ボトムアップ科学技術13〜博物館見学記〜
こんにちは。ここ1週間はなんとか充実してたなーと思います。やはり腰を据えてじっくり研究ができるといい日々になりますね。
さて、先週東工大の博物館から着想を得て和田先生のことについて書きましたが、今週東京農工大の博物館にも足を運ぶ機会に恵まれたので、見学記を書きます。
1.科学博物館と生糸
ホームページをご覧いただくとわかるように養蚕業や製糸業に関わる展示が主です。この辺の産業は明治維新以降、新政府によって特に力を入れられた、輸出によって外貨を獲得することができる大切な産業だったわけです。
よって、この農工大の歴史の中でも繊維学部ができたり、当時の天皇が視察に来たりと大切な学問だったわけです。もちろん館内も関連する歴史的な展示もされています。
2.生糸の生産って?
詳しくはこちらの資料に詳しく書いてありますのでご参照ください。
ざっくり言うと蚕を育てる→繭を作る→糸を紡いでいく
というプロセスです。その糸を織って服とか布になるわけですね。
館内の展示はこのプロセスに従って繭から見ることができました。
繭といえどもたくさんの種類があります。国によっても違ったり、人類が交配として手を加えて変化させて行ったりして。
この資料も古くからある資料だそうです。蚕というだけでもさまざまな種類があって驚きです。
品質や加工のしやすさ、育ちやすさや病気への耐性などなど様々な領域にわたって工夫してきた跡が伺えます。
3.生産のための機械
古代から手作業で行われてきたものも、産業革命以降機械化され規模が大きくなり、効率化されていきます。様々な器具が展示されていました。蚕を育てるところから、繭を束ねて一本にする機械、糸を実際に織っていく機械です。
羊毛や綿花などの、繭とは異なり一本の糸でなく繊維の集まりを糸にする機会も動かしていただきました。
原始的な仕組みではあるそうですがなるべく人の手やチェックを必要としない仕組みになっています。
こちらは、公式の解説付きのものです。この記事には書き尽くせないのでぜひ気になる方はお立ち寄りください。
4.感想
見学していて考えたことは大きく二つです。①石炭産業との違い②アーカイブについて。
①としては僕は炭鉱の見学によく行っていたので、技術とセットで労働の過酷さや事故の記録なども見た経験が多かったです。しかし、繊維産業の場合はあまり、ネガティブな面にクローズアップされることはなく、むしろ従事者が国を支える意識があったことや、女性教育といった点でも大きな役割を果たしたというように肯定的に語られることに驚きました。(同行者の影響も強かったのかもしれませんが)
もちろんなんでも負の側面を見よと言っているわけではありませんし、石炭産業も正の面の捉え方を十分にできているだろうなと思ったりもしました。
歴史的な出来事ですので、事実をとらえた上で冷静にどのように語られるべきかは考えたいなと改めて思いました。今回の展示ではあまり文化的なところまで語られてはいなかったので何か調べてみたいですね。
富岡製糸場が有名ですがまだ訪れたことはないため行ってみたくなります。どなたか行きませんか?
②博物館という場所についてです。この博物館では、現在も定期的に機械をメンテナンスしたり、技術継承のために手作業で糸を紡ぐ体験ができるそうです。(現在でも学生相手に実習があるとか)
しかし、かつての文化を網羅的に継承するのはやはり難しいそうで、繊維学部が工学部に変わり時代が経るにつれて段々と知識がある人が減っているのだそうです。例えば手回し計算機が展示されているわけですが、四則演算以上の計算を実際に行うのはかなり難しいそうです。学芸員さんによると意外と意外と計算機科学やコンピューターの分野が所蔵品がメンテナンスできなかったり部品がなかったりで、知識の保存が難しいそうです。
意外と当たり前に行われている営為でも一度廃れてしまうと一気に知が失われてしまうわけですね。そこを保つのがアーカイブ学の役目なのでしょうね。
5.終わりに
久々こういった見学をしましたが、めっさ楽しかったです😊ぜひ皆さんも機会があれば資料館、史料館などに訪れてみてください。意外な発見があるかもしれません。
↑難しいですね😭
僕はこの手の分野に元から詳しかったわけではなく、見学して学んだ範囲で記事を書いておりますので、間違いがあったらぜひご指摘してくださると嬉しいです‼️
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