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自分の中で最大級の不安を想像してみる
母が検診に行って要精密検査になったという。
もし「がん」だったらどうしようと不安をこぼしている。
「うん。がんだったら治療すれば。」
心配で夜も眠れないと長時間昼寝をしている。
「墓場に行ったら好きなだけ眠れるぞ。」
僕は医者でも私立探偵でもない。それを相談されても解決はできない。
今できることといったら結果を待つことくらいじゃないか。
不安になるだけ損した気分にならないかと思うのだけど、人間は悩むことが大好きな生き物なんである。
生き別れた本当の親が山ほどの財産を僕に残していたら相続税をどうしようかとか、買ってもいないアメリカの宝くじが当たったらどうしようかとか、さっき買ったチョコボールのくちばしに金のエンゼルがあったらどうしようかとか、不安の材料はもうそこいらじゅうに、ダンゴ虫レベルに散らばっているんだ。
見ろ。羊飼いたちは毎日狼に怯えて暮らしていた結果、嘘つき少年に翻弄されて羊を食われてしまったのだ。あれは嘘をついちゃだめだよねって話じゃなくて、不安だらけな毎日を過ごしていると結果不幸になるよってことなんではないか。狼が怖いなら色々対策は出来ていたはずなんだ。代わりばんこに見張りを立てるとか、狼の嫌いな物を置いておくとか、あるいはもっと好物を置いておとくとか。怖がるだけで場当たり的な対処しかできなかったオトナたちが悪い。なんなら不安から解放されるために羊飼い辞めたっていいじゃん。
不安の手放し方はいくらでもある。
恐怖と不安と、起きている事象と自分の想像をきちんと整理できていないから、長編B級ミステリー映画を作り上げてしまうのだ。
不安はあるよ。しょうがないよ。人は明日死んじゃうかもしれないんだもん。
精密検査の結果、腫瘍は良性だったという母は、今日も死んだように惰眠をむさぼっている。
(239日)
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