
そして所詮他人ごとなんだよね
僕は紛争地帯に生まれた。今日も敵対する勢力同士が(両親)目前の団子のことで諍いをしている。結ばれていたはずの赤い糸も、年月を経て互いを縛り上げる不自由なものに変わる。もしかしたら父の攻撃は母の独裁政権への反対運動から発展したものかもしれない。
僕は難民になることも少年兵士になることも拒み、この地を離れた。本当はただ自由に自堕落に生活したくて独り暮らしをはじめたんだろうと言われているという噂もある。その通りだ。
僕はあの家庭環境でよくもこのように真っすぐに清廉潔白に成人したものだと言われているという噂もある。聞いたことも無いが。
「またはじまったよ~」
と軽いノリで兄嫁からのLINEが届く。
どうせ残っていた煎餅がしけっているとかの、ささいなことが序章なんである。ここから物語は地獄編~煉獄編~と、ダンテ神曲をしのぐ展開を見せる。だが、いつまで経っても天国編にたどりつけない。ベアトリーチェ!ガチにやつら天国に行ってしまう年齢だよ。
それは時として周辺地域を巻き込んだ争いに発展する。ロビー活動がさかんな母親は兄を見方につけることが得意で、劣勢になった父親に兄嫁が情けをかけたがために各所に飛び火し、世界中を巻き込んだ大戦になるといったスペクタクルな展開も多い。
過去にどれだけ和平使節(僕)を送り込んでも互いの主張を譲らない。独善的正義をふりかざし己の主張を繰り返すだけだ。僕に出来ることと言ったら、まあまあ落ち着いてと言いながら両者に武器を渡すくらいのものだ。
どちらかに「ごめんなさい」と言わせたらそれでゲームオーバーなのだろうか。なんで人ってマウントとりたがるんだろう。なんで戦い続けるんだろう。自分より下がいないって不安なんだろうか。僕なら逃げるか、電話口で鼻ほじりながら謝罪するかの選択をする。
そして今後、僕がどう行動するかというところだが
使節の派遣依頼は無視し続ける。
そうすると
「あいつはいつもそうだ。あいつは事なかれ主義だ。常軌を逸した世間知らずで常識知らずの恩知らずの怖いもの知らず命知らずだ!」~よみ人知らず
そのうち僕が悪の源泉であるかのようなウワサの種にされるのも時間の問題である。そして戦いの幕は閉じる。
君が笑ってくれるなら僕は悪にでもなる。
いや、めんどくさいの嫌いなだけなんである。
(252日)
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