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「足を踏ん張る??」「丹田に力を入れる??」「下っ腹に力を入れる?「支え??」間違いですよ。パフォーマンス落ちるだけなので忘れましょう!

前回のラジオ、Note記事の中でボイストレーナーの嶋田あや先生との対談で最後に出てきた、「支え」と言う話。これは本当に奥が深い話で私も大学院を出立てのころは今と全く違った思考を持っていました。

しかし臨床の経験を重ね、呼吸の勉強を重ね、ありとあらゆるセミナーなどを受講する中で、この「支え」「コア」「体幹」などに関しての考え方が随分変わりました。

PRI, Postural Restoration Institute、で資格を取ったことも随分と勉強になり、これを機により多くの方にあや先生の様な考え方を持ってもらいたいと記事を書くことにしました。

大前提として

体幹とは?この話は誤解を招く恐れがあるので気をつけて話をする必要があると思っています。すこし難解な話になってしまうかもしれないですがお付き合いください。

「下っ腹に力が入る、丹田に力が入る」≠「下っ腹に力を入れる、丹田に力を入れる」

そして前提として

丹田の力は大切=Yes
インナーマッスルは大切=Yes
体幹の筋肉は大切=Yes

全部Yesです。嶋田あや先生との談義で勘違いを避けるために初めに確認しておきたいと思います。

そして、この「支え」という話をスポーツ、パフォーマーという観点からまず話をしていきたいと思います。

超一流のスポーツ選手、超一流のパフォーマーとは?

私の考える超一流とはは世界をレベルに活躍することは当然のことですが、それと共に「活躍し続ける」という選手生命の長さも大切だと思っています。

例えばスポーツ選手の例をとると、数年活躍して消えていってしまう一流選手は沢山います。しかし、第一線で長年活躍し続ける超一流選手は数を数えるほどしかいないと思います。

注:
スポーツ競技ではそのポジションによって短命を避けられない選手もいると思います。例えば、アメリカンフットボールのディフェンスなどは体が大きく、強く、強靭な方が良いので当然筋トレなどで体重を増やし、体を大きくしないと活躍できない。

その結果、身体のバランスは崩れ、関節などに負担をかけ選手生命が短命なことが多いと思います(もちろんコンタクトスポーツゆえの怪我というのもあると思います)

逆に同じアメリカンフットボールでもクオーターバックのTom Bradyは彼自身10度目となる2021年スーパーボールで43歳にしてチームを優勝に導きました。そして彼は今だに現役です。


超一流は故意に下っ腹に力を入れたりはしない

そしてこの超一流のスポーツ選手やパフォーマーは、競技中やパフォーマンス中に故意に丹田や、下っ腹、コア筋に力を入れるなどと言うことは間違ってもやっていないです。

私もアメリカでそれなりにスポーツ選手やパフォーマーを診させていただく機会がありますがこれが真理です。

もちろん超一流だった選手が、間違った知識を取り入れ、故意にコア筋などを意識したために途中で潰れてしまった選手は多く見たことはあります(Tiger Woods, David Duvalなどは残念ながらその一例ではないでしょうか。。。涙)

では体幹とは何か?

前回の記事のレビューですが体幹とは何かを説明したいと思います。

体幹の強さとは
重力、筋力、バランス、柔軟性、内圧、反射神経等々を上手く使いながら「身体の関係性を保つことができるかどうか」
この一言です。それ以上でも,それ以下でもありません。
そして、この身体の関係性を保つことを自然体「より脱力した状態」で行えていれば最強です。

これが私の考える体幹です。私の勉強するPNF(Proprioceptive Neuromuscular Facilitation)なども同様のコンセプトですね。

そして自然体でいると意識下でなく、無意識下で反射的に必要なコア筋(インナーマッスル)などを使い身体のコントロールが出来るわけです。

近年では「フィード・バック」、「フィード・フォーワード」といった難しい言葉も出てきてますが、要するにインナーマッスルやコア筋は自然に入るべきであり、意識下でコントロールするものでは無い、ということです。

コア筋を鍛えたら「フィード・フォーワード」的に体幹の筋肉が上手く使える様になるということでは全くありません。

超一流であるマイケル・ジョーダン、イチローは超自然体

マイケル・ジョーダンやイチロー選手は皆が認める超一流選手だと思います。

では彼らが丹田や、下っ腹、そんなものを意識していたでしょうか?

イチロー選手がレーザービームを投げる時、下っ腹に力を入れることを意識していたでしょうか?マイケル・ジョーダンのあの流れる様なプレーの中で丹田に力を入れることを意識をしていたでしょうか?

断言しても良いですが、100%あり得ません。

ジョーダンのシンボルマークともなっている空中技の最中に舌を出している姿、そればまさしく自然体「より脱力した状態」の表れです。

自然体とは身体の関係性を保ちながら最大限の脱力状態にあることだと私は考えます。そしてこの自然体がパフォーマンスを最大限に向上させ、さらに体に負担をかけず、最前線で活躍し続けるカギだと思います。

彼らの普段の歩き方、試合中の動きはスムーズに流れる様で、美しさを感じませんか?

