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行きたい場所と思い出を集めたら、台湾へのラブレターができた「みんなでつくる、行きたい!台北map(from日本)」について

”あなたが今「行きたい」「帰りたい」と思いうかべる台北の場所はどこですか?”

そんな問いかけで始めたアンケートは、募集期間1週間のあいだに、国内外の台湾好きや台湾人のみなさんから173件の回答が集まり、思い出や「行きたい」「帰りたい」思いが込められた場所は400カ所余りも集まる結果になりました。Googleマップを利用して、それらを寄せられたコメントと一緒にマッピングした地図は、拡大しないとピンに埋もれて元の地図が見えないほどに。
自分たちの想像をこえる反響があった「みんなでつくる、行きたい!台北map(from日本)」についてnoteに書きたいと思います。

2020年3月19日、台湾外交部は日本に対する渡航警戒レベルを最高に引き上げ、査証免除(ノービザ)措置が停止されました。それにより、日本人が旅行で台湾を訪れることが実質できなくなってしまいました。

台湾が大好きで、次の台湾旅行の計画がほぼすべての原動力になっていた私は、まさか頑張っても台湾に行けなくなる日が来るなんて想像もしたことがありませんでした。

世界中が非常事態だから仕方ないことは分かっています。けれども、だからと言って台湾に行きたい気持ちに蓋をしておくことなんてできない。

「台湾に行けないなら、行きたい気持ちを思いっきり拗らせよう。日本で台湾探しをして、好きなだけ “台湾に行きたい” って言い続けていよう。」
日本にいながら、台湾を連想させるものを身近で探し出しては思いを馳せ、都度「台湾みたい!」と声を上げる、活動とも言えないような、そんな小さなことをInstagramのストーリーズではじめました。

一人で台湾探しを粛々と行っていたある日、友人で台湾オタクなグラフィックデザイナーのKEIKO在台灣さんが声をかけてくれました。

KEIKO蝨ィ蜿ー轣」 (@keiko_zaitaiwan) 窶「 Instagram photos and videos4,621 Followers, 1,000 Following, 3,635 Posts - See Instagramwww.instagram.com

「いいね!台湾探し。私ももっとやろう!私も拗らせ仲間でよろしく」
「拗らせついでに、いま日本にいる人が行きたい台湾の場所を集めたGoogleマップを作りたいと思うんだけど、どう思う?これ面白いと思う?」

おすすめや紹介をするだけでなく、個人的な思い出や思い入れを集めたGoogleマップです。自分と同じ台湾が大好きなみなさんが、それぞれの台湾に行きたい気持ちを思いっきり発散させられる場所、そんなものがあれば私は絶対に参加したい。さらにそれが実際の台湾の地図上に表示されて共有される…つくるのも見るのも絶対に面白い。

行けないことをさびしく感じたり、悲しくなるのではなく、情報交換をするようにそれぞれの思いにふれて「つぎはどこに行こうかな」「このエリアにはまだ行ったことがなかったな」とわくわくできる地図、やがて台湾にまた行けるようになったときにも100%口コミのリアリティ溢れるガイドになるはず。

ぜひ、制作を手伝わせてもらいたいと思いました。

さて「みんなが思いうかべる行きたい場所」それをどうやって集めよう?

完成図は瞬時に思い描くことができました。ふだんから、SNSなどでリサーチした行きたい場所の情報を、Googleマップのマイマップ機能を使って記録していたので、その要領でつくることができます。

はじめは台湾全土で行きたい場所を集めようと漠然と考えていましたが、KEIKO在台灣さんと相談して、あらかじめエリアを絞っていたほうが、完成した地図を最初に開いたときに分かりやすいし、その後の使い勝手も良くなりそうなので、まずは台北とその周辺でつくることにしました。

問題は情報の集め方でした。KEIKO在台灣さんと私が、それぞれのSNSで呼びかけと拡散をするとして、地図に反映することを考えて、ある程度情報がフォーマット化され、マッピング作業用に一覧で見やすい形でまとめられるようにしたい。SNSの#(ハッシュタグ)で集めることも検討したけれど、投稿してもらうにもすこしハードルが高くなってしまうし、こちらで取りこぼしてしまうことも想定されます。

Googleフォームでアンケートという形をとれば、さらに回答期限を設けられ、設定によって、ログインなどの煩わしい作業をさせることなく回答していただけます。集まった回答をスプレッドシートに出力して共有できるので、人海戦術でマッピング作業を進めることもできます。

さっそくKEIKO在台灣さんに集めたい情報をまとめてもらい、それをもとに質問を設けアンケートを作成しました。いきなり公開するのは心配だったので、親しい友人にテスト回答とアンケートのチェックをお願いしたところ、多くのチェックが入る結果に…。

