【シーズンプレビュー】24-25 B1 群馬クレインサンダーズ
こんにちは。ボナファイド・ボーラーです。
勿体ぶらずにさっさと本題へ入れよ、と言われている気がするので、早速、群馬クレインサンダーズの24-25シーズンプレビューを始めましょう。
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⚠️本記事は全て素人バスケオタク&群馬クレインサンダーズのライト層ファンである筆者の個人的感想になります。クラブの公式見解などとは一切関係ありませんのであしからず。
24-25シーズンロスター情報
このオフも、豊富な資金力を背景に、話題を引き起こす補強を行った我らが群馬クレインサンダーズ。
結局、誰が退団して、誰が継続して、誰が新しく加入するの?という疑問の整理とおさらいとして、オフの公式リリースを時系列順にまとめた記事を書いたので参照してみてください↓
戦力収支の評価
この項ではポジション別に退団、新加入の戦力収支に対する評価を、独断と偏見で書いていきます。
PG(ポイントガード)
並里、五十嵐が退団したPG(ポイントカード)には、川崎ブレイブサンダースから藤井が加入。
ペネトレイトとチャンスクリエイト能力はリーグトップクラスの並里、そして日本代表経験のあるベテランの五十嵐が移籍することとなったが、高精度な3pt、ハンドリングスキル、タイトなディフェンスなど数多くの能力を高次元に併せ持ち、弱点が少なく総合力の高い藤井が加わり、昨シーズン中盤からスタメンを奪取したフリッピン、プロスペクトの菅原と共に、このポジションの陣容は盤石の印象。
藤井は21-22シーズンにはリーグ年間最優秀選手賞に輝き、リーグベスト5、ベストディフェンダー賞を複数回受賞するなど、総合的に考えれば、比較対象を見つける方が難しいクラスのポイントガードであり、彼の加入は群馬のバックコート陣の質を強力に押し上げると予測される。
SG(シューティングガード)
木村が退団したSG(シューティングガード)には、三遠ネオフェニックスから細川が加入。
木村は、22-23シーズンにB1の新潟で57試合に出場し、23分52秒の平均プレータイムを得るなど、23歳という若さながら即戦力として期待されていたが、群馬へ移籍後の平均プレータイムは5分44秒と、定着には苦しむことに。
新加入の細川は、19-20シーズンに特別指定選手として群馬でプレー後、京都を経て、直近2シーズンは三遠でプレー。
22-23には、GP(試合出場)60試合でGS(スタメン出場)41試合、平均プレータイムは26分57秒で、レギュラーシーズンは平均10.9得点と、三遠では主力としての地位を確立すると、23-24シーズンには三遠の中地区優勝に貢献するなど、大きな飛躍を遂げてのカムバックとなる。
プロスペクトとして大きな期待のかかった木村の退団には、落胆したファンも多かったように感じるが、26歳にしてB1トップチームの主力を任されていた細川の加入により、オフェンスの核となっている辻、コンボガードにも対応可能なフリッピンと合わせて、SGの陣容はPGに負けず劣らず盤石な布陣になったと言える。
SF(スモールフォワード)
SF(スモールフォワード)は星野が退団。代わりとなる選手は獲らず、チームのエースであるジョーンズと、成長著しい八村の少数精鋭の布陣となる。
星野はハンドラー、ビッグマンの両面を守れるディフェンス力が強みのプロスペクトだが、23-24シーズンは木村と共にプレータイムは限定的であり、退団に伴うタイムシェアへの影響は少なめ。引き続き少数精鋭となるSFは、ジョーンズ、八村のコンディション維持が鍵となる。
PF(パワーフォワード)
23-24シーズンのチーム得点王ベンティルが退団し、ドイツBBLのアルバ・ベルリンからティーマン、信州ブレイブウォリアーズからアキノが加入。
23-24シーズンはBリーグ初挑戦ながら、平均17.0得点、平均3pt試投数4.4本、3pt成功率44.6%という驚異的なスタッツでオフェンスを牽引したベンティルの退団がチームに与える影響は大きく、オフェンスで手づまり感のある局面において、困った時のベンティル頼みが出来なくなる点のマイナスは、少なくないと予想している。
後述するが、群馬はPF/Cポジションのビッグマンによる3pt試投数が少ないチームである。23-24シーズンは、ビッグマンの3pt試投数、成功数共にベンティルへの依存度が極めて高かったため、彼の退団により、特にオフェンス面におけるフロアバランスが悪化する懸念があると感じている。
