幸せの黄色い敗軍之将
冷蔵庫には余白があったほうがうれしい。もの足りないくらいのほうがいい。日本では年間2,500万トンもの食品廃棄物が出されているそうだ。食料自給率が~とか食糧難が~とか言ってる関係者のみなさん。十分なご説明をお願いいたします。
それは置いといて、まあゴミの日にさよならって食材を廃棄することが大変忍びない性格なのだ。
今日はヨーグルトを切らしていたため、小銭を携えスーパーに向かう。
僕は閉店間際の黄色い3割引きシールが嫌いだ。
「おじさん…これ全部売り切らないと親方に叱られるの。今夜はクリスマスなのに…」
という主張が、通常の3割増しに盛り込まれていて嫌いだ。明日は捨てられちゃうのか、と思うだけでも心が痛むため、素通りができない。よし、納豆は買っておこう。賞味期限は過ぎていても問題ない。朝晩消費しても三日だから2パックをカゴに。あとはヨーグルトを買って、今日はそんなところか。いやまて、これではまるで割引きシールを目指して来店したみたいじゃないか。しかも2パックってかなり大家族テイストだ。カントリーマアムファミリーパックなんかを一緒に買った日には、レジのお姉さんに、お仕事帰りにお買い物して偉いわねお父さん。などと妙な誤解を招くではないか。いやいや、何か他に必要な物はないのか。一応スーパーなのだ、食材も購入するとしよう。ちゃんと自炊だってしてるんだからねおじさんは。あらやだ豚バラ肉3割引き…
「おじさん、これ全部売り切らないと親方に…~以下同文~…」
肉だけじゃ料理にならない。玉ねぎとキャベツも買っておくか。えっと、なんかカゴの中身が所帯じみてきた。まずいぞ。おや、なんとデュワーズが期間限定のスーパープライス!これを買わない選択はない。そうだ何かつまみも買って行こう。大好きなちーかま…ではなくて、ナッツにしよう食塩無添加のやつ。あとカカオ86%のチョコレート。おじさんはシャレオツな大人なんだよふふふふふん。
「お会計3,905円でございます。」
「…カードでお願いします…。あ…袋もください…。」
―廃棄すべきは過剰な自意識である。
(137日)
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