・どこまでの誰にむけてのアンケートなのか。友達だけに公開するならいいけれど、それよりも広げたいならば、自分たちが何者でどれだけ台湾が好きなのかをもっとしっかり書いたほうがいい。
・名前を書く理由、どう使用するのかの説明が足らない。
・「台北」とは厳格に台北市内を指すのか、それとも新北市など近郊も含めるのかを明記したほうがいい。
・「食べ物の店」「それ以外の店」など質問が曖昧すぎて、回答するときに悩む。
・回答が必須のものと、そうでないものとの線引きが分かりにくい。

どれもその通りすぎて、釈明のしようもない…。自分たちの自信のなさが表れた、回答しにくいアンケートになっていました。

アンケートはもう一度イチから考えて作り直すことにしました。

まず、自分のSNSなどで詳しく書くつもりでいた説明文を、このアンケートだけを見た人にも趣旨がきちんと伝わるように、しっかりボリュームを持たせて書くことにしました。

「台北」としかしていなかった地名には(新北市を含む)の記述を追加しました。

また、ひとりでも多くの台湾好きのみなさんに、気軽に安心して参加してもらうために、非公開の個人情報にあたるものは集めたくなかったので、「地図にコメントと一緒に公開されても差しさわりのない名前」としっかり設問に明記しました。

場所の種類については選択式にして、選択肢には具体例も入れて、回答するために少しでも迷わずにすむように配慮しました。

アンケート画面

こうして友人たちの力を借りて、なんとか準備を整えることができました。

いよいよアンケートの公開、目標は100カ所のマッピング

3月31日 午後9時、ついに「みんなでつくる、行きたい!台北map(From日本)」のアンケートをKEIKO在台灣さんと私のそれぞれのSNS(Instagram、Facebook、Twitter)で公開しました。

公開してから、ものの30分もたたないうちに、回答数は30件近くも集まりました。

企画段階の予想として、マッピング100カ所、単純計算してアンケートの回答数は40件くらいは集めたいねと2人で話していたのですが、翌日にはすでに70件近くも回答が集まり、夢の数字としていた回答件数100件に届いてしまいそうでした。

集まっている回答の一つひとつに目をとおして、私は涙が止まりませんでした。

小さい頃に、亡くなったおじいさんとよく行った伝統市場の思い出、台北で暮らしていた時に、つらいことがあって訪れた海辺のカフェですごしているうちに湧いてきた勇気、台湾が大好きで日常的にリサーチをくりかえして見つけた次に絶対に行きたい場所、帰りたいけれど今は帰れない懐かしい実家、おなじみのお店の娘さんが大人になって最後に訪れたときに抱いていた赤ちゃん。
今度行ったら何をしよう、まっさきに誰に会いに行こう、どのコメントにも台湾への愛が込められていて、これは地図の形を借りた台湾へのラブレターになるのだと思いました。

また、台北に住まれている日本人の方からもメッセージをいただきました。

新型コロナ渦が始まって、台湾は日本よりもだいぶ早くから警戒が強まり、その頃に日本から台湾を訪れた人の中には、いくぶん肩身のせまい思いをした人もいることでしょう。でも、日本からの旅行者が台湾に来られなくなった今、さびしく思っている台湾の方がたくさんいて、そんなお店にもいつかまた訪れてほしいから、アンケートに回答したいです。

とても嬉しかったです。台湾にも、日本にいる自分たちを懐かしんで待っていてくれる人々がいる!
ぜひ回答していただきたいとお願いしました。日本にいる私たちの気持ちも、伝えていただきたいと思いました。

約1週間の回答期間を終え、ついに地図を公開

3月31日のアンケート開始から、6日後の4月5日に受付を終了し、8日の夜、ついに「みんなでつくる、行きたい!台北map(From日本)」を公開しました。

アンケートの最終回答数は173件、マッピングした場所は400カ所ほど。企画当初の予想や目標のどちらも大きく上回る結果となりました。

マッピング作業は、結局KEIKO在台灣さんと2人で行いました。
KEIKO在台灣さんに、マッピング用に台湾モチーフのオリジナルピンを作ってもらい、書き出ししたスプレッドシートの情報をもとに、一つひとつ手作業で地図に反映していきます。

一部をのぞいて、ほとんどの回答が被ることなく、実にたくさんの場所にピンが付きました。
本来、気の遠くなるようなアナログ作業ではあったのだけど、とにかく楽しくて時間も忘れて夢中で作業しました。
※もっと早い方法があれば、ぜひ教えてください。(笑)

