かんじんなことはじぶんでさがしにいこう
小さな王子様は酔っ払いにこう訊ねた。
「なんで酒なんか飲むの」
酔っ払いはこう答えた。
「忘れたいからさ」
酔っ払い星人は酔った恥ずかしさを忘れるため、エンドレスで酒を飲みを続けるのである。
人間の脆弱さ図太さ美しさ、うたかたの生命を表現したであろう素晴らしいくだりである。これは酒飲みにしか理解できない真理である。
こういう微細でありながら大切なことは、周囲の人たちには中々伝わりづらいものなのだ。
駅のベンチで眠りこけるのも（家に帰りたくない）やることがないのに残業するのも（家に帰りたくない）最終電車が息もできないくらいに満員なのも（家に帰りたくない）
食後の食器洗いを積極的におこなうのも（やりたくない）すぐに妻に謝罪するのも（納得できない上に、できればやりたくない）プレゼントで妻の機嫌をとるのも（心の底からやりたくないが命が惜しい）
本当に大切なことは目に見えないんだよ。
ネットの書き込みなんかには、嘘やどうでもいいことが山盛りで、掃き溜めにクズばかり。大事なこと程ほじくり返してみないと見つけられない。
砂漠に井戸は見つかるんだろうか？
ぼくらはオトナになってどんどん大切なものを探せなくなっていくんだ。
そもそもオトナたちには本当に大切なことが何なのか分かっているんだろうか？
ほらね。ああやっていつも探し物をしてるんだ。僕の父のように。
僕はじいさんにこう訊ねた。
「何を探しているの」
じいさんはこう答えた。
「なんでお前はあずきバーばかり買ってくるんだ！歯が折れそうだ！」
大切なものが見えない上に、もはや会話すら成り立たなくなっていくんだ。
Imagine all the people…
（222日）
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