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海軍少尉 松尾 巧

神風特別攻撃隊 第三御楯隊
昭和20年4月7日
沖縄沖にて戦死
佐賀県出身 20歳

謹啓
御両親様には相変わらず御壮健にてお暮らしのことと拝察致します。
小生もしごく元気にて軍務に精励致しております。

今までの御無沙汰おわび致します。
本日をもって私も再び特攻隊員に編成され、出撃致します。
出撃の寸前の暇をみて、一筆走らせました。

この世に生をうけて以来、十有余年間のお礼を申し上げます。
沖縄の敵空母にみごと体当たりし、君恩に報ずる覚悟であります。
男子の本懐、これに過ぐるものが他にあるでしょうか。
護国の花と立派に散華致します。

私は二十歳をもって君に身命をささげます。
お父さん、お母さん、泣かないで、決して泣いてはいやです。
賞めてやって下さい。

家内揃って、何時までも幸福に暮らして下さい。
私の小遣いが少しありますから、人に頼んでお送り致します。
何かのたしにして下さい。

近所の人々、親族、知人、小学校時代の先生によろしく。
妹にも……。

後はお願いします。
では靖国へまいります。

昭和二十年四月六日午前十一時書

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舟山 華織
戦時の手紙を追い、歴史に光を当て、新たな発見を。 過去と現在を繋ぎ、皆さんと共に学び成長できたら幸いです。 ご支援は活動費に使わさせて頂きます。