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【B革新】Bリーグとユーロリーグが目指すサラリーキャップ制度の未来

こんにちは。ボナファイド・ボーラーと申します。
私は日頃からB1の群馬クレインサンダーズを中心にバスケ観戦を楽しんでいる、ライト層Bリーグファンです。

Bリーグ2026-27シーズンよりB革新と呼ばれる大幅な制度改正が行われることが決まり、その施策の1つとしてサラリーキャップ制度が導入されます。

今回はこの制度の概要と共に、2027-28シーズンからヨーロッパのユーロリーグでも導入されるサラリーキャップ制度を紹介しつつ、個人的雑感も踏まえた記事を書いていこうと思います。

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※本記事は全て筆者の個人的感想です⚠️リーグの公式見解などとは一切関係ありませんのであしからず。

サマリー

Bリーグでは2026-27シーズンよりB革新と呼ばれる大幅な制度改正が行われることが決まっており、その施策の1つとしてサラリーキャップ制度が導入される。

サラリーキャップ制度をざっくり説明すると、Bリーグのクラブに対し、チームの選手年俸総額キャップ(上限)フロア(下限)を設け、その範囲内に収まるようにクラブ経営を行いましょう。というものである。

今回の記事では、B革新により再編されるBリーグの中でも特に、NBAに次ぐ"世界第2位のリーグを目指す"という目標を掲げているトップリーグのB LEAGUE PREMIER(以下、Bプレミア)におけるサラリーキャップ制度へ焦点を当て、その概要に触れていく。

また、最短で2027-28シーズンから導入されるユーロリーグ(欧州最高峰の男子プロバスケットボール国際リーグ)のサラリーキャップ制度についても参照し、両者の比較を通して今後の考察材料としたい。

Bリーグがサラリーキャップ制度を導入する目的

制度を設計し、導入する上で大事になるのはその目的である。リーグが目的として掲げているのは次の2点

・戦力均衡
・クラブ経営強化

である。

これについては、島田チェアマンが執筆しているnoteの記事↓に書いてあるため、詳細は割愛します。

Bプレミアのサラリーキャップ

Bプレミアのカテゴリーで設定されるサラリーキャップは、キャップ(上限)が8億円フロア(下限)が5億円とされている。要は、この範囲内に選手年俸総額を納めなければ、そのクラブに対してペナルティ(罰金など)が課される、というものである。

ちなみに、キャップ、フロアの金額ネット(消費税抜、消費税の他は税込)のため、実際の選手人件費のグロス(税込)総額は、これよりも多額となる。

また、既に紹介した島田チェアマンのnote↑にも書いてある通り、クラブの経営状況としてBリーグの決算に出てくるトップチーム人件費は、選手のみならずコーチスタッフも含む総額であるため、安易な比較は出来ないことにも注意が必要である。

Bプレミアのサラリーキャップには、スター選手条項という特別条項が付帯されており、クラブで1名のみ、1.5億円を超える年俸の選手を抱えたとしても、サラリーキャップにおける金額を1.5億円として計上出来るというものである。

極端な例を挙げると、例えばレブロン・ジェームズニコラ・ヨキッチと言ったNBAトップクラスの選手(いずれか1人)と仮に円換算の年俸100億円で契約したとしても、Bプレミアのサラリーキャップの枠内においては1.5億円で計上し、残りの6.5億円のサラリー枠をロスターの他の選手に充てることが可能となる。

ユーロリーグもサラリーキャップ導入を決定

さて、ここまではBリーグのサラリーキャップ制度を紹介してきたが、欧州のユーロリーグにおいてもサラリーキャップ制度が導入される、というニュースが2024年9月にリリースされた。

ユーロリーグのサラリーキャップ制度の施行2027-28シーズンからで、それまでは移行期間という位置付けとなる。

なぜ、ここでユーロリーグの事例に目を向けるかというと、ユーロリーグはNBAに次ぐ現在の世界第2位のリーグであり、Bプレミアが目指すリーグレベルに限りなく近いモデルの1つと言えるからである。

ユーロリーグは実際には欧州各国リーグに所属するチームによる国際リーグであり、一国単独リーグとは異なる構造(どちらかと言えばEASLなどが比較対象になり得る)ではあるが、Bプレミアの目指す世界第2位のリーグというワードから連想される筆頭はユーロリーグである、というのが多くのバスケファンの率直な感想かと察するところである。

ユーロリーグがサラリーキャップ制度を導入する目的としては、クラブの総収入に応じた適切なサラリー範囲を設定することで、ステークホルダーとの関係強化、並びに持続可能性と競争力を促進すること、とされており、この点はB革新にてサラリーキャップを導入する目的であるクラブ経営強化と似通っていることがわかる。

ユーロリーグのサラリーキャップ制度を見る上で重要となるのが、FFP(ファイナンシャル・フェア・プレー)の考え方である。

FFP(ファイナンシャル・フェア・プレー)とは?