新加入のティーマンはアルバ・ベルリンに6シーズン所属し、ユーロリーグにも出場。現役ドイツ代表の主力として2023年W杯優勝、2024年パリ五輪ベスト4に大きく貢献するなど、国際大会における実績が豊富な選手である。
※ティーマンに関しては個別にレビューしているため、興味を持たれた方は↓の記事を参照してください。ティーマンも含む新たに日本に初挑戦する外国籍選手について、B1全員分のウォッチメモを書きました。
ディフェンスにおいてはヘルプDFを得意とし、ポストDF、ペリメーターDF、ゾーン対応をオールマイティにカバーするなど万能な能力を有し、ディフェンス面においてはベンティル以上の貢献が期待される。
オフェンスではオフボール型であり、縁の下の黒子役として汗をかきながら、要所で得点する能力に長けている。3ptについては、直近の23-24シーズンのユーロリーグで平均試投数2.2本、成功率34.4%と優秀な数字を残しているものの、キャリア通しての確率は安定しない部分もあるなど、アウトサイドのシュート力はベンティルに比べて落ちる面もあり、大物外国籍同士の入れ替えとは言え、オフェンスの役割は異なるものになると見込まれる。
信州から加入したアキノは日本代表候補のPFで、3ptを狙えるストレッチ4系のビッグマンである。ビッグマンの3pt試投数が少ない群馬において、フロアバランスの改善に寄与できる可能性を秘めているが、ティーマン、パーカー、野本と、層の厚いPFポジションでは熾烈なプレータイム争いが予測され、まずはチーム内競争にしっかりと絡んでいくことが求められる。
C(センター)
ターズースキーの継続により、23-24シーズンに引き続き登録は彼1人となる。実際にはPF登録のティーマンがこのポジションを兼任することが見込まれるため、Cポジションは1.5人体制と言った印象。
いずれにせよ層の薄いポジションとなるため、ターズースキー、ティーマンのコンディション維持が鍵となる。
23-24シーズンに見る強みと課題の整理
スタッツの名称は色々とありますが、Bリーグ公式のものを使用します。ご丁寧にも、Bリーグ公式ではスタッツ用語解説なるものを用意しているので、馴染みがない方はこれを機に確認してみましょう↓
チームの長所、強みの抽出
23-24シーズンの群馬は、FBPS(ファストブレークによる得点)の合計が789点でB1全体3位となり、リーグトップクラスと言える数字を残すなど、速い展開に持ち込んだ際の得点力の高さは絶対的な強みとして健在。要は殴り勝てるスタイルを昇華させ、勝率5割達成の原動力とした。
DEFRTG(100ポゼッションあたりの平均失点)は110.6でB1全体15位という成績となり、相対的には依然リーグ下位ではあるものの、22-23シーズンのDEFRTGは111.7でB1全体17位だったことから、2シーズン通してのチーム成績として見れば上昇傾向にあり、堅守→速攻の形へ持ち込める場面を増やせたことは収穫であると言える。
得点傾向と課題の整理
バスケットボールにおける得点のフィニッシュパターンは、①3pt、②2pt、③フリースロー(1pt)の3パターンに大別される。その内訳から傾向を探っていく。
群馬の23-24シーズンの%PTS3PT(総得点に占める3ptの割合)は30.1%というB1全体で4番目に低い数字となり、2FGM(2pt成功数)はB1全体6位、FTM(フリースロー成功数)はB1全体2位と、2ptとフリースローの成功数はいずれも高い数字となった。
%PTS3PTが低いこと自体は悪いことではなく、3ptよりも2ptとフリースローを主体として得点するという、チームオフェンスのスタイルを示している。
事実、23-24のレギュラーシーズンで東地区2位という好成績を残したA東京の%PTS3PTは28.7%でB1全体で2番目に低い数字に。2FGMはB1全体2位、FTMはB1全体5位と、2ptとフリースローの成功数はいずれも高い数字となり、3ptよりも2ptとフリースローを主体として得点するという意味で、群馬と似た傾向が見られる得点傾向となっている。
ただし、A東京はPITP(ペイントエリアでの得点)が2354点でB1全体2位と、リングに近いエリアでの2ptを効果的に伸ばしている。
一方の群馬は、%PTS3PTが低く、2FGM(2pt成功数)は高いにも関わらず、PITPは2004点でB1全体14位と伸び悩む結果となった。
