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懲役ダイアリー 2017年9月25日月曜日 『塀の中で迎える子供の誕生日』

朝5時くらいだろうか・・・急にパッと目が覚めた。

目の前にはいつもの見慣れた天井。隣には誰もおらず、ただただ巡回する刑務官の足音だけが聞こえて来る。

今日は子供の誕生日。ベッドの上でぼーっとしながら、ふと子供が生まれる前や過ごした日々を思い返していた。

妻が妊娠中、つわりが酷く夜中ずっとトイレに付き添っていたこと。陣痛が早まるように二人で毎晩「早く生まれておいで!」と言いながらウォーキングしたこと。子供が急に夜中に具合が悪くなり、慌てて救急病院に連れて行ったこと。子供の夜泣きがすごくて、車でドライブしながら寝かしつけたこと。保育園に送る途中に朝ごはんのおにぎりを一緒に食べたこと。

色々なことをどんどん思い返す。そして涙が出てくる・・・。


お誕生日おめでとう。一緒にいられなくてごめんね。パパは生まれてきてくれたことに心から感謝しているよ。これからも健やかに育って欲しい。

決してパパのようにはなるな。

人に迷惑だけかけなければ・・・かけるようなこと、かける可能性があることさえしなければ、なんだってやっていい。好きなことをしていい。

自分のやりたいことをやってくれ。

心から楽しい。苦しくても楽しくて、続けられるもの。それが本当にやりたいことだ。それを仕事にしたら最高だ。やり続けなさい。

日記にメッセージを残しておこう・・・。

いつかこの日記を子供が見る日がきた時に・・・。しっかり伝えておきたい。そして、出所したらこの思いを伝えて子供にはやりたいことやらせてあげるんだ。応援するんだ。俺のように金を追う人生にならないように。

あと3年か4年会えないけど・・・

会えないけど・・・

目の前のこと一生懸命やるしかない。

社会復帰した時にしっかり活躍し、家族を守れるように。


全ては順調に進んでいる。人生の成功に向けて


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