〔米国〕消費者物価指数(CPI) 事前考察&ドル見通し
21:30に発表です。アメリカの金融政策は、インフレ動向を非常に重要視しています。金融政策は為替へ強い影響力があります。
❏ 今夜の予想
7/31FOMCまで3週間となり、さらに9/18FOMCの利下げが意識される中、CPIがでてきます。
予想値は、ほぼ前回通りとされインフレ鈍化が停滞する見込みのようです。インフレ率が思ったほど下がらなければ、利下げ時期も遅れる訳ですから利下げ時期が11月へ後退する恐れもあるでしょう。こんかい、このあたりの確認が重要になりそうです。
❏ ファンダメンタル分析
▶時系列データ
2022年から順調に下がったCPIは、2024年にはいり3%台半ばで固定化されつつあります。インフレ率をダイエットに喩えるなら、落ちやすい贅肉まで削いだが、残りの落ちにくい贅肉を削ぐのに苦労している感じでしょう。
ただ、必要以上に高い政策金利のため、いずれ必ずインフレ率は下がるでしょう。政策金利(5.25%)はCPI(3.3%)より2%近くも高く、これは景気を弱めてインフレ鈍化させるに十分です。逆に言えば、インフレ率が急に下がり始める時期がおとずれるリスクまで、考慮する必要があるでしょう。
▶米消費者の変化
これまでアメリカ国民は、猛烈なインフレを前に「給料を手にしたら、即座に(価格が上がる前に)品物に変える」という消費行動をとっていました。そのため、価格が上がるから消費が旺盛になり、消費旺盛になるから価格が上がるという循環が続いたわけです。
しかし、この流れに変化が起こりました。先日ウォルグリーン(小売り大手)が業績の下方修正と店舗の大量閉店を打ち出して株価急落していました。ウォルマートやターゲットといったディスカウントストアも、数千アイテムの値下げを実施しています。これによって「価格が下がるまで、購入を控える心理」へと変化します。
国民心理の変化がインフレ率を変えていくでしょう。
▶雇用の変化も見られる
アメリカの雇用は緩やかかつ明瞭に悪化しています。7月発表の雇用統計(6月)では失業率は上昇していますし、非農業部門雇用者数についても4週移動平均がダウントレンドです。平均受給も、鈍化していました。
雇用の鈍化は、消費やインフレの鈍化に必ず繋がっていきます。
❏ ドル見通し(主にドル/円)
現在、経済指標の発表後にもっとも乱高下しやすいのが米CPIでしょう。今回も、ファンダメンタルに影響するデータがでれば1円単位の値動きが見られるかも知れません。
直近の落ち着いたCPIデータから、有意な変動が観察されればマーケットは動くでしょう。それがどちら向きであってもです。
▶ 予想より強かったケース(タカ派)
FOMCで高金利継続を示唆するデータになった場合、基本的にドル買いになるでしょう。一般論として、日米金利差によりドル買いが強まるでしょう。しかし、以下の理由から強いドル高(円安)には動きにくいでしょう。
日本当局による為替介入への警戒感(162円ライン)
やや強いデータなら、ドルホルダーの一部が利益確定してくる可能性
逆にドル高を支える要因についても述べます。
パウエルFRB議長は「まだ利下げは早い」と議会証言で述べた
利下げを早める証拠がなければ、基調として円安になる
7/31FOMCがタカ派になるとの予測から、ドル買いされやすい
▶ 予想より弱かったケース(ハト派)
ファンダメンタル分析で述べた通り、アメリカにはインフレ減衰する理由がいくつかあります。個人消費が鈍化すれば、インフレ率は嫌でも下がるため思った以上にインフレ急落するシナリオも考えておきましょう。
FRBが利下げに動き、ドルが売られる合理的な理由がすでに存在しています。いま必要とされるのは「証拠(裏付け)となるデータ」でしょう。もしCPIで証拠が提出された場合、為替相場はパニックになる可能性があります。
おそらく、このデータは突如登場します。
心の準備が整っていない時(円安ドル高に前のめりなとき)に来るでしょう。つまりマーケットへカウンターが入る形になります。もし今夜「CPI前年比が+2.9%」のようなデータが出たとしましょう。おそらくパニック相場になります。
膨大なドルロングのポジションが築かれています。これが瓦解した時、ドル相場は一気に値崩れするでしょう。
記事は以上です
次の記事でまた次の記事でお会いしましょう
Fundalia financial philosophy(FFP)