地図の公開後の反響も、とても嬉しいものでした。

「つぎに台湾に行くときは、この地図の行きたい場所の近くに宿をとろう」
「つぎに行けるときまで、この地図を眺めながら想像の台湾旅行をしよう」

誰かの思い出をたどる旅、行きたい場所が、今までよりもさらにすこし特別な場所に変わる。

「落ち込んでいる時期に、優しい気持ちをありがとう」とコメントしていただけました。
でも、こんなに優しくて嬉しい地図ができたのは、多くの台湾大好きなみなさんと一緒につくることができたからだと思います。

嬉しい反響はもうひとつ。
公開した翌日に、CAMPFIREで ”「名物」よりも「好物」を集めた名古屋案内本「LOVERS NAGOYA」を作りたい“ という活動をしている加藤 幹泰さんから、友人を介して「名古屋版の行きたい!mapを作りたい」という連絡をいただきました。1時間ほど電話で直接お話しし、今回の私たちの意図をしっかり把握し共感してくださっていることが分かりとても嬉しかったです。

加藤さんの「LOVERS’ NAGOYA MAP」については、その後すぐにアンケートが作成・公開され、すでに回答の募集期間を終えMAPの完成を待つばかりとなっています。

私たちが台湾を愛するように、名古屋を愛する人たちによる思いがつまった地図。いつか名古屋を訪れるときは、ぜひこの地図を片手に思い出を辿ってみたいです。

「LOVERS’ NAGOYA MAP」のこれからについては、以下をチェック!
「LOVERS’ NAGOYA MAP」加藤 幹泰さんのFacebook
(参考)みんなでつくろう!「LOVERS'NAGOYA MAP」アンケート(※受付終了)

みんなでつくる、行きたい!台北map(From日本)のこれから

今回のアンケートの最後の設問に、

今回は台北(新北市含む)にしぼりましたが、今後、台北以外の街のmapもいつかつくれたらいいなあと思います。参考にしたいので、台北以外で台湾の行きたいまちを教えてください。

という質問を設けていました。
第1弾として台北編を行った後、ほかのエリアでも同じことができるのか、できるとすればどのエリアがいいのか、回答結果によって分かるのではないかと設けた問いです。

回答必須ではないこの質問にも多くの方が答えてくださり、18ものエリアに票が入りました。そのなかでも、特に台南と高雄の人気が高いということが分かりました。

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アンケートの公開時から、「ぜひほかのまちでも」という声をいくつかいただいていたことにも背中を押され、「台北の次は、台南・高雄をやろう!」となりました。

4月18日、第二弾となる「みんなでつくる、行きたい!台南・高雄map(From日本)」のアンケート募集を開始しました。

回答期間は4月26日 24時まで。
台南・高雄が大好きなみなさんと、たくさんの思いがつまった地図をまた一緒につくれたら嬉しいです。そしていずれは、離島を含めた台湾全土に、思いのこもったピンがたくさん立てられた地図を見ることができたら!

我們都愛台灣!みんなで台湾好きを拗らせよう!

台湾を好きになってから、多くの台湾好き仲間に出会いました。
またこの地図を通じて、さらに多く出会うことができました。

今は近くに住む人とも、かつてのように気軽に顔を合わせて話すことが難しいです。でも、この地図やSNSやライブ配信で、家にいながらにして台湾好き仲間たちとふれあうことができる。
その誰もが自分と同じように、台湾に行くたびに好きなものに出会い、日本で過ごしているあいだも台湾の情報を集め交換し合い、台湾に関する憧れの場所やものごとをどんどん増やしていく。
「どうしてこんなに、台湾ばかりが特別なのだろう?」と考えてしまうときもあるけれど、考えている間にも、新しい好きな台湾を見つけてしまう。

「みんな拗らせ仲間だ」

地図に込められたそんな台湾大好きたちの思いにふれて、誰よりも一番励まされたのは、私とKEIKO在台灣さんだったのかもしれません。

つらい気持ちや不安な気持ちと常に背中合わせではあるけれど、明るい気持ちで台湾に行ける日を楽しみに待てたらいいな。
またいつか、日本の台湾好きのみなさんと、顔を合わせて思いっきり台湾の話がしたい。
そして日本からの気持ちが、台湾に届いたらいいな。

台湾が大好きなみなさん、本当にありがとうございました!
そしてこれからも、どうぞよろしくお願いいたします。

我們都愛台灣!

筆者:帆帆魯肉飯
墨田区京島の古民家をリノベーションしたシェアカフェ「halahelu(ハラヘル)」で毎週日曜日を担当する魯肉飯専門店「帆帆魯肉飯(ファンファンルーロウハン」です。魯肉飯とは醤油ベースで甘辛く煮込んだ豚肉をかけたごはん。台湾の国民食です。
毎月第2・第4金曜日は柴崎の「本とコーヒーtegamisha」に出張中!
おいしい魯肉飯を通じて大好きな台湾の魅力を発信したい。一緒に台湾の話をしましょう!※現在、営業自粛中
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