
ロシアが核兵器を使うと円高なのか?
ロシアが核兵器を使く確率は日々あがっているようです。
核兵器使用、あるいは確率の上昇が為替相場にどう影響するでしょうか?この点についての分析について考察します。
❏ 報道内容

ロシアのプーチン大統領が核兵器の使用拡大を認める最新の核戦略方針に署名したことを受け、円やその他の安全資産とともに国債が上昇した。ウクライナ紛争の激化を懸念し欧州株と米株先物は下落。
10年物ドイツ国債利回りは一時10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し、2.27%となった。米国債も値上がりし10年債利回りは7bp低下し4.34%。S&P500種株価指数先物は0.5%下落。ストックス欧州600指数は0.9%安となった。伝統的な安全通貨である円とスイス・フラン、金は上昇。円は一時対ドルで0.7%上昇した。金は一時0.7%高となった。ユーロは一時対ドルで0.7%、対フランで0.6%下落。
(引用:ブルームバーグ2024/11/19)
❏ ニュースの詳説
アメリカは、ロシアと戦争中のウクライナに対して、供与した兵器の広範な使用を認めました。これまでアメリカの長距離兵器でロシア領内攻撃できませんでしたが、これからは可能となります。
しかし、ロシアはこれに当然ながら反発。プーチン大統領は核兵器の使用を示唆する法案に署名しました。核使用の確率が上昇することは、ファンダメンタルや投資環境にとってネガティブなイメージになるでしょう。
かわぐちかいじ先生が書かれた漫画「沈黙の艦隊」では、海江田艦長が保持する兵器が核ミサイルのみになった、究極の状況を描いています。

▶最終手段となった時…
ロシア軍が通常兵器をすり潰し、核兵器が最後の手札となった場合、プーチン大統領は保身のために、使用するのではないか?と疑われています。今回の法案署名は、また一歩近づいたことを意味すると、マーケットでは当然考えます。
リスク資産を手放す動きが出るのは当然でしょう。
報道後に株式やドルなどリスク資産が売られていました。
▶プーチン大統領の立ち位置
プーチン大統領が、自己保身をどのように考えているのか?核兵器使用について、この点を考察する必要があるでしょう。
もし、ウクライナ戦争で敗北を認めたとすれば、少なくともプーチン大統領が政権を維持すくことはできず、恐らくは犯罪者として裁かれる運命となります。ゆえに、彼は負けを認めることは出来ないという事情があります。
では、ウクライナ戦争を終結させるうえで、彼が保身を実現するにはどういう条件が必要か?を整理する必要があります。
核兵器を使用するという恫喝で、現在の占領地領有を認めさせる
戦争で勝ち切る(東部諸州を占領して勝利宣言)
戦争を永遠に続ける
プーチン大統領の面目を保てるか否か?
核兵器の使用の有無は、この点に掛かってくるでしょう。このままなら敗北は必至と彼が思い至れば、核兵器の使用を躊躇しなくなると言えそうです。
❏ 為替相場への影響を考察
核兵器使用の確率が上がると、マーケット(為替相場)はどう動くでしょうか?ここでは、その考察を致します。2024年11月の相場観にそって描こうと思います。FXトレードの参考になるでしょう。
▶核兵器使用なら、リスク資産が売られる
FX(為替)におけるリスク資産とは何でしょう?
今回の記事で学んで欲しいのは、この部分になります。
それぞれの通貨には、リスクの度合があります。たとえば、トルコリラと円はどちらがリスクが高い通貨でしょうか?ドルと円はどちらが安全な通貨でしょうか?
これらには明瞭な基準があります。
しかも簡単に知ることができ、比較することができます。
▶金利を利用して分析できる!
多くの場合、長期金利を分析に使用しますが、ここでは話をシンプルにするため、各国政策金利を使用します。


金利とは、「その金利を支払わないと、投資家がお金を貸してくれない水準」とも言えます。
つまり、トルコは50.0%もの利回りを付けないと、トルコリラを買ってもらえない(トルコに投資が集まらない)という意味です。トルコへの投資は、それだけリスクが伴うと評価されているわけです。
各国の通貨リスクは、金利の高い順番で説明することができます。この方法は、FXトレードにおけるもっとも簡単な通貨リスクの判定方法でもあり、とても簡単です。
▶ロシアが核兵器を使用すると?
もしプーチン大統領が核使用を進めると、リスクは高まり緊張するでしょう。当然ながらリスク資産は売られます。株価は急落するなどの影響も出ます。
では、為替市場ではどの通貨が買われ、どの通貨売られるでしょう?
ほぼ正確に、そして凄まじく簡単に判断することができます。
円は買われる通貨になることが分かります。
ただし、地域事情は考察しなければなりません。
たとえばミサイルの最初の標的が日本に指定された場合などです。ロシアに連動して北朝鮮や中国が、極東地域で軍事活動を始めた場合等です。こうしたニュースも消化する必要はありますが、リスクに強い通貨、弱い通貨があることは投資判断の参考になるでしょう。
記事は以上です
ご参考になさってください。
Fundalia financial philosophy(FFP)