初は起き上がるのもつらかったけど
回復の速さには自分でも驚いた。

3泊4日で退院。

退院してから

主治医に就労について相談すると
すぐに出勤しても良いと言われていたけど
気持ちの整理をしたいと思い、
1週間仕事を休むことにした。

わたしが妊婦だと自覚していたのは
わずか6日間。

終始不安はあった。
しかしその間お酒やコーヒーを飲まず、
赤ちゃんのことを想い、
妊娠を喜ぶ瞬間は確かにあった。

もしもの事態に備え、
一部の上司だけに事情を打ち明け、
そわそわしながら仕事をした。

でも手術したことで
わたしの初めての妊娠は全部終わった。

もちろん手術しなければ
わたしの命が危なかったのだけど。

周りの友達や先輩後輩が
次々に赤ちゃんの写真をSNSに載せるし、
職場の人は次々に産休育休を取る。

世の女性たちが、
さも順調に妊娠出産しているのだと
わたしは誤解していた。

これこそが1番の学びだったと思う。

Twitterにありのままを呟くと
わたしも流産の経験あります、と
お返事をくださる方がいた。

聞いてみると、わたしの周りにも複数いた。

表に出さないだけで、
多くの人がつらい思いをしながら
幸せを掴もうとしているんだと知った。

学生の頃の性教育では
望まない妊娠の悲惨さや家族計画、
性感染症、避妊について習った記憶が強い。

これらはつまり、正常に妊娠することが
前提になっていること
だと気付いた。

その視点も確かに必要だけど、
それだけじゃなくて
いかに妊娠が奇跡的なことであるか、
正常な妊娠出産ばかりではないこと、
妊娠を望む人の気持ちや
不妊治療の実際、
性感染症への偏見をなくすなど、

妊娠を多角的に捉えられるような
性教育ならいいのに。

トータルで妊娠について考えられたら
望まない妊娠も減りそうだと思う。

自分自身のことから性教育のことまで
あれこれ考えながら1週間が過ぎ、
わたしは日常生活に戻った。

これが「生理終わらない」から始まった
一連の流れ。

今は次のステップに向けて、
ゆっくり進んでいるところ。

いつか我が子を夫婦で抱ける日が
来るといいな。

もしもその日が来たら、
生まれてこなかった子どもの分まで
ありったけの愛情で可愛がる自信がある。