経営者の子どもが「次の経営者に相応しいとは限らない」
日本は家族経営の企業が多い。中小企業が9割という状況の中で規模が小さい企業は家族で事業を営む印象があります。
親の意思を継ぎ、次の世代である子どもが事業を伸ばすことも十分にありますが、経営者の子どもたちすべてが次の社長に相応しい訳ではありません。
子どもに「自分の意思を託す」という意味では子どもへの事業継承はとても素敵なことですが、それでも「子どもが次の社長に相応しいのかは冷静に見る必要がある」と僕は考えます。
経営者が次世代に経営を託す「気持ちはわかる」
親である以上、子どもは可愛いもの。
お葬式・相続相談・介護相談の窓口を運営させて頂いていると、すごくその思いが伝わってきます。
経営者であれば、自分の遺伝子を持つ子どもに自分の事業を引き継ぎたいと思うのは、当然のことであると思います。
しかし「子どもを大切に思う気持ち」と「会社経営」を一緒にしてしまった企業で「一気に成長できた企業を私はほとんど見たことがありません」
先代の経営者は自分の子どもに事業を引き継ぐ場合「経営者として資質があるか」を冷静に見る必要があります。
経営とは会社を維持し、お客様に最良なサービスを与え続けること。
これができなければ経営者としては相応しくはありません。
子どもであっても資質がないものに引き継ぎ「会社を潰してしまったら元も子もない」からです。
経営者の子どもだから「次の社長に相応しい訳ではない」
親の会社を潰してしまったら元も子もない
親である先代経営者が何十年も費やして経営をした企業が一瞬で無くなる。
残念ながら、今の早い時代の流れを見てもよくあることになってしまいました。
経営を行っていた経営者が引退し、新しい経営者が就任するタイミングは上手くいかなくなってしまうことが多く、その法人が無くなってしまう可能性が高いです。
経営者である以上「お客様にとって良いサービスを提供し、会社を維持すること」は必須命題となり、子どもだから会社を潰さないという保証はどこにもありません。
親から経営を託された子どもが陥る思考
僕が自分自身や周囲の次世代経営者(親から事業を譲り受けた子ども)から感じることは、引き継いだ子どもたちは「大きく2種類のタイプ」に分かれます。
自分の親(先代経営者)の実績や人脈を「自身のもの」だと勘違いする。
自分自身の考え・プレッシャー・周囲など言われ方などの要因により、「卑屈になりすぎてしまう」
僕は上記のように考えており、この考えを抜け出せるかが「子どもが親の事業を引き継げる最初の関門」だと考えています。
関係者は先代の経営者だから貢献してきただけ:「次世代経営者」には最初から信用もカリスマ性もない
親から事業を引き継いだ経営者の中には、先代経営者の時代からの幹部や従業員が「自分自身」のものであると当初から考えている人が多い印象です。
正直、先代経営者だからこそ、役員・従業員はその会社に勤めていただけであり、取引先は先代経営者だからこそ取引をしています。
「引き継いだ次世代経営者・まして経営者の子どもなどには何の信頼感などないものと思った方が良い」
そして、子どもが親から引き継いだ経営者は、すべての人がそうとは言いませんが「元々プライドが高い人が多い」
だからこそ、取引先・役員・従業員の現状をよく把握し、経営を引き継ぐ必要があります。
「必要のないプライドを持たないこと」や「物事に対して素直なこと」がうまく先代経営者から引き継ぎを行える人の特徴だと僕は考えます。
親から引き継いだものを維持して発展するには
親からの引き継ぐものは「事業そのものではなく、信用・人脈」であると僕は考えています。
先代経営者に接点のあった人たちが
「次世代経営者と付き合ってくれる保証は上場企業でもない限りありません」
だからこそ、先代が現役で動ける時から「次世代経営者」は信用と人脈の引き継ぎや更に関係性を形成しておく必要があります。
親が営業していたお得意先に対し、次世代経営者が関係性をいきなり無くしてしまうケースはよくあります。
関係性の見直しは必要だと思いますが、見直しをせず放置をしてしまう次世代経営者も多く、それが原因で取引先を失ってしまう次世代経営者も数多く見てきました。
先代経営者が今までやってきたことを実行・理解・吸収する。
自身で経験したことから、会社として伸ばせることを考え発展させる。
偉そうなことは僕自身も言えませんが、多くの次世代経営者(特に親から子ども」への継承をされた人を見て感じたことです。
せっかく親が残してくれたものを「自分自身で潰してしまうことは本当に辛いことです」
だからこそ「考え方」「素直な気持ち」が次世代経営者には必要なことであると僕は思います。