このことから考えられることは、群馬はハーフコートオフェンスのフィニッシュパターンを、ペリメーター(ペイントエリアの外側かつ3ptラインの内側)の2pt、または被ファールからのフリースローに依存しているということである。
ペリメーターの2ptは飛距離が長い割に決めても2点ということで得点期待値が低く、ある種のランダム性があることから、一般的には総得点におけるペリメーターの2pt割合が高いのは好ましくないというのが現代バスケにおける通説である。
世界の最先端では、ペリメーターからの得点を再評価する流れも一部あるようだが、Bリーグでのトレンドとしては、基本的には得点期待値の低いペリメーターからの2ptは減らし、得点期待値の高い3pt、またはペイントエリアでの2ptを増やすことが望まれ、群馬のオフェンス面における現状の課題となっている。
加えて、もう一つ大きなA東京との違いとしては、ORPG(平均オフェンスリバウンド数)が挙げられ、A東京は13.3本でB1全体5位であるのに対し、群馬は9.3本でB1全体21位となり、セカンドチャンスの差は顕著に現れている。
群馬がORPGを飛躍的に伸ばしていくのであれば、A東京的なスタイルを目指すのもありだと思うが、それを見込むのが厳しいのであれば、セオリー通りにペリメーターの得点割合を減らし、得点期待値の高い%PTS3PTとPITPを増やしていくことが鍵となる。
%PTS3PT(総得点に占める3ptの割合)の分析
群馬の23-24シーズンの%PTS3PTは30.1%というB1全体で4番目に低い数字であることは、既に触れた。
DEFRTGに関して2シーズン通してみると上昇傾向であることも既に述べたが、同じように%PTS3PTについても22-23シーズンの数字を見てみると、25.6%でB1最下位であった。
したがって、%PTS3PTについても"上昇傾向にあるのだから順調じゃないか"と言いたくなるところだが、編成が再編されるタイミングで傾向を正しく評価するためには、その内訳に目を向ける必要がある。
23-24シーズンの群馬は3PTMPG(平均3pt成功数)がチーム平均8.0本であるが、退団したベンティルは個人平均2.0本の3ptを決めており、22-23シーズンがチーム平均7.0本であったことからも、チームの%PTS3PTの上昇に大きく寄与していたのは、ポジション別の戦力収支で書いたように、驚異的な確率で3ptを決め続けたベンティルの力によるところが大きい。
続いて3FGAPG(平均3pt試投数)を見ていくと、ベンティルは個人平均4.4本を打っており、特に同ポジションのPF/Cの選手の成績は、パーカーが平均1.0本、野本が平均0.3本、ターズースキーが平均0.0本と、軒並み平均1.0本以下であったことを考えても、3ptはPG/SG/SFの選手しか打てない傾向にあった群馬のフロアバランスの歪さを、単独で解決出来ていたベンティルが退団した影響は少なくないと見ている。
一方でPG/SGのバックコート陣の3ptに目を向けると、23-24シーズンに川崎で平均3pt試投数6.3本、成功率36.3%の藤井、三遠で平均3pt試投数5.9本、成功率35.4%の細川が加入したことにより、チーム全体としてみれば%PTS3PTの上昇は見込める可能性もあると言える。
23-24シーズン、群馬でNo.1の3FGMPGを記録した辻が平均3pt試投数5.7本、成功率36.5%という成績であったことからも、藤井、細川の加入は大雑把に言えば、3pt面において辻がもう2人増えるくらいのインパクトがあり、バックコートの3ptについては大幅強化の見込み。
ただし、3ptはPG/SG/SFの選手しか打てない傾向には拍車がかかる可能性もあり、ディフェンスに対して的を絞らせないための対策は必要となる。
カイル・ミリングHCの傾向とアジャスト
22-23シーズンから2シーズンに渡って指揮を取った水野HCが退任し、23-24シーズンB1年間王者に輝いた広島のミリングHCが群馬の新HCに就任。HC交代に伴い、傾向とアジャストの問題について探っていく。
23-24シーズンの広島-群馬の比較
サンプルとして、23-24シーズンにミリングが指揮を取った広島と群馬のスタッツを比較する。
※()内の順位はB1全体における順位。
チームの攻撃力と守備力をそれぞれ反映するOFFRTG(100ポゼッションの平均得点)とDEFRTG(100ポゼッションの平均失点)はいずれも広島が上だが、数字、順位共にDEFRTGの方が差が大きく、広島は群馬よりもディフェンシブなチームであったことが伺える。