FFP(ファイナンシャル・フェア・プレー)とは経営健全化を目的として、支出超過を起こさないための仕組みである。

欧州フットボール(サッカー)シーンを観られる方は馴染みがあるかもしれないが、UEFA(欧州フットボール連盟)において既に10数年前から導入されている。

21世紀初頭の欧州フットボールシーンでは、多くのクラブの赤字体質が問題となり、2011-12シーズンから正式にFFPがスタートする事となった。

FFPにおいては、オーナー資本による直接的な補填の禁止、モニタリングの実施など、様々な取り決めがあるが、その根本の考え方収入を上回る支出=支出超過の禁止である。

フットボールシーンという先行事例があり、FFP的な考えが浸透した欧州の地域性を踏まえた上で、ユーロリーグのサラリーキャップ制度を見ていこう。

ユーロリーグが導入するFFP的サラリーキャップの概要

具体的な仕組みについては上記ポストの通り。補足を下記に記載する。
※筆者の拙い英語力で記事原文を読み解いているため、意味が異なっている場合は是非教えてください。

総サラリーに上限、下限が設定される点はBリーグと同様であるが、ユーロリーグにおいては"何ユーロ"という具体的な数字ではなくライセンスクラブ全体の直近2年間の平均収入の金額が基準となる。

基準となる平均収入の32%Low Salary Levelが設定され、これはBリーグのサラリーキャップにおけるフロア(下限)と同様の意味となる。

一方のキャップ(上限)に関しては、ユーロリーグにおいては、Bプレミアのサラリーキャップで言う所のスター選手条項が無い代わりに、基準となる平均収入の40%Base Salary Level基準となる平均収入の60%High Salary Levelという、二段階のキャップを設定している。

ポストの内容を分かりやすく言い換えると、原則はBase Salary Levelに納まるようにサラリー総額を設定することになるが、最高給選手2名のサラリーに関しては、全体合計でHigh Salary Levelまでは認めるというものである。

このように、ユーロリーグのサラリーキャップ設定の仕組みは、Bリーグとも似通った部分がある一方、基準となる金額全体の平均収入から設定している点が大きく異なることがわかる。

支出超過の禁止というFFPの考え方が根本にある欧州らしい制度設計であることが見て取れる。

【余談】世界第2位リーグの相場感

別記事になるが、ユーロリーグのサラリーランキングの記事を見つけたので、併せて紹介する。

ユーロリーグ全体のトップであるサシャ・ベゼンコフのサラリーが、手取り€3.7m現時点のレートおよそ6億円ということである。

当然ではあるが、欧州クラブ所属選手の年俸のため、単位は円ではなく€=ユーロとなる。表記としては、€1m=1ミリオンユーロ=100万ユーロ≒1億6千万円(現時点のレート)を基準とすることが多いため、これを頭に入れて置くと相場感が掴みやすいと思う。

Bプレミア公式に掲げる"世界第2位のリーグを目指す"という目標を達成する上で、この辺りの金額帯のサラリーを受け取る選手を招聘可能とする経済力を見に付けていくことは、個人的にはマストのように思える

ちなみに本当の余談になるが、サラリー全体トップのサシャ・ベゼンコフニコラ・ミロティッチ(いずれもユーロリーグMVP受賞とNBAでのプレー経験あり)今のBリーグへ入った場合、パワーバランスはどのように変化するかというアンケートXで行ったところ、次のような結果となった。

投票数は60人程度と少ないが、ファンベースの一部においては、このクラスの選手をリーグへ呼んだとしても、1人の力でパワーバランスが劇的に変わるかは疑問視されるくらいには、Bリーグの外国籍選手のレベルは上昇している実感があるのだと言える。

言い換えれば、世界第2位のリーグを目指す上では、このクラスの選手を複数名連れて来られる経済力を備えることが生命線となるかもしれない。

あとがき

いかがでしたでしょうか?

B革新によりBリーグが導入するサラリーキャップ制度の概要を、Bプレミアの設定から具体的に見ると共に、世界第2位のリーグを目指す上で重要となるユーロリーグが導入するサラリーキャップ制度の内容とその考え方紹介、比較することで、今後のサラリーキャップを考える材料としてみました。

Bリーグユーロリーグどちらの導入するサラリーキャップ制度が良いか、悪いかを論じる目的は無く、地域性とその背景を踏まえつつ、整理して考えるきっかけとなればと思います。

ちなみに、個人的な感想を述べると、健全なクラブ経営を継続的に行うためには、支出に対して収入が追い付かなくなる支出超過を防ぐことが最も重要であり、その目的のために収入額を基準として導入するユーロリーグのサラリーキャップ制度は、非常に理に適っているのではないかと思いました。

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