〔米国〕消費者物価指数(CPI) 事前考察&ドル見通し
ドル/円急落は、先月の米CPIから始まりました。今回も前回に続く可能性があるので、よく観察して行動しましょう。
❏ 今夜の予想
『9/18FOMCで利下げを考慮している』とパウエルFRB議長は発言しました。それと同時に『9月までに、まだ多くのデータを確認できる』とも言っています。そのうちの重要データの1つがCPIになります。
今夜の予想値は、ややインフレ率が回復するものとなっていますが、この程度ならばFRB利下げに影響は出ないでしょう。昨日のPPIデータと併せて、確認するとより精度高く相場予測ができるようになります。
❏ ファンダメンタル分析
▶時系列データ
2024年に入って上昇気配を見せたインフレ率は、4月頃よりまた下落トレンド入りが確認できています。後述しますが、消費にも陰りがでています。CPIの先行指数であるPPIも鈍化しています。
現状のトレンドを維持するようなデータが出てくれば、FOMCは利下げを実施するでしょう。利下げ実施ラインを維持するデータがでてくる限り、ドル売りになりやすいでしょう。
▶米消費者の変化
これまでアメリカ国民は、猛烈なインフレを前に「給料を手にしたら、即座に(価格が上がる前に)品物に変える」という消費行動をとっていました。そのため、価格が上がるから消費が旺盛になり、消費旺盛になるから価格が上がるという循環が続いたわけです。
しかし、この流れに変化が起こりました。先日ウォルグリーン(小売り大手)が業績の下方修正と店舗の大量閉店を打ち出して株価急落していました。ウォルマートやターゲットといったディスカウントストアも、数千アイテムの値下げを実施しています。これによって「価格が下がるまで、購入を控える心理」へと変化します。
国民心理の変化がインフレ率を変えていくでしょう。
▶雇用の変化も見られる
アメリカの雇用は緩やかな悪化から、やや傾斜を深めました。失業率は実際の景気に遅行して景気を素直に反映させる経済指標ですが、明らかに上昇(悪化)しています。これはサームルールとして有名で、景気悪化を象徴する傾向となります。
消費が悪化して、連れて雇用も悪化している訳ですから、理屈としてインフレ率が悪化するのは合理的なのです。ただ単月のデータが必ずしも合理的なデータとなるかは別の話ですが。
❏ ドル見通し(主にドル/円)
大暴落相場を経験しました。ドル/円は約1ヵ月で20円近く下落したのです。そこには日銀の動き、為替介入もありましたが、米CPIの悪化もありました。20円動いたのは日本がタカ派に動いたこと、そしてアメリカがハト派に動いたことが重なっていたわけです。
ケースごとのドル/円の動き方を検証しました。
▶ 予想より強かったケース(タカ派)
まず、予想値程度ならハト派と判断されます。暴落後の反発分を失う可能性があるでしょう。ここでいうタカ派とは、かなり強いデータ(コア前年比が+3.4%以上)になるような状況を言います。
合理的に考えればこのようなデータはでないのですが、たとえば天候、海運市況、政治要因など要因で短期的に変化するケースはあります。
つよいインフレ率に支えられ、長期金利が上昇しドルが買われるでしょう。一過性かもしれませんが、キャリー取引(円売り)が復活するでしょう。あとはデータの強さ次第となります。
直近でドル高が進んでいます。発表直後に彼らの利益確定がされる可能性もあるため、微妙に強い程度ではむしろ売り浴びせの可能性があります。
日本はお盆のため、素人もいます。強い指標を受けてドル買いに動くでしょう。しかしすぐにドルが下がると、狼狽売りに拍車をかけます。巻き込まれないようにしましょう。
▶ 予想より弱かったケース(ハト派)
マーケットはCPIが弱まっていくのが妥当だと考えています。重要なのはペースです。非常に弱いインフレ率になれば、利下げペースは早まる(9月0.50%利下げ思惑)に火がつくでしょう。少なくとも9月利下げの確率(蓋然性)は上昇します。
そうなれば長期金利急落を伴う、ドル急落が実現するでしょう。
もう一度、先日の安値(141円70銭)を目標にドル/円は動きだすこととなります。あとはデータの程度によって、変わってくるでしょう。
記事は以上です
次の記事でまた次の記事でお会いしましょう
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