既に群馬の課題として挙げた%PTS3PTと%FGA3PT(試投中における3pt割合)については、広島はB1全体の中では特段高い数字ではないものの、群馬よりは明確に上であり、より現代的なハーフコートオフェンスを展開していたことが見てとれる。
PACEの違い
ここまで、攻守のRTGと3pt割合を見てきたが、広島と群馬の間でより顕著に傾向が異なるのは、PACEの違いである。
PACEとは1試合あたりの平均ポゼッション数のことで、広島は平均70.2でB1全体21位、群馬は平均74.1でB1全体5位と、この部分での数字はくっきりと分かれることに。
PACEは、オフェンスを素早くフィニッシュまで遂行→ポゼッション入れ替わり→また素早く攻めると言ったように、速く攻めればポゼッション回数が増えて上がり、逆に24秒を使い切るように、オフェンスをゆっくり組み立てるとポゼッション回数が減り下がるものである。
相関関係にあるFBPS(ファストブレーク合計得点)にも両者の違いが現れており、広島は603点でB1全体15位なのに対し、群馬は789点でB1全体3位となり、オフェンスをじっくり組み立てスローペースに引きずり込む広島と、ファストブレークを繰り出しハイペースへ持ち込む群馬というスタイルの違いは顕著に見られる。
アジャスト懸案事項まとめ
以上のことを踏まえ、ミリングHCが群馬の指揮を取る上での懸案事項を整理すると、PACEをどのように設定するかということが最重要項目であるように思える。
23-24シーズンの広島は、ワイルドカードで出場したB1チャンピオンシップにおいて、格上のチームをスローペースへと引きずり込むことで試合の主導権を手繰り寄せ、優勝という結果を掴み取っている。このことからも、ミリングHCが直近で得意としていたスタイルは、PACEを低く抑えることである。
一方、23-24シーズンの群馬は、既に述べたファストブレークを多く繰り出す速い展開を強みとしていた。ゆえにミリングHCがPACEを低く抑えることに注力しすぎてしまうと、群馬が積み上げてきたチームの長所が発揮しにくくなるというジレンマがある。
PACEの設定については、チームが進むべき方向を意識統一しながら、それに向けてHCとロスターの双方が歩み寄りを見せ、新たな群馬のスタイルを模索していくことが肝要となる。
また、%PTS3PTの分析の項でも書いた通り、群馬はPF/Cポジションの平均3pt試投数の低さがハーフコートオフェンスにおけるネックとなっており、これに対し、ミリングHCがどのように対処していくかも注目のポイントである。
広島は河田以外のビッグマンが全員3ptを打てたので、群馬とは編成の根本が異なり、ハーフコートオフェンスを同じように展開することは基本的には難しく、PACEの設定と関連して、ミリングHCの采配における重要項目になると考えられる。
総評
HC交代に伴うアジャストに関しては、主にオフェンス面にフォーカスした内容となったが、意外と思われるかもしれないが、ディフェンス面においては、個人的にアジャストの懸案はそれほど心配してない。
と言うのも、退団した選手たちの強みがどちらかと言えばオフェンシブな方面であったのに対し、新加入の選手たちはディフェンシブな方面にも長けている傾向にあり、上昇傾向にあるDEFRTGをそのまま押し上げていけるように感じているからである。
最後に24-25シーズンの着地点の話になるが、基本的にはこれから発表されるであろうシーズンのチーム目標とチームスローガンに沿った着地点が基準となるはずである。
その上で、24-25シーズン、個人的に求めたいことをあえて挙げるのであれば、結果よりも内容を重視したシーズンになって欲しいと思っている。
23-24シーズンにチーム目標として掲げ、達成できなかったB1チャンピオンシップ出場が、おそらく24-25シーズンにおいても最大の目標として設定されることは、もはやクラブにとっての至上命題であるように思えるが、一方で、HC交代後1年目という難しさ、アジャストにおける懸案事項の困難さなど、適応やチームビルディングに向ける一定の時間、我慢、忍耐は必要であると感じているところである。
その先に見据えるクラブの到達点へ向け、24-25シーズンが収穫の多い実りあるシーズンとなるよう、新シーズンも全力で応援していきたいと思う。
24-25シーズンもよろしくお願いします。
お読みいただきありがとうございました!
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