この自然体の中でプレーできているからこそ、ジョーダンは空中で自由自在に体をコントロールでき、さらに体制を崩されても身体の関係性を失うことなくボールを巧みに操りゴールを決めることが出来るのです。

間違ったコンセプト:「体幹を固める」

体幹を固める。。。。このコンセプトですが結構勘違いしている人が多いと思います。

私の患者さんやクライエントの中にも、体幹が強い=腹筋の硬さ、と勘違いしている方が多いです。

中には腹筋の硬さを触らせて、硬さを自慢する方もいるほどです。

恐らく情報が多いこの世の中、間違った情報を取り入れ「腹筋が強い=お腹周りが硬い=固める=体幹が強い」だから良い。といった感じです。

もちろん、体幹がしっかりするから四肢が自由に動かせる、だから体幹はしっかり固める必要があるという議論があるでしょう。

でもそれは私は間違いだと思います。

今回はあまりにも趣旨から外れてしまうのでここでは詳しくは書きませんが、またの機会で詳しく話したいと思います。

**腹筋が硬くなることが悪いことでは無いです。しかし「固める」という概念は間違いです。**

インナーマッスルのトレーニング、体幹トレーニングの重要性

体幹トレーニングは大変重要です。インナーマッスルと鍛えるエクササイズは同様に大切です。

イチローもジョーダンもインナーマッスルを鍛えたりするトレーニングは当然していたと思います。

しかし、超一流選手と一流選手の決定的に違うところはトレーニングの意義を理解して取り組んでいることでは無いでしょうか?

インナーマッスルを鍛えるための体幹運動は当然する。ただしそれはあくまでもエクササイズとして鍛えているものであってパフォーマンス中に意識することでは無いということをきちんと理解しているのだと思います。

また、鍛えすぎる体幹、または付き過ぎる筋肉というのは自然体を崩し、パフォーマンスを落とす害であるということをキチンと理解しているのだと思います。

先に書いた様に「体幹の強さとは重力、筋力、バランス、柔軟性、内圧、反射神経等々を上手く使いながら身体の関係性を保つことができるかどうか」です。色々な要素が上手く混じり合って体幹の強さになるわけです。

インナーマッスルのトレーニング、体幹トレーニングの重要性は、何を目的としてどの様にトレーニングしていくかということです。

最強の体幹の持ち主は乙武さん

体幹のコンセプトを間違って理解している方は、以前私が書いた記事で、最強の体幹の持ち主は五体不満足の乙武さんだ、と書いたことを驚くかもしれません。

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https://www.excite.co.jp/news/article/Jpcna_CNA_20130422_201304220002/

ここではその理由は書きませんが私は確信を持ってそう考えています。興味のある方は以前の記事を読んでみてください。

歌い手に下っ腹の支えはやめろという真相

前置きが長くなりましたが、あや先生の「下っ腹の支え(丹田)をやめなさい」、というアドバイスは正しいと思います。

「支え」意識しないと出来ないのであればそれは自然体でなく、意図的に固めるということだからです。

恐らく超一流と言われる歌い手のお腹に手を当てると「しっかり力が入っている」と思います。

ただこの論理の間違いは「お腹に力を入れている」から上手いのではなく、自然体で歌えている結果「お腹に自然と力が入っている」だから上手いのです。

ここが非常に大切です。

上述したような自然体でいられる場合、必要な筋肉は必要に応じて自然と入ってきます。

なので超一流の歌い手の感覚としては、意識はしたことないけど、意識をしてみると(または触ってみると)「あ、ほんとだ勝手に下っ腹に力が入ってる」ということだと思います。

自然体を作り出すためのトレーニング、エクササイズであるべき

体幹を鍛えるトレーニングでも、柔軟体操であれ、筋トレであれこの自然体を作り出すためのものであるという認識が必要です。

例えば、私も体幹運動や呼吸方法などを指導します。キチンとした呼吸方法を行おうとすると結構大変で初め苦労される方々が多いです。

しかし、トレーニングとしての呼吸方法はあくまでトレーニングです。その結果として求めるのは、自然と正しい呼吸法ができる様になっていくことです。歌っている時、ましてや普段生活している時に常に正しい呼吸を意識して行わなければならないということではありません。

トレーニングでしっかりとした呼吸方法を手に入れ、歌っている時は自然体で歌うということがより大切なんです。

「トレーニングを通してパフォーマンス中は自然体でいられる様になる」、ここを間違わない方が良いと思います。

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ですので話を元に戻すと、意識下で「丹田に力を入れる」、「下っ腹に力を入れる」、「支える」というのは間違っていると思います。

簡単そうですが意外と出来そうで出来ないことなんですよね。

次は歌い手の行き着く最強の呼吸とは?について考察していきたいと思います。

ニューヨーク、FuncPhysio Physical Therapyの高田でした。

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高田洋平
ニューヨーク・コロンビア大学博士号(理学療法)
New York FuncPhysio Physical Therapy P.C.代表
Japan Wellness Golf Association理事
トロ大学特任教授(理学療法整形過程)
OCS: Board Certified Orthopeadic Clinical Specialist
SCS: Board Certified Sports Clinical Specialist
CFMT: Certified Functional Manual Therapist
PRC: Postural Restoration Certified
CAOPT: Certification in Advanced Orthopedic Physical Therapist
CSCS: Certified Strength and Conditioning Specialist




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